谷川岳
この日曜日は、お盆休みUターンラッシュの高速渋滞を避けて、県内の山へ。谷川岳の西黒尾根を下ったことは何回かあるが、登山口からトマノ耳まで通しで登ったことはない。近々、北アルプス三大急登の一つを登る予定があるので、西黒尾根を登るとその良い予行演習になりそうだ。という訳で、トレーニングで西黒尾根から谷川岳に登ってきました。
桐生を深夜に車で出発。関越道を水上ICで降りて土合に向かい、まだ暗いうちに谷川岳インフォメーションセンターのだだっ広い駐車場(無料)に車を置く。既に十数台の駐車があるが、キャパは余裕綽々。最初は車道歩きなので、ヘッドランプなしで歩き出す。
営業時間前で真っ暗な谷川岳ロープウェイ・ベースプラザを過ぎ、屋内に明かりが灯る谷川岳登山指導センターの前を通る。センターの中では数人のハイカーさんが登山届を書いているようだ(私はいつも通りコンパスから提出済)。
ジグザクの坂道を登って西黒尾根登山口に着き、数人のハイカーさんと前後して西黒尾根の登山道を登り始める。まだ薄暗いが、目が暗さに慣れて、なんとか歩ける。
樹林帯を急登し、登山口から20分程で送電鉄塔に登り着く頃には、すっかり空が明るくなる。ここからは少し傾斜が緩み、ブナ等の樹林に覆われた尾根を一直線に登る。さらに約30分登ると樹林が切れたところがあり、行く手にラクダの背を仰ぐ。
その後も一本調子の尾根道の登りが延々と続き、傾斜がだんだん増してくる。ようやく樹林帯から抜け、低木帯の岩尾根に出る。眺めが開けて休憩適地。一休みしたくなるが、もう少し頑張って、ラクダの背の頂上まで行ってしまおう。
岩尾根を登ると鎖場が現れる。逆コースで下る場合は気が抜けない嫌な箇所だが、登りならばホールド、スタンスがあって、楽に登ることができる。鎖場を越えると西黒尾根の上部が見通せる、谷川岳の頂上稜線には雲がかかって、頂上は見えない。
尾根を小さくアップダウンして進む。行く手には次の鎖場が現れ、先行するハイカーさんが取り付いているのが見える。この鎖場に着くと傾斜の強いつるつるな岩場で、鎖を手繰って腕力頼りで登る。さらに鎖場が続き、これを登り切るとようやくラクダの背の頂上に着く。いやー、疲れた。ここで大休止。
ラクダの背の頂上から西黒尾根の上部を眺めると、一旦、コルへ少し下がったのち、急峻な草付の尾根が立ち上がって、先行して登るハイカーさんの姿が小さく見える。谷川岳の頂上は相変わらずガスの中。これはこれで険しさが際立って、良い眺めだ。右手にはマチガ沢源頭の岩壁や東尾根の岩稜を間近に眺める。振り返れば、湯檜曽川の谷を隔てて、白毛門や笠ヶ岳を望む。頂上の周囲には夥しい数のアキアカネがツィー、ツィーと飛び交って、秋の雰囲気を感じさせる。
しばらく休んだのち出発。ラクダのコルへ緩く下り、マチガ沢から登って来た巌剛新道を合わせる。ここから岩場を交えた急坂を小さくジグザグを切りながらグングン登る。展望抜群。日差しを遮る木立がないので酷暑の夏にはつらい道だが、今日は頂上稜線に雲がかかる天気で、日が翳っているのが幸い。それでも急な登りで大汗をかく。振り返ればラクダの背が既に眼下で、一気に稼いだ高度を確認できる。
鎖場を登ると、氷河の跡と称する大きな一枚岩の上に登り着き、ここで一休みする。トマノ耳の頂上まで、あとどれくらいかな。GPSで高度を見ようとしたら電池が切れている(後日、ログを確認すると、谷川岳インフォメーションセンターを出発した直後に電池切れでログが途絶えていた)。電池を交換して高度を確認すると1750m。トマノ耳まで標高差200m、所要時間30分というところか。大分疲れてきたがあと少しだ、頑張ろー。
氷河の跡からひと登りするとようやく傾斜が緩み、ガスを透かしてトマノ耳の頂が見えてくる。肩ノ広場の大きな道標を過ぎ、笹原の緩斜面を登ってトマノ耳の頂上に着いた。
頂上は強い風に乗ってガスが流れ、東側やオキノ耳の方は真っ白で何も見えない。西から南にかけてはガスが途切れ途切れで、万太郎川現流域やオジカ沢ノ頭、肩ノ小屋が眺められる。オキノ耳への往復は展望が期待できないし、何よりも疲れたので、止めておこう。
写真にある頂上の山名標柱は、8/23に落雷で破損したそうである(肩ノ小屋のX)。
缶ビールで喉を潤して、鯖味噌煮だけを食べたのち、天神尾根で下山にかかる。ぼちぼち、天神尾根を登って来たハイカーさんとすれ違う。ロープウェイの運行開始が7時で、今9時半だから、先頭集団は2時間ちょっとでここまで登って来た訳で、なかなかの健脚だ。
途中、雨粒がポツポツ落ちて来たが、すぐに止む。大勢のハイカーさんが憩う「天狗の留まり場」を通過し、天神平を俯瞰する見晴らしの良い尾根道を下る。下るに連れてハイカーさんの数も増えて、ひっきりなしにすれ違う。
樹林帯に入り、熊穴沢避難小屋に着く。ここからは尾根を巻き、山腹をトラバースして進む。標高が1400mにさがり、風が通らないので蒸し暑い。天神峠へ登る道を右へ、その先で田尻尾根へ下る道を左に分ける。田尻尾根を下ってロープウェイ代1800円を浮かそうかとも思ったが、暑いし疲れているので、天神平へ直行する。樹林帯の切れ間からトマノ耳を振り返ると、灰色の雲がだいぶ広がっている。右に延びる西黒尾根はやはり急峻だ。
ようやく天神平が見えてきて、スキー場ゲレンデの草原に入る。天神平は家族連れ等の観光客で大賑わい。天神平に上がるリフトも乗客が多い。リフト乗り場の下に登山者向け靴洗い場の水道があり、蛇口から出る水で顔を洗い、汗を拭ってロープウェイ駅に向かう。
ロープウェイで山麓駅に下り、ベースプラザを出たところで、ハッと気が付く。眼鏡をしていない!天神平で顔を洗った際、眼鏡を外して置き忘れたらしい。普段、登山時には運転用の少し度の強い眼鏡を着用しているのだが、掛けなくてもそんなに違和感はない。それにしても気がつかないとは……大ポカ😅。運転免許証にも「眼鏡等」の条件はないので、帰りの運転は問題ない。もう古い眼鏡だし、ロープウェイ往復の金と時間をかけるのもなんなので、諦めて帰ろう。
まあ、とにかく、今日は良いトレーニングが出来た。西黒尾根の登り4時間は速くも遅くもないといったところか。帰りは「温泉センター諏訪の湯」に立ち寄る。ボディソープを忘れずに持参。さっぱり汗を流し、明るいうちに帰桐した(翌日、新しい眼鏡を注文した)。