女神山・千貫森

天気:
メンバー:S,S,T

(この記事は温泉旅行1日目、信夫山からの続きです。)

女神山

行程:堀切口 10:15 …女神山(599m) 11:00〜11:15 …椚平口 11:55 …堀切口 12:05
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

温泉旅行2日目。今日は阿武隈山地北部、伊達郡川俣町と伊達市月舘町の境にある女神山に登る予定である。

土湯温泉の宿から車で出発。福島市街を経由してR114を南東へ走る。川俣町に入ったところで県道に入り、谷地の田園風景の中を北上。途中、行く手にちんまりと可愛らしい山容の女神山を仰ぐ。山麓の集落を通る際、民家の軒先に掲げられた「女神山を愛する会事務所」との看板を見かける。

集落を抜け、「女神山登山道入口」の案内に従って右折。畑地の中の新道を蛇行して上がると、女神山の南面中腹を巻く林道七ツ森線にT字路で合流する。この地点は女神山のいくつかある登山口の一つの椚平口で、今回はここに降りてくる予定。林道をさらに右へ進み、もう一つの登山口の堀切口に向かう。

路側に駐車して歩く準備をしていると、もう1台車が来て、小学生の男の子とお父さん、お爺さんと思しき一行が降りた。同じく女神山に登るようだ。地元の方らしいお爺さん(注)に、ここに駐車して差し支えないか伺ったところ、大丈夫ですよと返事を頂く。

(注:最初は、三世代で地元の里山に登るのかな、と思ったが、その後、話を伺って、「女神山を愛する会」の方が親子をガイドされていることが判った。お爺さんとお呼びするにはまだ若くて失礼と思うし、お名前は伺わなかったので、以下では「ガイド」の頭文字をとってGさんと呼ばせて頂く。なお、読むと音が同じなのはたまたまである。)


堀切口


雑木林を透かして女神山(左)を望む

私が登山靴に履き替えたりしている間にGさん一行が先行し、我々は後からゆっくり登る。今日は晴天で風もなく、冬枯れの明るい雑木林の中、落ち葉の積もった山道をゆるゆると登るのは、これぞ里山の楽しみという感じ。気分が良い。

Gさんが立ち止まって解説中のところに追いつくと、S母の足元が若干覚束ないのを心配頂いたのか、自作の竹杖を1本頂いた。 根元で節が詰まって握り良く、軽くて丈夫。竹の種類を教わったのだが、忘れてしまったので後日調べると、布袋竹というらしい。


陽だまりの斜面を登る


椚平分岐

尾根を緩く登り、椚平口からの登山道を左から合わせる。南面が開けて、山麓の集落を俯瞰する。この先のベンチがある地点で一息入れる。ここも南西方向の安達太良山を中心に展望が開ける。ベンチから頂上への最後の登りとなり、石祠2基と「小手姫神社のご神体」との標識のある岩を過ぎると女神山の頂上に着く。


途中のベンチで一休み


頂上近くの登り


頂上の石祠


小手姫神社のご神体の岩

頂上は小広い平地で、中央に一等三角点標石が鎮座する。西から南にかけて展望が開け、薄く雲がかかった吾妻連峰と安達太良山を遠望する。前景に見える小さな円頂蜂は千貫森という名の山のようだ。山麓の緩く浅い谷には耕地が広がり、集落が点在する。

北東にも展望も開け、霊山の台形の頂上稜線を望む。その手前の緩やかな山地には尾根と谷が皺のように細かく入り組んで、阿武隈山地が長年の侵食を受けた準平原であることが理解できる。


女神山頂上


女神山から霊山を遠望

頂上で大展望を楽しんでいる間にハイカーさんが2組ほど到着し、やがてGさん一行が登って来た。Gさんが展望を説明して下さり、阿武隈山地の木幡山や口太山、花塚山などの山々や、山麓の秋山地区にある駒サクラ(頂上から見える)を教わる。

また、女神山の言い伝えについても興味深い話を伺う。なんでも、蘇我馬子に暗殺された崇峻天皇の妃の小手姫が川俣に落ち延びて、養蚕と織物を伝え、女神山の山名は小手姫に由来するとのこと。そんな史実があるとは迂闊にも知らずに登っていたので、大変興味深い。また、愛する会で登山道の整備をされている等、地元の方がこの山に愛着を持っておられることも得心される。

