三床山〜閑馬岩峰群〜近沢峠

天気:
メンバー:T
行程:根古屋森林公園バス停 6:46 =(バス)= 三床山入口 7:20 …鹿嶋神社 7:35 …三床山(335m) 8:10 …桜山 9:00 …天ヶ岳(325m) 9:30 …林山(405m) 10:15 …金原山(427m) 11:10 …林道長谷場閑馬線 11:25 …閑馬岩峰群P1 11:50〜12:05 …P6 12:30 …高鳥屋山(514m) 13:50〜14:00 …近沢峠 15:45 …根古屋森林公園駐車場 16:30
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先週末は安蘇山塊・閑馬川右岸の千躰庚申山〜石尊山〜大久保山を長駆縦走して楽しめたので、次は閑馬川を挟んで反対側の山系を歩いてみよう。田沼町史によると、こちらの山系には高鳥屋山、金原山、三床山があると書かれている。このうち、高鳥屋山は地形図に山名の記載がない。三床山(みとこやま)はハイカーに人気の里山で、私も歩いたことがある(山行記録)。金原山(かなはらさん)と高鳥屋山の間には閑馬岩峰群がある。その筋の方々の山行記録を読んで、以前から私も行ってみたいと思っていた所だ。三床山から高鳥屋山まで歩き通すと、これがまた丸一日行程のコースとなり、歩き応えがあって面白そう。という訳で、先週に続いて安蘇山塊の山歩きに出かけてきました。

先週と同じく、根古屋森林公園の駐車場に車を置き、根古屋森林公園バス停6:46発の「さーのって号」に乗車。バスは途中で閑馬川の上流に向かい、金原バス停で折り返す。金原では、車窓からギザギザの稜線を連ねる閑馬岩峰群が眺められ、今日、あの上を歩くと思ってワクワクする。

上西原バス停を過ぎ、三床山入口で運転手さんに声を掛けて下車。稲株が残る田圃の間を歩いて三床山に向かう。山麓には、前に来た時にはなかった大規模な太陽光パネル群が設置されている。朝早いので、鹿嶋神社の駐車場の車は1台のみ。神社に参拝したのち、登山コースに入る。


三床山(右)を望む


鹿嶋神社

前回は尾根コースを登ったので、今回は沢コースを登る。薄暗い杉林の中の作業道を歩き、途中のY字路は沢沿いの左の道へ。ここは道標がなく、迷い易い。すぐに山道に入り、道標に従って右折。今日は穏やかに良く晴れて、暖かい程。朝日が差し込んで明るい雑木林の中を歩き、ジグザグに登って鞍部の上に出る。稜線を右に辿り、岩場を交えた急坂を登ると、三角点標石と数基の石祠のある三床山頂上に着く。南面に関東平野の眺めが開けるが、逆光でうまく写真が撮れない。先は長いので、サクッと次に進もう。


沢コースを登る


三床山頂上

鞍部に戻り、西の二床山方面に向かう。三床山の稜線歩きは岩場あり展望ありで、変化があってやはり楽しい。途中に桜山・金原山への分岐があり、「金原山へ」「桜山周回一床山へ」等の新しい道標が設置されている。ここから金原山に向かう。


二床山を望む


桜山・金原山分岐

ちょっと下って登ると小三床山の頂上。東面の三峰山(鍋山)から葛生町方面にかけての眺めが良く、山間から石灰工業?の白い煙が真っ直ぐに立ち昇っているのが見える。


小三床山へ


小三床山頂上から葛生方面の展望

小三床山から少し下った鞍部には「栗谷坂峠」の道標がある。雑木林と常緑樹林の境界を急登すると烏ヶ岳の頂上に着く。木立に囲まれて頂上からの眺めはないが、先に進むと雑木や赤松が疎らに生えたザレた尾根道となり、明るく展望が開ける。つつじ山は、春先にはアカヤシオやミツバツツジが咲く所だそうだが、今はもちろん花はなく、冬枯れの明るい雑木林が広がっている。


栗谷坂峠


烏ヶ岳頂上


展望の良い尾根道


つつじ山頂上

小さな岩場を通過して、次の桜山頂上に登る。胴体の潰れた石祠が2基あり、「文政十三庚寅(1830)年」の銘が見える。ここで一床山へ向かう周回コースを西に分ける。


小さな岩場を通過


桜山頂上

桜山から北に向かうと、すぐに「大姫山」の山名標がある尾根の突端に出る。山名があるのがおこがましい程の小さなコブだが、北方の眺めが素晴らしく、これから辿る林山への稜線を望み、大鳥屋山の丸い頂、冠雪した男体山を遠望する。山名を付けたくなる気持ちも良くわかる。


