達磨山

天気:
メンバー:T
行程:真田氏本城跡 9:10 …達磨山・達磨堂分岐 9:45 …達磨堂 10:15〜10:20 …達磨山(1430m) 11:50〜12:30 …送電鉄塔 13:30〜13:45 …達磨山・達磨堂分岐 13:55 …真田氏本城跡 14:25
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

年度の替わり目は何かと忙しくて、前回の山歩きからひと月以上も間があいた。また、このところは出かけても近場の里山歩きが続いた。久し振りの山歩きは少し遠出して、そこそこ高い山に登りたい。という訳で、東信の達磨山(1430m)に登ることを思い付いて、出かけてきました。

桐生を車で出発。上信越道を東部湯の丸ICで降り、浅間連峰・烏帽子岳の山裾を県道真田東部線で北上。登山口の真田氏本城跡に向かい、城跡の駐車場に車を置く。駐車場には綺麗なWC有り。まだ早い時間帯なので、他の車はない。ここは烏帽子岳から西へ長々と延びて落ちる尾根の末端で、上田市真田町を一望する高台にあり、展望が素晴らしい。気温が高くて春霞がかかるが、快晴の青空の下、上田市街や遥かに美ヶ原を遠望する。今日はこの春爛漫な景色が見られただけでも、来て良かったと思える。


真田氏本城跡


美ヶ原を遠望

達磨山に向かう前に城跡を見学して行く。城跡は公園として良く整備されており、芝地にベンチが点々と設置されて、展望を楽しみつつ憩うには持って来いのスポット。また、桜や花桃の花が満開で綺麗だ。ごく僅かの距離で、赤松に覆われてこんもりと盛り上がる小丘に着く。ここが本廓で、「真田氏本城」の御影石製の詩碑や石祠がある。


「真田氏本城」詩碑


城跡の石祠

本廓の先にも段々の平地のある尾根が延びる。樹林の切れ間から、西には真田町や東太郎山、東にはこれから登る達磨山の険しい山容が眺められる。尾根の末端は急斜面で切れ落ち、「切岸」の標識がある。城跡の見学はここまで。引き返して駐車場に戻る。


達磨山(中央奥)を仰ぐ


切岸


真田氏本城跡から達磨山(左)を望む


達磨堂参道入口

達磨山へは、駐車場とWCの間の林道に入る。すぐにY字路となり「達磨堂参道入口→」の道標にしたがって右の林道に入る。舗装が断続する林道で、山腹の高い所をトラバースして進む。歩き始めるとすぐに暑くなり、山シャツを脱いでTシャツ一枚となる。道端にはダンコウバイやキブシなど黄色い木の花が咲いている。


山腹をトラバースする林道を歩く


水害で荒れた沢を渡る

林道はやがて谷に入り、沢に突き当たる。沢は水害(2019年の台風19号)で荒れに荒れて、岸には土石や倒木が堆積している。進路は沢で途切れるが、右岸に渡ると林の中に明瞭な山道が続いている。山道の左の斜面は止め山で、立ち入り禁止のロープが張られている。山道を辿ると、右に送電線巡視路を分け、その少し先で「←達磨山 達磨堂↑」の古びた道標のある分岐に着く。


右岸の山道を辿る


達磨山と達磨堂の分岐

分岐を直進して達磨堂に向かう。水害で抉れた山道を辿り、左の沢に入る。この辺りからルートが怪しくなり、微かで途切れ途切れの道型を拾って、沢に沿って登ったり、急斜面をジグザグに登ったりする。先達が残したと思われるピンクテープが点在し、助かる。ジグザグの登りの途中に文字が消えた古い道標がある。ここから左にトラバースすると達磨山への登山道に出られそうである。達磨堂へは右の道を登る。


沢の左を急登


古い道標を右へ

怪しい道型を辿ると岩壁の基部を通り、崩壊した沢の源頭に突き当たる。源頭の上方にはそう高くないところに登山道の通る稜線が見えている。達磨堂は崩壊地を隔てて左岸に見える帯状の岩壁の辺りにあるようだ。足元がボロボロの崩壊地を恐る恐る渡り、岩壁の基部まで這い上がる。


岩壁の基部を通る


達磨堂へは崩落地を横断して向こうへ

岩壁の下の踏み跡を辿ると、ひときわ高い岩壁の基部に岩窟がぽっかりと口を開け、その前は小広い平地となっている。ここが達磨堂だ。予想以上に道が荒廃して分かり難かったから、無事に辿り着けて嬉しい。岩窟の中には賽銭箱や太鼓台があり、石仏と石達磨が祀られている。石達磨はシンプルな造形ながら、ずっしりと重そうで、存在感を放っている。素晴らしい。


