御座山

天気:のち
メンバー:T
行程:栗生登山口 8:00 …不動の滝 8:40〜8:45 …前御座山(2050m) 9:35 …御座山(2112m) 10:05〜11:05 …前御座山 11:25 …不動の滝 12:05 …栗生登山口 12:40
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

桐生を車で未明に出発。上信越道から中部横断道に入る。行く手の八ヶ岳には雲がかかり、山麓しか見えない。高速を終点の八千穂高原ICで降りると、新しく道の駅八千穂高原が出来ている。帰りに時間があれば立ち寄ってみようかな。小海市街から南相木村に入り、御座(おぐら)山の栗生(くりゅう)登山口に向かう。唐沢沿いの林道に入ると途中から未舗装道となるが、幅広く整備された道が続く。林道終点の栗生登山口に着き、5台分程の駐車余地に車を置く。他に車が1台あるが、ハイカーとしては私が一番乗りのようだ。

上空には依然として雲が広がり、車から外に出ると空気がヒンヤリと湿って冷たい。登山口には「滝見の湯」、中嶋豊氏作成のイラストマップのほか、クマ出没注意(今年6月に目撃情報あり)の看板がある。熊鈴を付けて歩き出す。

栗生登山口
涸れ沢の右岸を登る

登山道は山腹をジグザグに登り、右岸の斜面をトラバースして進む。唐松林の中の作業道跡をしばらく辿り、道標に導かれて左の山道に入る。周囲の木の葉は赤や黄に仄かに色付き始め、行く手には木立を透かして、これから登る急な山肌が霧を纏って垣間見える。深山幽谷の雰囲気があって、なかなか良い。

作業道跡を辿る
作業道跡から山道に入る

やがて山道は土石に埋もれた唐沢に近づき、ガレ沢に沿って登る。この沢の荒れ様は2019年10月の台風19号の爪痕だそうである。沢沿いの登山道が崩落したため、しばらく通行止めとなり、2020年11月に迂回路の整備が完了して、通行止めが解除されたとのこと。

土石に埋もれた沢沿いに登る
道型ははっきりしている
色付いたモミジ
大岩壁の基部を登る

やがて左手に大岩壁が現れ、その基部を登ると不動の滝が現れる。オーバーハングした岩壁から細々と水を落とす滝で、落差は10mくらいか。見えている落口の上にも急傾斜のナメが続いているようで、全体では結構な落差がありそう。なかなか見応えのある滝だ。

不動の滝
滝の落水点

登山道は不動の滝から沢を離れて、左岸の急斜面をジグザグに登る。雲の中に入ったのか霧が流れて来て、木漏れ日が霧をスクリーンにして明暗の縞模様をつくる。風が出てきて、少し肌寒い。急斜面の登りが続き、やがて、雲を抜けたのか霧が消え、鬱蒼と茂る針葉樹林帯に入る。「山頂まで500m」の標識が現れ、その背後には大きな岩壁が聳り立つ。

滝から左岸の斜面を登る
木漏れ日が霧に映る
急斜面をジグザグに登る
「山頂まで500m」の標識

岩壁の基部を右へ回り込むと長い鎖場が現れる。木の根、岩角が利用でき、楽に登ることができる。さらにもう一段、鎖場を登ると見晴らしの良い小平地に出て、雲海の向こうに奥秩父の金峰山辺りの山影を遠望する。青空が広がり、雲は徐々に消えつつある。

鎖場を登る
鎖と木の根を掴んで急登
雲海の向こうに奥秩父を望む
さらに岩稜を登る

さらに鎖が張られた岩稜を登ると傾斜が緩み、針葉樹林に入って小尾根を登る。反対側の谷から寒風が吹き上がり、葉や小枝には霧氷が着いていて、思わずムッヒョーと声が出る。木立を透かすと、御座山頂上部の壮大な岩壁が垣間見える。木が邪魔で、すっきり眺められないのが惜しい。

鬱蒼と茂る針葉樹林帯に入る
霧氷

やがて、小広い平地と石祠のある小ピークに登り着く。山と高原地図に「御岳神社」の記載があるピークで、現地には「前御座山2050m」の古い山名標識もある。ここで一休み。

