宝篋山
正月明けも多忙が続いたが、なんとか一段落ついて、この週末はようやく暇ができた。またまた、山歩きの間隔が空いたので、ごく軽い山歩きを考えて、筑波山系南端の宝篋山(ほうきょうさん)に出かけることにする。2004年につくば市と地元有志の方々により登山道の整備が行われ、自然が豊か、頂上から関東平野を一望する展望が良い等の評判が高まり、今では年に10万人以上ものハイカーが訪れると言われる人気の里山だ。
桐生を7時過ぎに車で出発。R50、県道結城下妻線、R125を経由して、登山口の小田地区に向かう。最寄りの駐車場は宝篋山小田休憩所だが、休日は混雑しそうなので、R125を隔てて少し離れた(と言っても徒歩10分程)筑波山麓小田駐車場に車を置く。こちらの広い駐車場(90台)も5割の入りで、出発準備中のハイカーさんも居られ、人気の高さが窺える。
今日の天気は、気温は10℃を下回って寒いが快晴で、絶好の里山日和だ。駐車場の奥から裏通りを辿り、欅の大木に囲まれて風情のある八坂神社を過ぎて、小田十字路でR125を渡る。すぐ先に「宝篋山小田休憩所」の案内標識があり、左折して住宅地に沿って坂道を上がると左手の高台に休憩所、右手の二か所に登山者用駐車場がある。どちらもほぼ満車で、僅かに空きがあるだけだ。奥にゆったりと稜線を広げる宝篋山を望む。天辺の巨大な電波塔が建っているところが頂上らしい。山腹の斜面はなだらかで、大半が落葉した雑木に覆われ、低山ながら悠然とした雰囲気がある。
第二駐車場の手前で「極楽寺コース 常願寺コース」の道標に従って、右の道に入る。以降、要所に道標があって、コースで迷う箇所はほとんどない。冬で乾いた田圃の間を進むと、右手にザル池があり、水面を鴨が遊弋している。極楽寺コースを左に分け、棚田が広がる緩斜面を緩く上下して進む。畝の枯れた雑草は野焼きされて、焦げ跡が黒々と残る。もう一つの池の新池を過ぎると猪除けの柵があり、扉を開閉して通過する。
登山道は小さな谷間に入って行く。程なくY字路となり、ここは右の「沢の小道」へ。常願寺沢の細い水流に沿って登る。杉林に覆われ、下生えにはシダが青々と繁茂している。
岩の間から水が湧く「宝命水」を過ぎ、常願寺コースに合流する。この先も水流を左右に渡り返しつつ、谷間を緩く登って行く。途中の「くずしろの滝」はごく小さな滝だが、渓流歩きらしいちょっとした変化があって楽しめる。
左に宝篋山の南面をトラバースする純平(じゅんぺい)歩道を分け、渓流沿いの道を直進。すぐに雅の滝がある。落差はくずしろの滝よりはあるが、水量はかなり減ってきた。
滝を過ぎると沢を離れ、急な斜面を一直線に登る。やがて尖浅間(とがりせんげん)山頂下に着き、左に巻き道を分ける。尖浅間の頂上には、ここから僅かの登りで着く。
頂上には樹林に囲まれて岩塊があり、天辺に「尖浅間 315m」の山名標識が置かれている。小広く切り開かれた平地にベンチやテーブルが設置されていて、地元の大学生と思しきグループやソロハイカーさんが休憩している。展望は樹林に遮られるが、木立を透かして宝篋山が大きく見える。
尖浅間から宝篋山に向かうと、一旦、急坂を下ったのち、なだらかな尾根のアップダウンとなる。両側には丈の高いスズタケが蔓延っているが、幅広く刈り払いされて整備が行き届き、陽射しが差し込んで気分が良い。ゆるゆると登って394m標高点付近の広く平坦な尾根上に着く。ヤマザクラが多く、開花期には見事だろうなあ。ベンチやテーブルも多数設置されている。
ヤマザクラの林を緩く登ると、左から登ってきた極楽寺コースを合わせる。小さなピークの登りとなり、案内板で宝篋城の空堀や土塁の跡があるのを知る。
小ピークを巻くと宝篋山の頂上直下の広場に出る。立派なバイオトイレが2棟建っている。眼前のピークには巨大な電波塔が建っているのが見える。
