鍋冠山〜大滝山

2017年6月3日(土)
天気:時々
メンバー:T
行程:小倉口 7:20 …冷沢 8:15〜8:25 …鍋冠山(2194m) 9:40〜9:50 …鍋冠山分岐 12:15 …大滝山南峰(2615m) 12:30〜13:00 …鍋冠山分岐 13:20 …鍋冠山 14:55〜15:00 …冷沢 15:50 …小倉口 16:40
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

桐生を早朝4時過ぎに車で出発。北関東道、上信越道、長野道と走って、安曇野ICで高速を降りる。今日は良く晴れて、稜線に雪を残す常念岳の整った三角形の山容が、青空を突き刺さして高く聳える。その左に見える鍋を伏せたような円頂峰が鍋冠山だ。

長閑な田園が広がる安曇野を横断して、西山の山麓の北小倉の集落から三郷スカイラインを登る。スカイラインといっても幅の狭い普通の舗装林道だ。見通しの悪い急カーブが連続して標高を上げる。

終点近くに近年整備された広い登山者用駐車場があり、ここに車を置く。既に地元ナンバーの車が1台。先行者がいるようだ。駐車場の奥には真新しくて綺麗なWC有り。「大滝山登山道案内図」の看板があり、小倉口(現在地)から鍋冠山を経て大滝山まで11.8km、5時間半と書いてある。長丁場になるが、今日は大滝山まで日帰りで往復するつもりだ。

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安曇野から鍋冠山(左)と
常念岳を仰ぐ

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三郷スカイライン終点近くの
登山者用駐車場

駐車場からウッドチップを敷いた歩道をちょっと歩いて、展望台に上がる。標高1400mの高所にあり、安曇野を俯瞰する展望が抜群。美ヶ原や鉢伏山、その向こうに八ヶ岳連峰を望み、遠くには富士山が霞んで見える。

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展望台

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展望台からの安曇野の眺望

展望台のすぐ先で未舗装の鍋冠林道に入り、山腹の右斜面をトラバースして緩く登る。途中でサルの群れを見た。してみると、路上の落とし物のうち、中型はきゃつらのものか。なお、大型もあり。ゲートがあり、ここまでは車で入れるが、付近に駐車余地はほぼない。周囲の鮮やかな緑と、ところどころで開ける山麓や鍋冠山の眺めを楽しみつつ歩く。

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鍋冠林道のゲート

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林道から鍋冠山を仰ぐ

林道が峠を越えるところに「冷沢 標高1722m」の標識がある。峠には笹藪に覆われた空堀があり、降りてみると用水路の堰と石祠、「冷沢用水の由来」という説明板が立つ。説明板によると、江戸時代に山麓の稲作の用水確保のため、6年の歳月をかけて峠を掘割り、木樋を作って、冷沢の水を安曇野に導いた(完成は1817年)。現在は送水管に改修されたが、今も冷沢の水は安曇野に流れている、とのこと。峠の向こう側にはわずかに低い所を冷沢が流れ、水の補給も可能だ。

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冷沢の登山道入口

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冷沢用水

ここから登山道が始まる。林道歩きでひと汗かいたので、Tシャツ1枚になって登山道に入る。シラビソやコメツガの類の針葉樹林を緩く登り、なだらかな尾根の上に出て、緩く登る。道端にはイワカガミの群落があり、ちょうどピンクの花がたくさん咲いている。

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なだらかな尾根道

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イワカガミ

針葉樹やダケカンバ、下生えの笹原の中を登ると、「鍋冠山まであと2km」との木彫りの道標がある。以降、1km置きに「〇〇まで○km」の道標があり、展望がなく単調な道のりが続く中にあって、長丁場のどこまで歩いたかの、良い目安となる。

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鍋冠山まであと2km

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針葉樹林帯を緩く登る

樹林に覆われて広く平坦なピークを過ぎ、再び緩い登りに転じる。点々と残雪が現れ、所々で雪を踏んで登ると、三角点標石と山名標のある鍋冠山頂上に着く。樹林に囲まれて展望は全くなく、地味な山頂だが、小広い平地に静かに日差しが降り注いで、落ち着ける雰囲気。腰を下ろして一休みし、小腹が減ったのでチョコレートを齧って水を飲む。

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残雪が現れる

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鍋冠山頂上

大滝山へは、鍋冠山から幅広い尾根を標高差で100m程をゆるゆると降ったのち、ゆるゆると上下して進む。相変わらず展望はなく、木の間を透かして常念岳がわずかに見える程度である。最低鞍部付近は幅広く、二重山稜のような地形を示す。地形図には、この辺りに「八丁ダルミ」との記載がある。なだらかで歩き易い道が続き、距離をどんどん稼ぐ。

