川苔山〜本仁田山

天気:
メンバー:T
行程:川乗橋 7:45 …細倉橋 8:20 …百尋ノ滝 9:10 …足毛岩分岐 9:55 …足毛岩の肩 10:20 …川苔山(1363m) 11:00〜11:30 …大ダワ 12:35〜12:40 …本仁田山(1224m) 13:25〜13:35 …安寺沢 14:40 …奥多摩駅 15:15
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末は土曜日に横浜に帰省するので、日曜日に桐生に戻りがてら、奥多摩の川苔山と本仁田山(ほにたやま)に登る計画を立てる。この2座は個別に登ったことがあるが、どちらも奥多摩駅が氷川駅と呼ばれていた約半世紀前(^^;)のことで、断片的な記憶しかないから、初めて登るようなものである。川苔山には奥多摩の名瀑・百尋ノ滝(ひゃくひろのたき)を経て登ることにする。百尋ノ滝を訪れるのは全くの初めてだ。

朝5時前に実家を発ち、田園都市線、南武線を経て、立川駅で青梅線に乗り換える。車内にはハイカーさんが大勢。終点の奥多摩7:18着で、ドッとハイカーさんが下車する。7:23発の東日原行バスに乗るつもりで、大急ぎでWCを済ませてバス停に向かうと、東日原行の前に川乗橋行の臨時バスが出るとのこと。西東京バスの対応は素晴らしい。臨時バスは満席で発車し、15分程で川乗橋バス停に到着。バスから降り立ったハイカーさんは、三々五々、出発して行く。職場仲間という感じの若い人のグループが結構多い。

車止めのゲートを通り、岩盤を深く刻み込んで流れる川苔谷を脇に見て、林道川乗線を歩く。今日は快晴で風もなく、絶好の山歩き日和だ。谷を覆う鮮やかな新緑を眺めつつ、林道を緩く登る。

川苔山登山口@川乗橋
林道川乗線を歩く

35分程で細倉橋を渡り、右岸の登山道に入る。入口にバイオトイレがあるが、調整中のため使用不可だった。登山道から、行く手に切れ落ちた尾根を高々と見上げる。地図を見ると、切れ落ちている所を足毛岩と呼ぶらしい。

細倉橋
足毛岩を望む

登山道は渓流に沿い、何度も木橋を渡って遡って行く。ところどころに深い釜をもつ滝をかけ、なかなかの美渓だ。

川苔谷を遡る
何本も木橋が架かる

両岸は切り立って、岩壁が迫る。左岸の岩壁を、岩を削った道でジグザグに登り、かなり高い所まで追い上げられる。対岸の岩壁は恐ろしい高さで、陽を浴びて白く輝いている。道は岩壁をトラバース。通行注意の札があり、「滑落事故発生 2019.4.23」との手書き文が加えられている。川苔山への道を右に分け、階段が設置された急坂を谷底へ降りると、百尋ノ滝の下に着く。百尋ノ滝は落差約40m。黒光りする岩壁を豊富な水量が飛沫となって流れ落ちる様は優美かつ豪壮。周囲は高い岩壁に取り囲まれ、威圧感がある。

百尋ノ滝の直ぐ下流辺り
水際のヒメレンゲ
岩を削った道を登る
百尋ノ滝(落差約40m)

百尋ノ滝から分岐に戻り、川苔山に向かって左岸の急斜面を斜めに登って行く。ここは、金邦夫著『すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘』で奥多摩の「魔の場所」と称している所で、2012年11月に起きた転落事故(川苔谷の川原まで150m転落)と救助についての顛末が書かれている。実際に来てみると、しっかりした道型と手摺のロープがあるとは言え、下を覗き込むのも恐ろしい高さと傾斜で、一歩踏み外したら一巻の終わり。「魔の場所」は伊達じゃない。よく、一般登山道を通したものだと思う。

転落事故多発箇所
枝沢を渡る

ようやく急斜面を脱し、なだらかな山腹をトラバースする道となる。枝沢を渡ると足毛岩分岐に着いて、道が二手に分かれる。どちらを行っても川苔山に至り、多くのハイカーさんは距離が短い左の道に入るが、足毛岩に興味を持ったので右へ。

足毛岩分岐
トウゴクミツバツツジ

ちょうど花を付けたハシドコロが群生する枝沢を横切り、山腹をトラバースすると「足毛岩の肩」の道標のある小尾根の上に登り着く。ここから分岐して大ダワに至るトラバース道は、崩落のため通行止になっている。足毛岩はこの小尾根の末端かな。行ってみると、樹林に覆われて確とは見えないが、尾根の左(南)側は切れ落ちた岩壁になっているようだ。残念ながら展望は全くない。

ハシリドコロの群生地を横切る
足毛岩の肩

足毛岩の肩からは新緑に覆われた尾根を登る。やがて防火帯に出て、行く手に川苔山の頂上を望む。

新緑の尾根を登る
防火帯を辿って川苔山に向かう

防火帯を辿り、最後は急坂を登り詰めると、大勢のハイカーさんが憩う川苔山の頂上に着く。頂上は小広い平地で、御影石製の立派な山名標識と案内図がある。周囲にいくつかベンチがあり、その一つに腰掛けて昼食とする。まずは缶ビール。陽射しが強く、暑いくらいだから格別。それから、カップ麺の坦々麺を作って食べる。頂上からの展望は北西が開け、鷹ノ巣山や雲取山が眺められる。残念ながら、今日は気温が高いため、霞がかかる。

