寺久保山〜山王山〜鳩の峰

2020年2月29日(土)
天気:
メンバー:T
行程:駐車地点 10:45 …雷電神社 10:50 …雷電山 11:15 …寺久保山(357m) 11:50 …見晴台 12:00〜12:35 …寺久保山 12:40 …大網林道 13:10 …山王山(363m) 13:25〜13:35 …塩坂峠 14:40 …鳩の峰(317m) 14:55〜15:10 …石燈籠 15:30 …駐車地点 15:50
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

毎年のことではあるが2月は何かと忙しく、前回の山歩きから3週の間が空いた。ようやく一段落付いたものの、この間の気苦労で気力がごっそり削られた感があるので、この週末は近場の気楽な低山歩きに出かけようと考えて、佐野市近郊の寺久保山を思い付く。

寺久保山については、やまの町桐生の記事で以前から知ってはいたが、何となく藪山の印象が残っていて食指が動かず、これまで未踏で残っていた山だ。

しかし、今回登ってみたら、ハイキングコースが良く整備されていて藪は皆無、冬枯れの明るい尾根には好展望のスポットが多く、同じ山域で人気が高い三床山や大小山にも引けを取らない魅力がある山でした。足利・佐野市境稜線の山で、同じくやまの町桐生の記事で知った山王山、鳩の峰と合わせて、三山を周回して歩いてきました。

桐生を朝のんびりと車で出発。足利市街からR293を走って、「寺久保町入口」交差点で左折。丘陵地の山の端を辿って、佐野市寺久保町に入る。町と言っても、山間の田園に民家が点在する長閑な山村だ。ただし、その真ん中を北関東道の長大な高架が貫通している。

高架を潜り、「← 関東ふれあいの道 塩坂峠」の道標のある分岐を右折。谷間を上がると、冬場の乾いた田圃の向こう側の山際に雷電神社の鳥居が見える。道端の広いスペースに車を置く。今日は良く晴れて風も穏やか。フリースはザックにしまって、長袖シャツで歩き出す。谷の奥に見える傾いた台形のピークは、寺久保山の見晴台の辺りのようだ。

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雷神神社の鳥居を望む

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駐車地点から奥に見晴台を望む

駐車地点から雷電神社へは、田圃の畦を通ってショートカット。コンクリ製の鳥居を潜って古い石段を上がると、こじんまりとした社殿がある。

社殿の左から一段上がると、5台分程の駐車場が整備されている。川口ナンバーの車が1台あり、先行者がいるようだ。車を置くならこちらの方が良い。駐車場の奥に「←寺久保山入口」の古びた道標があり、ここから山道に入る。

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雷電神社

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古びた道標

山道は檜林の斜面を丁寧にジグザグを切って登って行く。要所に「←雷電神社P 見晴台・寺久保山→」との道標が設置され、良く整備されたハイキングコースが続く。

やがて、雑木林に覆われた尾根上の道となり、緩く登り上げて雷電山の頂上の一角に着く。尾根道はここで右に折れて続く。雷電山の最高点は左に折れて僅かに入ったところで、「雷電山」の山名標識がある。樹林に囲まれて展望はない。

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檜林の斜面を登る

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雷電山頂上

寺久保山へは、冬枯れの明るい雑木林に覆われた尾根道を登る。左手の谷間一面はゴルフ場となっていて、枯草色の芝生が広がっているのが眺められる。プレー中のゴルファーの姿は見当たらず、閑散としている。

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冬枯れの雑木林の尾根を辿る

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ゴルフ場越しに山王山を望む

この尾根道は雰囲気が明るくて、なかなか気持ちが良い。展望の良い露岩が現れ、前方に寺久保山のなだらかなピークを望む。寺久保山の右には台地状に張り出した稜線が見え、その突端は岩場混じりの急斜面となって切れ落ちている。いかにも展望が良さそうな突端で、あそこが見晴台なのは間違いない。

露岩が点在する尾根を緩く登り、檜林に入って医王寺を登り口とする登山道を右から合わせると、寺久保山の頂上に着く。

頂上は樹林に囲まれて展望はないが、大人数の宴会もできそうな広い平地となり、居心地は悪くない。頂上の一角に三角点標石と数種類の山名標識がある。佐野市役所山岳部が設置した「さのまる」くんのイラスト入りの標識もあり、地元に親しまれている山であることが窺える。さて、そろそろ昼時だが、昼食は見晴台に行ってにしよう。