御岳神社のある前御座山頂上
頂上のツツジの紅葉

御岳神社からは短い急坂を下り、小さな岩稜を通過。鎖のある岩場を下ると、左側の樹林が開けて明るい鞍部(金山沢のコル)に着く。道標があり、左に北相木村の山口登山口への道を分ける。そちら方面の下り口はシダと草に覆われて、歩く人が少ない様子。しかし、途中には御座山頂上部の岩稜が良く見える箇所があるかも。ちょっと興味が湧く。

岩稜を辿る
鎖場を下る
金山沢のコルに下り着く
北相木村山口からの登山道と合流

鞍部から登り返し、岩壁の基部を通過してひと登りすると避難小屋があり、白岩登山口からの登山道を右から合わせる。小屋内部を覗くと綺麗な板間があり、快適に泊まれそう。

岩場の基部を登る
御座山避難小屋

小屋の左へ進むとすぐに頂上岩稜の上に出、展望が一気に開けて感動する。岩稜の少し先に山名標識が建っているのが見える。あそこが頂上だ。岩稜の上を慎重に渡って頂上に向かう。左側は大岩壁となってすっぱり切れ落ち、覗き込むと恐ろしい程の高さがある。

頂上岩稜
御座山頂上

御座山頂上には山名標識の他、新し目の石祠がある。ここに登頂するのは2002年に白岩登山口から往復して登って以来2回目(山行記録)。前回は天気が悪くて遠望がなかったが、今日の展望は素晴らしい。頂上稜線の先、北西稜には親指の爪のような岩峰が聳える。その右後方、雲海の彼方に見える一際大きな山影は浅間山だ。そこから右に目を転じれば、赤久縄山や御荷鉾山、両神山、赤久縄山の左奥には関東平野北部や群馬県庁まで見える。ということは、群馬の平野部からも御座山が見えていることになる。

北西稜の岩峰
赤久縄山を遠望

雲が徐々に消えていき、北方を望むと北アの槍ヶ岳や鹿島槍、白馬岳などの頂が雲海の彼方に現れる。圧巻は八ヶ岳連峰の展望で、権現岳から赤岳、天狗岳、蓼科山まで主稜線のピークがズズズイーッと一望できる。

八ヶ岳連峰を一望
北ア方面を遠望

八ヶ岳の左奥には南アの甲斐駒や北岳、その手前には天狗岳と男山の鋭峰が並ぶ。さらに左には茅ヶ岳や瑞牆山、ぐっと大きく盛り上がって、金峰山から国師ヶ岳あたりの奥秩父の高峰が見える。前回はこんな大パノラマは見ていないから、再訪して本当に良かった。

国師ヶ岳、金峰山を遠望
南ア北岳と甲斐駒を遠望

頂上岩稜を僅かに戻ったところの小平地で昼食休憩とし、COOPヌードル白ごま担々麺を食べる。展望を楽しんで1時間程過ごしたのち、往路を戻って下山にかかる。

前御座山に向かう
前御座山の登り

前御座山の頂上を越えれば、あとは下り一方だ。行きにあった霧氷は、既に跡形も無く消えている。岩稜が現れ、鎖を伝って慎重に下る。行きは雲海の向こうに奥秩父を眺めた地点でも、雲海が霧散して手前の御陵(おみはか)山辺りの稜線が見える。

再び前御座山頂上
御座山の岩壁を垣間見る
岩稜の下りは慎重に
すっかり雲海が消えて奥秩父を遠望

さらに鎖場を下り、急斜面をジグザグに下って不動の滝に着く。日が差し込んで、滝身や周囲の紅葉を明るく照らし出す。滝からは沢の右岸の斜面の道をのんびり下って、栗生登山口に帰り着く。駐車が7台程に増えていて、駐車スペースから溢れた車は道幅の広い所に置かれていた。

急斜面をジグザグに下る
日差しを浴びる不動の滝
沢の右岸を下る
栗生登山口に帰り着く

帰りは久し振りに南相木温泉「滝見の湯」で日帰り入浴する。それから、道の駅八千穂高原にも立ち寄ろうと思ったが、入場待ちの車の長い行列が出来ていたのでサクッと帰途につき、まだ明るいうちに帰桐した。