(後日調べると、小手姫は東北に落ち延びた息子(出羽三山開祖の蜂子皇子)を追って川俣まで来たが、とうとう会えずに生涯を終えたとのこと。この辺りに羽(葉)山という山名で羽山信仰に関わる山が多いのも、このことと関係があるのか。調べると面白そう。Gさんも毎年、出羽三山にお参りに行くと話されていた。)


女神山頂上から千貫森(左端)


女神山頂上(奥にご神体の岩)

素晴らしい展望を堪能したのち、頂上を辞す。往路を戻り、分岐から椚平口への道に入る。開けた尾根道を降り、雑木林に入ってゆるゆる下る。放擲された棚田の横を過ぎ、民家が見えると椚平口に着く。車を置いた堀切口までは車道を歩いて僅か10分の距離である。まだ、正午を少し回った時刻なので、帰りがけにもう一山。可愛らしい円頂峰と山名に惹かれて、千貫森に立ち寄ることにする。


椚平に下る


落ち葉の積もる山道


椚平口


女神山を振り返って仰ぐ

(参考URL:川俣町HP。町内の里山に関する情報が非常に充実している。)

千貫森

行程:UFO物産館 12:20 …千貫森(462m) 12:45〜13:00 …UFO物産館 13:30
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

川俣町からR114を福島市街に戻り、千貫森公園・UFOの里の案内で右折。千貫森中腹の車道を進み、UFO物産館の駐車場に車を置く。

ここはUFOの目撃例が多いことで有名だそうで、UFOを町おこしに利用して、UFO物産館やUFOふれあい館などの施設が整備されている。ただし、今日はどの施設も年末年始で休業中である。WCも閉鎖中でちと不便。

UFOふれあい館の後ろには千貫森がこじんまりと盛り上がる。小さな山で、大した登りはなさそう。UFOふれあい館の右手から階段を登って山頂への遊歩道に入る。入り口にはグレイ型異星人の石像が置かれ、何とも邪悪な気配を放っている。


UFOふれあい館と千貫森


異星人の石像から千貫森へ

遊歩道は良く整備されていて、千貫森の南面を規則正しくジグザグを切って登って行く。途中にもいろいろなタイプの異星人の石像が置かれ、案内板もUFO道と表記されている。


山腹を大きくジグザグに登る


UFO(遊歩)道が整備されている

異星人の石像を7基程数え、石畳を上がると千貫森の頂上に登り着く。頂上は小広い平地が開け、ベンチと三角点標石に加えて、UFOコンタクトデッキと称する展望台とUFOのミニチュアの石像物がある。全山UFOづくしだなあ。他方、傍らには石造りの覆屋と鉄格子の中に出羽三山の三神社が祀られ、伝統的なものもある。正月を迎える前に鏡餅と蜜柑、煮干しがお供えされていた。


途中にも異星人の石像


千貫森頂上

頂上からの眺めは、手軽に登ることのできる山にしては頗る良く、立ち寄った甲斐がある。西には低くうねる丘陵地帯の果てに吾妻連峰と安達太良山が雲間からの光芒に照らされて連立する。北西の福島市街の奥の冠雪した山は蔵王連峰だろうか。東には先ほど登ってきた女神山がちんまりとかしこまっている。展望台に上がれば阿武隈山地北部の山々を一望でき、長く稜線を引く花塚山の山容が特に目を引く。


千貫森から吾妻連峰を望む


千貫森から福島市街の展望


千貫森から望む女神山


千貫森から花塚山を遠望

展望を楽しみながらパンとペットボトル飲料の昼食を軽く済ませたのち、往路を戻る。軽装手ぶらで登って来るグループ数組と行き違う。散歩感覚で登ることができる山である。

UFO物産館のすぐ近くの小手(おで)神社に立ち寄る。千貫森を背にして建つ社殿には紅白幕と新しい注連縄とが張られ、門松が置かれて初詣の準備が整えられている。小手郷の総鎮守で、伊弉那岐命・伊邪那美命の二神を祭神とする。


小手神社


土湯温泉

女神山と千貫森を合わせても3時間程の軽い行程だったが、穏やかな天気にも恵まれて、リラックスした里山歩きが楽しめた。2015年の山歩きを締めくくり、土湯温泉に戻った。

(温泉旅行3日目、鹿狼山に続く。)