川苔山頂上に登り着く
川苔山頂上
左奥は雲取山

昼食後、次の本仁田山に向かう。防火帯の尾根を緩く下るとすぐに十字路となり、曲ヶ谷北峰への道を左に見て、右の道に入る。緩斜面をトラバースすると、途中に水場の道標がある。水場に立ち寄ってみると、すぐに舟井戸と呼ばれる浅い谷に降りる。斜面からジクジクと水が染み出し、小さな流れを作っているが、枯れ葉と泥が混じって、水を汲むことは難しそう。と言う訳で、水場への往復は無駄足に終わる(^^;)。

防火帯を緩く下る
左は曲ヶ谷北峰への道
右の道に入る
山腹をトラバース
舟井戸の水場

登山道は曲ヶ谷北峰から直接下って来た道を合わせると、ベンチのある鞍部に着く。ここから左へ山腹をトラバースして行く道は鳩ノ巣駅への下山路だ。本仁田山へは、直進して防火帯の尾根を登る。この尾根は鋸尾根と呼ばれている。

なだらかな尾根を下る
左は鳩ノ巣駅への下山路
右の道に入る

防火帯の尾根を登り、小ピークを越えると、行く手に緑に覆われてこんもりと盛り上がる本仁田山が眺められる。尾根を下って行くと傾斜が増して岩場に差し掛かり、左斜面を巻いて下る。この斜面はかなり急で、固定ロープが張られているが、結構危ない。

本仁田山(中景)を望む
最初の岩場の巻道を
下って振り返る

さらに尾根を下ると、また岩場があって、左から巻いて下る。こちらも急で足場が脆く、さらに危ない。巻き終わったときはホッとした。尾根通しに下った方が良かったかも。

次の岩場の巻道
瘤高山と本仁田山(右)を望む

本仁田山を正面に見ながら一直線状の尾根を急降下すると、大ダワに下り着き、舟井戸から鋸尾根を巻く道(こちらも危険な桟道が続くらしい)を合わせる。

大ダワに向かって急降下
大ダワ

一休みしたのち、左に鳩ノ巣駅への下山路を見送って、正面の尾根に取り付く。急で長い坂を登り切ると、防火帯のある杉ノ尾根の上に着き、鳩ノ巣駅からの道と合流する。この地点は瘤高(こぶたか)山と呼ばれているが、尾根の肩のようなところで、あまり頂という感じはしない。

大ダワから登り返しの急坂
瘤高山頂上
杉ノ尾根の道と合流

ここからは緩やかな尾根道となり、小さなアップダウンを経て本仁田山頂上に登り着く。

頂上は樹林に取り囲まれ、一部の切り開きから関東平野が眺められるが、それも今日は霞んでいて、展望に恵まれない。地味な頂だ。ハイカーさんも、年配グループが1組休憩しているのみで、川苔山に比べると随分少ない。切株に腰掛けて、しばし休憩する。

本仁田山への尾根道
本仁田山頂上

奥多摩駅に向かって下ると、頂上直下で左に花折戸尾根方面への道を分ける。そちらの道には、鳩ノ巣駅側登山口の橋が封鎖されて渡れない、との案内看板が出ている(後日ネットで調べると、橋を回避して渡れるようである)。

右の大休場(おおやすんば)尾根に入ると、雑木が所々に混じる杉植林帯の中、一直線状の尾根をひたすらに下る。

花折戸尾根分岐
右に下る
急な尾根を下る

この下りは長く(標高差が約400mある)、うんざりする頃、右折の道標が現れ、尾根を離れて右斜面に入る。ここから安寺沢まで、急斜面をジグザグに下る道が続く。

尾根から右斜面に入る
ザレた急斜面を下る

漸く安寺沢に下り着き、民家の角を曲がって車道に出る。この民家は車道から少し高い場所にあり、専用のモノラックが敷設されている。残りの水を飲み干したあと、車道を下って奥多摩駅に向かう。軌道跡の橋を潜ると、奥多摩工業氷川工場の石灰石化工の巨大プラント群が見えてくる。ちょっとSF的な光景だ。夫婦橋で日原川を渡ると、橋下の河原はマス釣り場で、釣りやBBQを楽しむ大勢の客で賑わっている。

安寺沢の車道に下り着く
夫婦橋から日原川のマス釣り場と
石灰石工場を望む

北氷川橋でもう一度、日原川を渡る。橋上から望む円錐台形の愛宕山は、大岳山から奥多摩駅へ歩いた際(これも半世紀前^^;)に歩いたことがあり、下りの階段が長かった覚えがある。今回、奥多摩の山を奥多摩側から久し振りに登ってみたが、険しい所もあり、歩き応えも十分で、メジャーな山域とは言え侮れない。改めて登ってみて、大変楽しめた。また来てもいいな。

北氷川橋から日原川と
愛宕山を望む
奥多摩駅

奥多摩駅に着くと、帰りのハイカーさんが徒歩やバスで続々と戻って来ている。列車の待ち時間があれば宴会して帰ろうと思っていたのだが、ちょうど15:27発の東京行き特別快速があるのでサクッと乗車。新宿で湘南新宿ライン、小山で両毛線に乗り換え、桐生19:26着で帰宅した。