鹿俣山〜獅子ヶ鼻山

天気:
メンバー:M,O,T
行程:スキー場トップ 8:35 …鹿俣山(1637m) 9:05 …獅子ヶ鼻山(1875m) 11:15〜11:55 …鹿俣山 13:20 …スキー場駐車場 14:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

Mさんより、玉原(たんばら)から剣ヶ峰山(西武尊)に登りませんか、とのメールを頂いた。鹿俣(かのまた)山から獅子ヶ鼻山を経て剣ヶ峰山に至る稜線を辿る計画とのこと。このルートを踏破したことのあるMさんによると、獅子ヶ鼻山を越えて向こう側に下る個所が懸垂下降を要し、非常に難しいらしい。まあ、無理そうならば獅子ヶ鼻山までということで。Oさんも参加して、3人パーティで出かけて来ました。

桐生を早朝5時半に私の車で出発。沼田ICで関越道を降りて、たんばらスキーパークに向かい、スキー場の駐車場(休日は1000円)に車を置く。営業開始の8時くらいの時刻なので、駐車場はまだ2割くらいの入り。しかし、後続がどんどんやってくる。今日はOさんが山スキー、Mさんと私はワカンだ。アイゼンとピッケルも携行する。晴れで暖かいとの予報に反し、曇って時々小雪が舞うような天気。寒いので初手から防寒具をほぼ総動員し、オーバーズボン、薄手のフリースの上にジャケットを着る。

リフト券売り場の脇に登山届のポストがあり、必要事項を記入して投函する。営業時間を過ぎて持ち主が戻ってこない駐車があると、然るべき所に連絡がいくらしい。リフト2本でスキー場トップまで上がるので、一回券(500円)を2枚買う。結構高い(>_<)。

リフトを乗り継ぎ、終点でワカン(Oさんはスキー)を付け、ゲレンデを出て登り始める。最初はブナ林の緩斜面で、トレースはなく、Mさんを先頭に進む。雪は深くサラサラの新雪で、踝から足首くらいまで潜る。やがて幅広く緩い尾根となり、右(南)側に大きな雪庇が続く。晴れていれば展望が開けて気持ち良さそうな雪尾根歩きだが、今は雪雲に閉ざされて何も見えない。登り始めれば身体が温まって、ジャケットの下のフリースを脱ぐ。平坦になると鹿俣山の頂上で、立ち木に山名標識が掛けられている。

スキー場トップにて出発準備
新雪ふかふかのブナ林に分け入る
鹿俣山へ尾根上を登る
鹿俣山頂上の山名標識

鹿俣山を過ぎると幅広い雪稜が続く。右は大きく張り出した雪庇となり、そちら側に寄ると危ない。なるべく左の樹林との境目を歩く。稜線上の雪は(写真では平坦にみえるが)強風で大きくうねっており、スキーではちょっと歩きにくそう。1685m標高点の辺りで一休みし、山専ボトルに入れてきた熱いココアを飲んで、パンを少々腹に入れる。晴天の気楽な残雪の山歩きを想定していたが、この雪の量と天候は、むしろ厳冬期の雰囲気である。しかし、これはこれで面白い。

小ピークを越えたあたりで、Oさんはスキーをデポして、つぼ足となる。行く手に見えるはずの獅子ヶ鼻山の頂上は雪雲の中に隠れているが、この頃から少しガスが切れて、北側の藤原方面の眺めが開ける。山麓まで真っ白、雪が多い。この春の県北部の残雪の山歩きは、なかなか楽しめそうである。

目指す獅子ヶ鼻山は雪雲の中
鹿俣山を振り返る
藤原方面の展望
漸く獅子ヶ鼻山が見える

獅子ヶ鼻山への登りにかかると雲が上がって、漸く頂上が見えてくる。稜線の右側には雪庇が続き、雪面はますます大きくうねっている。登りの途中に樹林に覆われた岩場があり、稜線上は進めないので左の樹林帯に入る。シャクナゲやダケカンバが密生している間に雪が積もって、歩きにくい。

樹林を抜けると再び開けた雪稜となり、傾斜を増して登って行く。風に叩かれて雪面が少し堅いので、Oさんはアイゼンをつける。

獅子ヶ鼻山への登り
堅い雪の斜面を登る

最後の急登をこなすと、細長く痩せた獅子ヶ鼻山頂上に登り着く。右(南)側は雪庇で、その下は急な崖だ。どこが最高点か判然としない頂上だが、先に進んで頂上稜線の末端まで行ってみる。左右と前の三方がスッパリ切れ落ちて、下がどうなっているか全く見えない。一歩でも踏み外したらアウト。足元の雪が妙に頼りなく感じて、居心地が悪い。

当然、ここから剣ヶ峰山に向かう計画は断念(Mさんは、懸垂下降の支点となるハイマツが雪に埋もれていなければ、行きたそうであった)。少し戻ったところの足場の良い雪の窪みで昼食とする。キリンフリーも持って来たんだが、さすがにこの状況では飲む気が起こらんな。

獅子ヶ鼻山頂上から
剣ヶ峰山方面を望む
獅子ヶ鼻山の末端に立つMさん

下山は往路を戻る。頂上からの下りは、念のためアイゼンをつける。下るにつれて青空も覗き、獅子ヶ鼻山の右奥に剣ヶ峰山が見え始める。剣ヶ峰山は武尊山の衛星峰の一つだが、こちらから見ると主峰の貫禄がある。

獅子ヶ鼻山の頂上稜線(Mさん撮影)
獅子ヶ鼻山(左)と剣ヶ峰山(右)

途中の樹林帯を抜け、快調に下って行くと、十数名の熟年パーティーとすれ違った。Oさんがスキーをデポした地点で、私もワカンに履き替える。Oさんはピークを巻いて北側の樹林の中をトラバースしているようだ。そこそこ滑れるようで、稜線通しに歩く我々よりはさすがに早い。

鹿俣山の頂上に戻ると、往路では見えなかったスキー場と玉原湖を俯瞰することができる。あとはスキー場脇のブナ林の中を下るが、雪が深くて結構歩きにくい。結局、ゲレンデの端っこを歩いて下り、駐車場に戻った。

鹿俣山への稜線
剣ヶ峰山の上に青空が覗く
鹿俣山頂上から玉原湖を俯瞰
ゲレンデから鹿俣山を仰ぐ

帰りは、戸神山東麓にある酒蔵の永井本家に立ち寄る。ここで以前買ったことのある利根錦の純米吟醸は、県内の酒では一番旨いと思うのだが、残念ながら発売の時期ではなかったので、新酒の生酒を買って帰途についた。