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寺久保山に向かって尾根を辿る

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寺久保山頂上

頂上から短い急坂を下り、平坦な尾根を少し辿ると、露岩のある尾根の突端に着く。ここが見晴台だ。突端の三方は急斜面となって切れ落ち、展望も三方に開けて素晴らしい。

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見晴台へ尾根を下る

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見晴台

左(北東)には、眼下に砕石・砕砂の巨大な採掘場が見えるのが玉に瑕だが、彦間川を隔てて三床山の小さな山群を望む。今日もあちらの山はハイカーで賑わっているだろうな。目を右に転じると、田沼町の市街と唐沢山の連山、左奥には大平山・晃石山、右奥には三毳山の山群が遠望される。

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見晴台から三床山を望む

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見晴台から唐沢山を望む

見晴台から先の尾根はザレた急斜面となって落ち、下方を蛇行して延びて行くのが俯瞰される。そちらを指して「般若峠・医王寺」の道標があり、明瞭な踏み跡が通じてトラロープも張られている。こちらのルートも面白そうで、一度歩いて見たいかも。

さらに目を右に転じると、歩いて来た雷電山からの尾根が見え、その向こうにはチクチクと尖ったピークがいくつも連なる。中景のピークはこれから向かう鳩の峰、奥のチクチクは大小山の山群のようだ。

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般若峠への尾根を俯瞰

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見晴台から大小山を遠望

露岩に腰を下ろし、爽快な展望を楽しみながら昼食とする。例によって鯖味噌煮を肴に缶ビール(小)を飲み、ガソリンコンロで鍋焼きうどんをつくって食べる。最初は少し風があたって寒かったが、熱々のうどんを食べ始めると丁度良い気温になる。

昼食後、寺久保山に戻り、尾根道を山王山に向かう。こちらの道も良く整備されている。防火帯のような広い切り開きに出ると、行く手に山王山がもっこりと盛り上がって見える。一人の女性が道端の草を刈っていて、少し進んだ個所では男性が急斜面のジグザグ道に木の階段を設置していた。挨拶して道普請の礼を述べる。

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寺久保山から山王山(右)に向かう

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小さな岩場を通過

小さなアップダウンや小さな岩場のある尾根道を辿る。所々から左の谷のゴルフ場を見下ろしたり、徐々に近づく山王山が眺められて、眺めも悪くない。

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大小山への稜線を望む

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山王山に近づく

やがて、山王山から鳩の峰、大小山に繋がる足利・佐野市境稜線に着く。文字が掠れた古い道標があり、北を指して「至 山王山頂上 大網林道 足利市方面 越床自然環境愛好会」と書かれている。 まずは山王山に向かおう。

薄暗い檜林を下ると、僅かな距離で大網林道に出る。路側にとちぎナンバーの車が1台駐車していて、道普請されていた方々はここから山に入ったようだ。

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市境稜線の分岐点のもう一つの道標

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大網林道に出る

山王山は林道の向かいの山だが、そちらは急斜面で法面が高く、取り付けない。道標に従って林道を左の足利市側へ辿る。道端に7、8基の庚申塔の石碑が固って建つ。「庚安政七(1860)年申一月吉日」と刻まれた碑もあり、古くから峠道の往来があったことが窺える。

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道端の庚申塔

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しばらく大網林道を歩く

林道を250m程進んで法面が途切れたところに古い道標があり、ここから山道に入って山王山に取り付く。すぐに檜林に入り、急斜面をジグザグに登る。標高差約120mの急登で、意外と登り応えがある。

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山王山への登り口

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檜林の急斜面を登る

傾斜が緩むとなだらかな山頂に登り着く。草藪が切り開かれた平地があり、常緑樹の下の日溜りに石祠が1基、ひっそりと佇む。静かな頂だが、足利百名山の山名標があるし、登路も良く踏まれていたので、訪れる人は少なくないのかも。

祠の裏手が僅かに高いので立ち寄ってみる。雑木に囲まれ、展望は木の間を透かして北面の彦間川沿いの集落が見える程度。文字が掠れた古い山名標識が木の幹にかかっている。

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山王山頂上

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最高点の古ぼけた山名標識

一休みした後、分岐まで戻って市境稜線を南下する。こちらも良いハイキングコースだ。冬枯れの雑木林を抜けると、露岩のある尾根道となり、右(西)側の展望が開けて彦谷湯殿山や深高山が眺められ、行く手には松が生えた小ピークが現れる。この小ピークに登り着くと、道標と共に木の幹に巻き付けられたテープに「前寺久保山」と書いてある。しかし、位置的に寺久保山の前ではないので、この山名はちょっと疑問だ。

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市境稜線を鳩の峰に向かう

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明るい稜線を辿って次のピークへ

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湯殿山(左)と深高山を遠望

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前寺久保山頂上

「前寺久保山」から一旦下って登り返す。振り返ると前寺久保山の奥に山王山の円頂が眺められる。次のピークには「朝日山」の山名標があり、マジックで「GPS 9個 337m」、「22コ 人工衛星 307m」などの書き付けがある。何のことかと思ったら、GPSで標高を測位した結果が書かれているらしい。ちなみに私のGPS(先日、新調したGARMIN ETREX 22x)では標高318mと出た(^^)