大姫山へ


大姫山から林山(左)を望み
大鳥屋山(中央奥)と男体山を遠望

大姫山からザレた尾根を下ると「長沢峠 」と書かれたプレートがあり、ここからしばらく平坦な尾根道を歩く。桜山までの道に比べると歩くハイカーさんは少ないようで、道型はか細くなる。しかし、依然として歩き易い道だ。天ヶ岳の西尾根には大きな岩場があり、目を引く。小さく登って「天ヶ岳」の山名標のある頂上に着く。なんだか壮大な山名だが、どう言う謂れだろう。


天ヶ岳西尾根の岩場


天ヶ岳頂上から桜山を振り返る

天ヶ岳から北へザレた急坂を下ると、林山へは少し長い登りとなる。雑木林に覆われ、露岩が点在する尾根道をユルユルと登る。尾根が西へ向きを変えると南面の展望が良い岩場(展望台)があり、歩いてきた山並みの向こうにポコッと突き出た三床山を遠望する。


ザレた尾根道を下る


展望台から三床山(中央奥)を遠望

さらに小さな岩場を越え、疎らな雑木林の尾根を登って林山頂上に着く。先週、きりんこさんが歩かれた尾根が南西から合流する。歩き始めて約3時間。小腹が減ったので小休止してパンを齧る。しかし、ここまできつい登りはなかったから、疲れはほとんどない。


林山への登り


林山頂上

林山から北に尾根を下ると、すぐに大岩が現れる。簡単に攀じ登ると北方の眺めが開け、今まで林山に隠れていた閑馬岩峰群辺りの稜線が眺められる。大鳥屋山の円頂もだいぶ近づいてきた。岩上に「蛙岩」と書かれたプレートがあり、由緒ある名称かどうかは定かでないが、確かに形は似ているかも。


展望岩(蛙岩)


展望岩から北方の展望
右奥の円頂は大鳥屋山

380m標高点を越えると東側斜面が伐採された尾根となり、大鳥屋山の南に連なる山並みがずらっと眺められる。下り着いた鞍部が六地蔵峠で、その名の通り6体のお地蔵様が並んでおわし、古の峠の風情がある。いずれの石像にも「長谷場村」と刻まれている。長谷場は東麓の集落だ。西側には峠道の道型が残るが、東側は伐採地の藪に覆われている。

六地蔵峠から、小さな岩場が散在する尾根を登る。登り着いたピークには、南西の山麓の集落を見守るように新しい石祠がある。


六地蔵峠


石祠

石祠のピークから小さくアップダウンのある尾根を辿って、金原山頂上に着く。木立に囲まれて、展望は東麓の長谷場の集落を間近に見下ろすくらいだが、日差しが降り注いで雰囲気は明るい。三角点標石といくつかの山名標(そのうちの一つはR.K氏の珍しく山名も書かれた標高プレート)がある。


金原山頂上


金原山から東麓を俯瞰

金原山からなだらかな尾根を進むと林道長谷場閑馬線に出る。三床山からここまで、小ピークをいくつも越える変化に富んだ低山ハイキングが楽しめた。道標も要所に完備され、道も歩き易い。

ここから、今日の行程の後半部となる。林道の向かいの杉植林帯に入って、なだらかな尾根を辿る。林内は薄暗く、踏み跡は微かで薄く笹藪があり、前半部とは一変して地味〜な尾根歩きである。


林道長谷場閑馬線を横切る


杉植林帯の尾根を辿る

打ち捨てられた簡易トイレ(ネット上の山行記録でよく報告されているヤツ)を過ぎると閑馬岩峰群のP1(=第1峰)への急登となり、一直線に登り上げてP1の天辺に着く。


閑馬岩峰群P1への急登


P1頂上
後方は大鳥屋山

P1の頂上はザレて開け、正に360度の展望が開ける。北から東にかけては旗川を挟んで大鳥屋山から唐沢山にかけての山並みを眺め、南西には金原の集落を俯瞰する。そして北西には閑馬岩峰群のギザギザの稜線が間近に迫る。岩場と赤松を纏ったP2とP4の三角形の峰が見えるが、他の峰は隠れてここからは見えない。難場に取り掛かる前に、展望を楽しみながら腹拵え。残りのパンを食べ、ホットココアを飲んで休憩する。


P1から西麓を俯瞰


P1からP4(中央)を望む

食べ終わる頃、山麓から正午を告げるサイレンが微かに聞こえてきた。さて、いよいよ今日のハイライトである。P1の下りは真っ直ぐ進むと灌木に間に踏み跡があり、ザレた急斜面を立木を手掛かりにして下る。P2を越え、P3に登るところまでは普通に歩ける。