達磨堂


達磨堂の石仏と石達磨

さて、達磨堂から達磨山へはどういうルートで行こうか。途中の道標からトラバースするか、さらに下って分岐まで戻ることになるが、また崩壊地を渡るのは気が進まないし、折角稼いだ高度を下げるのもなあ、と考えつつ少し戻った所で、上に向かうピンクテープを発見。もしかして、尾根上に抜けるルートがあるのかも。ピンクテープの先を見ると、最初は岩壁を登っているが、危ない感じはしないし、その上は立ち木のある斜面だからなんとかなりそう。登ってみよう。

岩壁を容易に越えると、岩場混じりで落ち葉が堆積した急斜面となる。ピンクテープが断続し、やはり先人が通っているようだ。すぐに稜線に抜けると思っていたが、急な支尾根をグングン登って、なかなか稜線に出ない。達磨堂から約30分、標高差にして約100mを登って、ようやく稜線に登り着き、登山道に合流する。この登りは久し振りの山歩きで鈍った脚には応えたが、面白かった。道型は無きに等しいので、一般にはお勧めしない。


少し戻って岩壁に取り付く


急斜面を直登

稜線上の登山道も急登が続く。途中、小さな瘤を越えると2,3の大きな奇岩がある。ガイド本には観音岩と親子岩の名称が記載されている(下の写真の奇岩が観音岩らしい)。


登山道に合流


奇岩(振り返って撮影)

奇岩を過ぎると、地形図の等高線の詰まり具合から見て取れる通りの急斜面の登りとなる。幸い路面は適度に柔らかく、登り易い。最後は斜め右上に登って、稜線の上に出る。この先は傾斜が緩む。振り返ると送電鉄塔が建つ尾根の向こうに上田市街や塩田平が広がる。さらに向こうの山々はすっかり霞んで、もう良く分からない。


頂上稜線直下の登り


上田市街を遠望
手前左のピークは笠つぶれ山

細く小さなアップダウンが連続する稜線を辿る。稜線を覆う雑木林はまだ冬枯れで、雰囲気は明るい。木立を透かして、烏帽子岳の端正な三角形の頂が眺められる。露岩のあるピークを過ぎ、小鞍部に下る。向こうに見える松に覆われたピークが達磨山かな。あと一息だな(結構、疲れてきている😅)。


稜線を小さく上下して進む


頂上はあのピークか

小鞍部から少し登り返し、赤松や露岩の多い稜線を小さく上下して進む。最後に一段登ると、達磨山の頂上に着く。頂上は狭いが、奥には平坦な尾根がしばらく続く。三角点標石があり、その脇に六文銭(真田氏の家紋)が描かれた山名板が転がっている。

天気は相変わらず快晴だが、頂上はさすがに少し風が冷たい。長袖シャツとULDジャケットを羽織って腰を下ろし、(風が冷たいと言いつつ)缶ビールとレトルトパウチの鯖味噌、カップヌードル・シンガポール風ラクサで昼食とする。


達磨山頂上


三角点標石と山名標識

下山は往路を戻る。しばらく頂上稜線を小さく上下して進み、少し下り始めたところで右折して右斜面に入る。この地点は最初うっかり直進してしまい、崖のような急な下りにぶち当たって道間違いに気がつき、引き返して正規ルートに入る。久し振りの山歩きで山勘も鈍ったのか、大ポカ。正規ルートも急斜面の下りだが、道型ははっきりしている。


往路を戻る


山麓を俯瞰


尾根から右折


急斜面を下る

一旦、傾斜が緩み、親子岩と観音岩を過ぎるとまた急降下。達磨堂からの直登ルートの合流点を過ぎ、登山道を辿る。ようやくなだらかな尾根となって、送電鉄塔に着く。


送電鉄塔が見えてきた


送電鉄塔で一休み

一休みしたのち、左斜面の送電線巡視路を下る。冬枯れで見通しのよい樹林の中、丹念にジグザグを切った道を下る。途中、左に達磨堂へトラバースする道が分岐するはずだが、道標を見逃したのか、どこだか分からずに通過。谷底の達磨堂分岐に下り着く。


送電線巡視路を下る


達磨堂分岐に下り着く

あとは往路の平坦な道程を戻るだけだ。荒れた沢を渡り、林道を辿る。昼を過ぎ、日当たりの良い林道は夏のように暑い(この日の上田は、最高気温が27.8℃に達する夏日となった)。真田氏本城跡に帰り着くと駐車が数台あり、城跡を観光する人がちらほら居られる。


キブシ


真田氏本城跡に帰り着く

帰りは湯楽里館に日帰り入浴で立ち寄り(510円)、急登で凝り固まった脚の筋肉を解す)。お土産に特売していた地ビールのCAPTAIN CROWを半ダース買って、桐生への帰途についた。なお、帰宅後数日は筋肉痛に見舞われた😅

参考ガイド:宮坂七郎著『新版信州の山・中部上巻』