琴平山(栃木市)

2017年2月11日(土)
天気:
メンバー:T
行程:表参道入口 12:50 …琴平山(340m) 13:25〜13:40 …裏参道入口 14:00 …表参道入口 14:35
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末は日曜日に桐生市堀マラソンに参加して10kmを走る予定なので、前日の土曜日はごく軽い行程に留めた山歩きがしたい。先週、佐野・栃木市境尾根を歩いたときに偶然お会いしたみつまんさんの山行記録を読み、市境尾根から少し外れた岩山の上にあるという琴平神社に興味を惹かれた。これは行く先の良い候補になりそうである。

琴平神社HPに拠ると、琴平神社は安永元(1772)年に讃岐の金毘羅宮から神璽(みたま)を迎えて鞍掛山の頂上に祀ったのが始まり。水上交通の守護神として栃木市を流れる巴波川(うずまがわ)や秋山川の舟運(しゅううん)関係者の信仰を集め、明治初期には多くの参拝者を迎えて山頂に茶屋が数十軒も建ち並ぶほど栄えたが、明治中期頃から急速に発達した陸上交通によって河川貿易が取って代わられると、神社も衰退したとのこと。昭和20年の大火事で社屋は失われ、現在の社殿はその後に再建されたものらしい。

鞍掛山は現在では琴平山(ことひらさん)と呼ばれて、表と裏の二つの参道がハイキングコースとなっている。『栃木の山150』(随想社)にも琴平山としてガイドが掲載され、それに拠ると約2時間の行程で登頂することができる。これは今回の山歩きにピッタリじゃなかろうか、という訳で行く先が決定し、出かけてきました。

ブランチをとったのち、桐生をのんびり11時過ぎに車で出発。高速を栃木ICで降りて、県道柏倉葛生線を葛生方面に向かう。田園地帯から低い山並みの間の開けた谷に入って行くと、行く手にこんもりと盛り上がった琴平山が見えてくる。

山麓の表参道入口には路側に2台程の駐車スペースがあり、既に1台の車があるが、ちょうどハイカーさんが山から戻り、車に乗って帰っていった。ここに車を置き、ザックにペットボトル飲料とお菓子のみを入れた軽装で歩き出す。まず、急で長い石段を登る。

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東麓の柏倉町より琴平山を望む

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表参道入口

石段を登り切ると石鳥居があり、その先は深く抉れた山道が尾根上に続く。この深い掘り込みはかつての大勢の参拝者によるものだろうか。赤土の上に落ち葉が深く積もって、雨上がりには滑って難儀しそうな道である。ときおり、山麓のカートサーキット場から走行音が聞こえてくるのが多少耳障りだが、参道の雰囲気は良い。

途中にも石段があり、「坂道気をつけてネ!」と書いた小さな看板の先は再び掘割道。傾斜の緩いナメ滝をヒタヒタと登っているような気がしてくる(^^;)。道の両側には常緑樹のサカキ?が茂り、神社の参道らしい風情がある。

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石段を登って石鳥居を潜る

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途中の石段

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掘割状の坂道が続く

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参道の両側には常緑樹

三ヶ所目の石段を登ると「この先急な坂ありません」と書いた看板があり、左山腹をトラバースする道となる。小さな石段を登ると「神社まであと10分」の標識があり、杉林の急斜面をジグザグに登ると、城郭のような高く立派な石垣の下に着く。

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山腹の巻道に入る

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城郭のような石垣の下に着く

ここから神社正面の最後の石段を登る。この石段はかなり急で、滑るとただでは済まない感じ。「この先急な坂はないと言ったな、あれは嘘だ」というセリフが何故か脳内で再生される(一応、巻道もある)。足元に注意して登っていると何やら良い香りがし、上を見るとロウバイが咲いていた。寒い日が続くが、春は確実に近づいている。

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神社正面の石段を登る

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ロウバイが良い香りを放つ

石段を登り切ると琴平山の頂上で、琴平神社の境内が開ける。山上にこのような広い境内と立派な拝殿、社務所があるのに驚く。石段の上から東面の眺めが良く、山麓の柏倉の集落や栃木市近郊の平野部を俯瞰し、筑波山を遠望する。

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琴平神社のある琴平山頂上

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柏倉町を俯瞰する

境内には舟形の手水舎や重さ百二十貫(450kg)の大錨を奉納した記念の碑、本殿改築記念の碑などの石碑がある。戦時中に鉄は供出されたそうで、錨は残っていない。本殿改築記念碑には次のように刻まれている。

当部落の産土神琴平神社の本殿は大東亜戦争後間もなく業火に遭ひ灰燼に帰して以来幾度か再建の議起ると雖も機熟せず永らく延引するの止むなき有様氏子一同見るに忍びず遂に昭和三十四年七月十日之が敢行と決議 八月一日着工以来四方の浄財湧然と集まり九月二日上棟式の儀を経て昭和三十五年三月十三日見事盛大なる遷宮式を挙行する次第 我等一同感激に絶えず茲に広大なる神徳を敬ふとともにの大方の芳志を刻して永へに讃へんとす

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舟形の手水舎

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琴平神社拝殿

大きくて古びた鈴が四つも下がった拝殿に参拝したのち、本殿の裏手から裏参道に入って下山する。こちらも表参道以上に道が良い。庭として手入れされた平地を少し進んで、大きな岩場を石段で下る。途中、台座に「足利町」と刻まれた大きな石灯籠が建つ。これも渡良瀬川舟運の関係者が奉納したものだろう。

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裏参道を下る

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足利町が献上した石灯籠

尾根を辿って市境尾根上の小ピークに着く。電波塔が建ち、樅の大木がある。そのすぐ先に真新しい休憩所があり、御影石の腰掛けやテーブルが設置されている。脇の「四阿建設記念碑」によると昨年8月に建てられたとのこと。

休憩所の奥は伐採斜面に面して、西の眺めが良い。手前には安蘇山塊、その奥には白く冠雪した浅間山から赤城山、袈裟丸山、皇海山まで遠望できる。良い眺めだが、強風が吹き付けて、寒さで震え上がる。

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休憩所(草文庵)

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袈裟丸山(左)と皇海山を遠望

休憩所から杉林の中の幅広い山道を緩く下ると、県道柏倉葛生線が市境尾根を越える峠に着く。ここが裏参道入口で、「下野國柏倉鎮座 琴平神社參道 昭和三十七年五月十日建立」と刻まれた石柱が建つ。

あとは車道を下って車を置いた表参道入口まで戻るだけだ。途中、可能ならば車道のカーブをショートカットしてやろうと思ったが、どこも藪っぽい急斜面か高い擁壁があるため、結局終始車道を辿って、駐車地点に戻り着く。計1時間45分のごく短い行程だったが、琴平神社の歴史に触れて非常に面白い山歩きができた。

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裏参道入口

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車道を下って表参道入口に戻る

帰りは葛生に抜けて、新井屋で味噌まんじゅうを土産に買ったのち、牛の沢出原林道、近沢林道、県道桐生田沼線を経由して帰桐した(各峠越えの一部に凍結あり要注意)。なお、翌日のマラソンはなんとか1時間を切って完走した。


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