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針葉樹林の尾根を辿る

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大滝山北峰まであと2km

「大滝山北峰まであと2km」の道標を過ぎると尾根の傾斜が増し、大滝山の頂上稜線に向かって標高差約450mの登りにかかる。登山道は樹林の中を小さくジグザグを切って登る。残雪が現れ、最初は断続的に、それからべったりと登山道を覆い隠す。尾根上にこんなに雪が残っているとは想定が甘かった。今回はアイゼン、ピッケル、スパッツは携行していない。幸い、雪は適度な堅さで、今の所、登高に支障はないが、頂上稜線直下の等高線が混み合っている箇所の雪がどうなっているか。敗退も有り得る、と不安が生ずる。

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断続的に残雪が現れる

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登山道を覆う残雪

残雪と、残雪の間に見え隠れする登山道を繋いで急登すると、頂上稜線が近づいて、その直下に急な雪の斜面があるのが見える。斜面の下方の谷には雪が切れ切れに続き、万一滑落したらタダでは済まない。これはどうしようかな、と思案していると、稜線上に人影が現れ、ダケカンバやハイマツの枝を掴みながら降りて来た。先行していたハイカーさんが戻って来たようだ。無事に雪斜面を下ったハイカーさん(男性単独行)と挨拶を交わす。おかげでルートも分かったし、ここはなんとかなりそうである。

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主稜線直下の残雪

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鍋冠山を振り返る

雪斜面を慎重に登って頂上稜線の上に出ると、眼前に峩々とした岩肌に雪を纏う穂高連峰が現れる。手前の長々と尾を引く稜線は長塀尾根で、右に緩やかに高まって蝶ヶ岳に至る。蝶ヶ岳の肩から槍ヶ岳の先端がちょっとだけ見えている。さらに右に目を転じて、常念岳の頂上を認める。朝方に較べると雲が多くなって来たが、槍・穂高連峰を間近に眺めることができて、いやー、良かった。

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穂高連峰と槍ヶ岳(右)を望む

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常念岳を望む

稜線を左(南)に向かい、ハイマツの切り開き道を少し進むと、まだ軒先まで雪に埋もれた大滝山荘の前に出る。もちろん、営業期間外。この冬は里山歩きばかりで、雪を踏んだのは正月だけだったから、こういう雪山の風景を見るのは久しぶりだ。雪に反射する日光が眩しい。程よい堅さに締まった雪を踏んで、三角点のある大滝山南峰に向かう。

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大滝山荘

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大滝山(南峰)に向かう

大滝山南峰の頂上はハイマツを切り開いた平地となり、雪は消えている。360度の展望が開け、誰もいないから独り占め。安曇野を見下ろす位置に腰を下ろして、昼食とする。2600mの高所で、少し風があるが、長袖シャツを着るだけで快適な陽気だ。

まずは、残雪で缶ビールを良く冷やして鯖味噌煮を肴に飲み、カップ麺の鴨だし蕎麦を食べる。長丁場と最後の急登で溜まった疲労がエネルギー充填とともに解消されて、復路を歩く元気が出てくる。まあ、帰りはほとんどが緩い下りだから、楽だろう。

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大滝山(南峰)頂上

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大滝山から安曇野を俯瞰

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大滝山(南峰)から鉢盛山を遠望

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大滝山(南峰)から徳本峠方面を望む

昼食後、往路を忠実に戻る。大滝山北峰でもう一度、穂高連峰をカメラに収める。さらに雲が増して、槍ヶ岳と常念岳は既に見えなくなっている。山の好天は長続きしない。

稜線直下の雪の急斜面を下れば、あとの道程は問題ない。少し雪が柔らかくなって、数回、雪を踏み抜いた。鍋冠山への標高差約100mの登りは少々応えて、頂上で小休止。残りはほぼ下り一方で、駐車場に帰り着く。歩いている間は暑いくらいだったが、既に陽が傾き始めて、風が冷たい。すぐに体が冷え、身震いをして車に乗り込む。

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大滝山(北峰)から
穂高連峰を望む

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大滝山(北峰)から
蝶ヶ岳に続く稜線

帰りは三郷スカイラインからほど近い、安曇野みさとファインビュー室山に日帰り入浴で立ち寄る(530円)。室山の丘の上に立派な宿舎が建つ。客が多くて賑わい、宿泊客も多いようだ。湯質はアルカリ性単純温泉だそうで、ヌルヌルして温泉らしい。ゆっくり湯船に浸かって温まり、筋肉のコリをほぐす。うーむ、極楽。それから、安曇野IC近くのファミレスで夕食を済ませたのち、夜の高速をひた走って帰宅の途についた。


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