ここから短い坂を登り、浅間神社の鳥居を潜る。左には手水の代わりになるのか、手洗車なる石車がある。右には忍性菩薩像なるブロンズ像が建つ。すぐ奥が宝篋山山頂で、大きな宝篋印塔が建つ。説明板によると、ブロンズ像になっている僧忍性(にんしょう)が在住した南麓の極楽寺に関係し、鎌倉時代中期の製作と推定されているとのことである。
頂上の周辺には多数のベンチ、テーブルの他、アームチェアまで設置され、大勢のハイカーさんが休憩中。頂上からの展望は素晴らしい。南東には霞ヶ浦の広い水面を望み、北岸が二股になっている様子がわかる。北から南西にかけては関東平野を一望する。特に、双子のピークをキリッと持ち上げる筑波山の姿が格好良い。その左には関東平野を隔てて白い日光山系を遠望するが、白雲に隠れて霞む。富士山も残念ながら雲の向こうだ。
アームチェアの一つに腰掛けて、菓子類とペットボトル飲料で軽く腹を満たす。ハイカーさんが続々到着するので、そろそろ下山しますか。復路は小田城コースを下る。こちらは尾根上に通じる山道で、冬枯れで明るい雑木林に覆われる。常緑樹のアオキが多く、他に花などがないこの時期、真っ赤な実が彩りの変化を与える。
しばらく下った地点で右に山口コース(2)を分け、さらに「←下浅間神社展望所」の道標で左に道を分ける。下浅間神社はほんのすぐそこだ。大岩の基部に石碑と小さな賽銭箱が置かれ、酒瓶が供えられている。傍には太く真っ直ぐな幹に「本榊」の名札が付いた木が生えている。神社からもう一段下がった平地が展望所で、ベンチとテーブルが置かれ、南麓の眺めが良い。往路で側を通ったザル池と新池の水面が光って見える。
鳥居を潜って小田城コースに戻る。尾根を緩く下るとコースが一旦、二手に分かれる。ここは右の大峰ルートへ。樹林に覆われたなだらかな尾根を辿る。左の本道に比べると道幅が細く、人通りが少ない感じ。「←大峰平展望所へ」という道標があるが、とくに眺めが開ける所はなく、古い道標をいくつか見て左に下ると、再び小田城コースに合流する。
コースは大きくジグザグを切って下り、左に純平歩道を分ける。高い常緑樹に覆われた平坦な尾根となり、道端に「堂平」の標識を見る。広く平坦な道を進むとY字路となる。右は富岡山頂経由、左はその巻道らしい。右に進み、左にカーブして小尾根を登る。右手の大岩の上に石祠がある。僅かな登りで富岡山頂に着く。ここにもベンチとテーブルが置かれている。樹林は開けて明るいが、梢に遮られて眺めはない。ところで、富岡山頂とは、富岡の山頂なのか、富岡山の山頂なのか、どうでもいいけどちょっと気になる😅
短い急坂を下ると巻き道と合流し、R125へ下る道を右へ分ける。尾根上を直進する道には「中世城の道」との道標がある。広く平坦な尾根道を数組のハイカーさんと前後しつつ、のんびり進む。途中、「舟ガ城跡展望所50m→」の道標に従って枝道に入ると、ベンチが置かれて、すぐ下に山麓の小田の集落が見渡せる。
本道に戻って進むと櫓と休憩舎があり、石切場の崖っぷちに出て展望が開ける。ここが要害展望所だ。この石切場はR125からも良く見えた。眺めは良いが、足元はすっぱり切れ落ちているので御用心。
石切場の崖っぷちを半周して下ると、赤い前掛けのお地蔵さんが横一列に並んでおわし、すぐ先に赤屋根の建屋(大師堂)がある。道幅が広くなり、丈の高いスズタケが密生する林の中を下る。猪除けの柵を扉で通過し、小田休憩所に帰り着く。駐車場はまだ8割方の車がある。ハイカーさんは多いが、大勢を見かけたのは山頂くらいで、山の中は広いから歩いている途中ではポツポツ交差する感じであった。
筑波山麓小田駐車場に戻る。4時間弱の軽い山歩きで、気温が低かったせいもあり、汗もほとんどかかなかった。下りで少し筋肉を使ったからリハビリにはなったかな。評判に違わず、なかなか楽しめる山であった。軽いハイキングにお勧め。駐車場で出張販売されていたジャムを土産に買って帰途につき、下道を3時間弱かけて帰桐した。
参考URL:つくば市HP「宝篋山」