P2の登り


P3からP4を仰ぐ

P3の下りはP4との鞍部の手前で岩壁の上に出、×の赤ペンキに誘導されて左に下り、岩壁をトラバースして鞍部に降りる。このトラバースは高度感があって少々怖い。


P3の下りでここは左


向こうからこちらへトラバース

P4は正面の大きな岩場を右から巻き、適当な所で岩場の上に出て登る。P4の頂上は意外と平坦で、赤松に囲まれて、すっきりとした眺めはない。


P4の登り


P4頂上

ザレた尾根を下り、P5へは小さな岩場を登る。P5の下りは岩稜となるが、トラロープが固定されていて、これを頼りに下る。


P5の下り


下ったところを振り返る

最後のP6は鞍部から見上げるような高い岩場を峙たせているが、右から巻く踏み跡があり、簡単に上に出られる。稜線を緩く登ってP6に着き、閑馬岩峰群の難場は終了。あっさり通過できたが、ネットの情報と、踏み跡やマーキング、固定ロープなどがあったおかげで、まだあまり歩かれていなかった頃には、もっとスリルがあったのではないかと思う。


P6の登り


登りの途中でP4を振り返る

P6から吊り尾根を辿り、最後は短いが急坂を登って、530m圏峰の頂上に着く。既に長距離を歩いてきた疲れが、閑馬岩峰群の登り降りとここへの急坂でドッと出てきた感があり、ココアを飲んで休憩する。今日は近沢峠まで行く計画だが、閑馬川へ下って、金原バス停からバスで根古屋森林公園に戻るというエスケープルートも一応考えてある。高鳥屋山は是非登っておきたいので、その先はそこまで行って決めることにしよう。


P6を越えて530m圏峰へ


530m圏峰頂上

ネットの情報によると、次のピークの南に派生する枝尾根上に石祠があるそうなので、立ち寄ってみる。赤松と露岩の神さびた尾根を辿ると、途中に閑馬岩峰群を俯瞰できるポイントがある。枝尾根の先には、2基の石祠が南の金原の集落を向いて祀られている。

(2022-05-05改訂:この石祠のあるピークはヨジノキ山というそうである。)


枝尾根から閑馬岩峰群を俯瞰


枝尾根の石祠(明治廿八年三月再建)

主尾根に戻って、高鳥屋山に向かう。これもネットの情報によると、高鳥屋山までに2個所の岩場があり、閑馬岩峰群より難場とのこと。

まず一つめ。尾根を下ると、岩場の上に出て行き詰まる。手前の西側の立木に古い赤テープがあり、そちらの斜面に下る。獣も通るのか、踏み跡が錯綜する。だいぶ西側に降りてから、鞍部に向かって急斜面をトラバースする。足元が脆くて、あまり良くない。


岩場の上に出る


西側を巻いて下る

地形図の破線が通る鞍部の手前にも岩場があるが、正面が階段状で真っ直ぐ下れる。鞍部から露岩と赤松の小ピークを越えて踏み跡を辿ると、自然と東側の急斜面のトラバースに導かれて、次の鞍部に出る。これで二つめの難場もクリア。近沢峠まで、注意すべき個所はもうないはずだ。


次の難場の東側のトラバース


高鳥屋山への急登

急坂を登って、高鳥屋山の頂上に着く。頂上は赤松に囲まれた小平地となり、三角点標石と数個の山名標がある。地形図で見ると顕著なピークではないので、あまり期待していなかったのだが、奥山の寂峰の雰囲気がある良い山だ。ココアを飲んで、しばし休憩する。

さて、この先はどうしようか。日没(16時半)まで2時間半あり、それまでに近沢峠に着けば、あとは車道歩きだから大丈夫だろう。ということで、近沢峠に向かう。


高鳥屋山頂上


516m標高点

高鳥屋山から先は緩やかな尾根歩きとなる。歩く人がさらに少ないのか、踏み跡が薄い。516m標高点から北に尾根を辿る。西側に冬枯れの雑木林を透かして、先週歩いた閑馬川右岸の山々を眺める。東側は杉林で眺めがなく、一箇所伐採地から岳ノ山と大鳥屋山が見えるくらいである。それにしても、大鳥屋山の山容は良く目立つ。


閑馬川右岸の山影を望む


岳ノ山(左)と大鳥屋山を望む

閑馬川源頭の570m圏峰への登りにかかると、山道の痕跡が断続する。短い急坂が結構きつい(^^;)。傾いた陽射しに照らされて金色に輝く雑木林の中を登り、ようやく570m圏峰に登り着く。ここまで来れば大丈夫。残ったココアも飲み干して、近沢峠に下る。


570m圏峰への登り


570m圏峰頂上


近沢峠手前の石祠


近沢峠の石祠と近沢線開設記念碑

近沢峠からは旧道を下る。近沢トンネルの前を通り、さらに旧道を歩いて新道に合流する。日没とほぼ同時に山麓に下り着き、暗くなる前に根古屋森林公園に戻る。


近沢トンネル


飛駒盆地から多高山を望む

車に着き、登山靴を脱ごうとして膝を曲げたら、激しく攣った。慌てて自販機でペットボトル飲料を買って水分を補給。山行中に攣らなくて幸いだった。しかし、今日は随分と歩いたなあ。私としては多分これが一日行程の限界だが、そこまで歩いた充実感がある。身支度している内にあっという間に日が暮れ、夜道を運転して桐生に帰った。