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を振り返る

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朝日山の山名標識

この先も明るく気持ち良い尾根歩きが続く。301m三角点の標石は縦走路から少し左に入ったところにひっそりとある。

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明るい稜線を辿る

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露岩が点々と現れる

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301m三角点への分岐

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301m三角点

雑木林の尾根を緩々と進む。木の間を透かして鳩の峰が近づいて来る。地形図には249m標高点のすぐ北に峠道の破線路が描かれていて、てっきりここが塩坂峠かと思っていたが、稜線を越える道型は見当たらない。249m標高点で縦走路は左折。道標があり、齧られ掠れて読み難いが、行き先を指して「塩坂峠」と記されており、まだ先かと得心する。

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木立の間に鳩の峰を望む

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249m標高点へ緩く登る

この先に短い距離だが岩尾根の通過があり、足利市街の眺めが開ける。木の枝に「富士見山」の標識が掛かっているが、尾根道の途中でピークではない。既に正午をだいぶ回って大気が靄っているので、流石に富士山までは遠目が効かない。塩坂峠はこのすぐ先だ。

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「富士見山」の岩尾根

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岩尾根から足利市街を望む

峠にはベンチや「越床ハイキングコース案内図」の看板がある。それによると峠越えの道は「マンサクの花咲くみち」という関東ふれあいの道の一コースになっているらしい。

尾根を直進して鳩の峰への登りにかかる。右に樺崎八幡宮への道、続いて左に寺久保への道を分けて登ると鳩の峰の頂上に着く。

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塩坂峠

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寺久保への下り口

頂上は明るく開けた平地で、大きな石碑の裏手に登り着く。石碑の表には「鳩峯山神社改修碑」の銘と大勢の寄進者の名前が刻まれている。しかし、社殿は倒壊して既になく、木材と瓦の残骸、石段、大門中と刻まれた石柱、小さな石祠があるのみ。改修碑が立派なだけに、何となく侘しさが漂う頂だ。

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鳩の峰頂上に到着

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鳩峯山神社改修碑

頂上からは木立を透かして南麓のゴルフ場や、今朝、通ってきたR293を俯瞰する。越床峠へ続く市境稜線は結構急傾斜で落ちていて、低山にしては高度感がある。後は下るだけだから、ブロックチョコを齧ってしばしのんびりする。

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鳩の峰のかつての社前

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山麓のゴルフ場を俯瞰

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越床峠への稜線を俯瞰

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寺久保へ下る

下山は頂上から少し戻って、寺久保への道を下る。最初は落ち葉の斜面で道型が分かりにくいが、檜林に覆われた谷間に入ると明瞭なジグザグ道が現れる。林床にはシダやアオキなどの緑が多い。やがて傾斜が緩み、染み出す程度の水流に沿って谷を下る。道は少し荒れているが、谷を下れば良いので問題ない。

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檜林の急斜面をジグザグに下る

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水量が少ない谷を下る

林間の墓地を過ぎると幅広い山道となり、民家が見えて舗装道になる。この地点の左に立派な石燈籠と石柱の道標が建つ。道標の方には「御大典記念 右 足利 左 鳩峯山神宮」「大正四年十一月十日 寺久保青年会」と刻まれている。

石燈籠は「鳩峯山神社」「嘉永五子(1852)年三月吉日」の銘のある立派な物だ。これが見たかった。台座はコンクリ製で、「東日本大地震石燈籠修繕工事」「平成二十五年四月吉日」と刻まれたプレートが設置されている。頂上の社は失われたが、ここにはまだ信仰が残っているようだ。

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石燈籠と道標の石柱

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「鳩峯山神社」石燈篭

石灯籠を過ぎると北関東道の高架に突き当たる。アンダーパスを潜って反対側に抜け、民家がポツポツと点在する寺久保の集落に入る。仰げば谷間の奥に山王山の頂が黒々と盛り上がって眺められる。

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北関東道の下を潜る

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寺久保の集落から山王山を仰ぐ

北関東道から微かにロードノイズが聞こえる他は静かな田園の道を辿る。山際の梅林は丁度見頃だ。集落内で左折、山際に入ると雷電神社に戻り、田圃の畦を突っ切って駐車地点に帰り着いた。

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梅が満開

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雷電神社に戻る

今日の山歩きは約5時間の行程で、歩き応えも少なからずあったし、展望と変化に富んだコースで楽しく歩けた。近場の低山歩きも佳いものである。COVID-19で騒がれる時節柄、人混みは避けて、真っ直ぐ帰桐した。

参考ガイド:栃木の山150(随想社、2013年)


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