名号峰・西吾妻山

〜23日(水)
メンバー:S,S,T

9月19日〜23日の5連休(いわゆるSW)は、S&Sと4泊5日の東北温泉旅行へ。宮城蔵王の峩々(がが)温泉に2泊、山形県米沢市の白布(しらぶ)温泉東屋旅館に2泊し、その間に北蔵王の名号峰(みょうごうほう)と吾妻連峰の西吾妻山の2座に登ってきました。

白石蔵王駅→峩々温泉

9月19日
天気:

桐生からJRで出発。宇都宮10:52発の新幹線に乗車し、東京から乗車して来たS&Sと車内で合流して、白石蔵王11:49着で下車。駅レンタカーで峩々温泉に向かって出発する。

まずは昼食。白石と言えば温麺(うーめん)が名物だ。奥州街道うーめん番所という店に入り、私は葛かけうーめんを注文。温麺のあっさりした味に、鶏肉野菜入り葛あんの風味が加わって、ヘルシーかつ美味しい。

白石市街から遠刈田温泉を経由して、蔵王エコーラインを上がる。途中、滝見台という案内を見かけて立ち寄る。滝見台からは澄川の深い渓谷を挟んで、後烏帽子岳の中腹にかかる三階滝を見ることができる。澄川本流にかかる不動滝も見えるが、そちらはエコーラインをさらに上がった所にある蔵王不動尊の方が近寄って見られる。


滝見台から三階滝


蔵王不動尊

蔵王不動尊には、大きな不動尊像と奥之院の石祠、そのすぐ左に展望台がある。ここは、かつての遠刈田から刈田岳への参拝路(蔵王古道)のルート上にある。展望台からは、豪快に水を落とす不動滝(落差54m)を見下ろすことができる。

このあと、さらにエコーラインを上がって、駒草平から不帰(かえらず)の滝も見物したが、不帰の滝は2日後に再度見に行ったので後述。エコーラインから分岐して濁川に降りると、奥深い渓流のほとりに一軒宿の峩々温泉がある。


不動滝


峩々温泉

峩々温泉は、以前、蔵王山に来たときに通りかかって、山奥の素晴らしいロケーションにある秘湯だなあ、泊まりたい、と思った温泉である。今回はそのときの希望が叶った。宿の内装は山小屋風で、静かで落ち着ける雰囲気。早速、お風呂へゴー。大浴場と露天風呂(男女別と混浴)、渓流を望む別の露天風呂がある。地元産の食材を使った夕食を美味しく頂いたのち、就寝。

名号峰

9月20日
天気:
メンバー:S,T
行程:峩々温泉 9:10 …猫鼻 10:10 …名号峰(1491m) 11:45〜12:05 …猫鼻 13:20 …峩々温泉 14:20
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

今日は峩々温泉から名号峰に往復して登る。S母は最近、腰を痛めているので温泉療養にするとのこと。S父のみ同行する。私も霊仙山で負った右腿の打撲が完治していないが、短くて緩やかな行程なので、まあ大丈夫だろう。

峩々温泉のすぐ前の登山口から、大きくジグザグを切って山腹を登る。紅葉のピークにはまだ早いが、色付いた葉や実があり、道にはドングリやヤマボウシの実がたくさん落ちている。良く晴れて秋らしい爽やかな天気で、気持ち良い。


登山道から峩々温泉を一望


秋色漂う登山道


苔とキノコ


色付いた葉と実

山腹をトラバースして緩く登り、小さな沢を渡って、しばらく平坦地を進む。急な段差を越えて平坦な尾根の上に出ると、「猫鼻」の道標のあるT字路に着く。休憩していると、地元の方と思しきキノコ狩りの男性二人組がやってきた。ナラタケが採れるらしい。


小さな沢を渡る


猫鼻の道標

猫鼻から、なだらかな尾根上の幅広い登山道をゆるゆると登る。一時、雲が垂れ込めて雨粒が落ちてきたが、直ぐに止む。やがて傾斜が増し、道も細くなって小さくジグザグに登る。左山腹のトラバースに入ると笹が被ってくるが、明瞭な道型が続く。天気も回復し、樹林の開けた個所から熊野岳を仰ぐ。標高が上がり、紅葉も少し鮮やかさを増してきた。


緩やかな尾根を辿る


傾斜が増すと藪っぽい


熊野岳を望む


リンドウ

低木の小枝や笹がちょっと藪っぽい道を登ると、緩やかな県境稜線上の縦走路に合流する。左は熊野岳へ続く。名号峰は右へ僅かな距離にある。


ナナカマドの実


県境稜線に着く

到着した名号峰の頂上は稜線上のコブにも満たないピークで、山名標と三角点標石がなければ、およそピークらしくない。しかし、頂上は花崗岩の砂礫と露岩に覆われ、周囲の樹林は低くて、ほぼ360度の大展望が得られる。北には県境稜線が雁戸山へ続く。ちょこんとした三角形のピークがなかなか凜々しくて、ちょっと登ってみたくなったかも。


名号峰頂上


雁戸岳を遠望

南西には蔵王連峰の刈田岳から熊野岳、地蔵岳が穏やかな山容ながらも高々と連なる。熊野岳に続く県境稜線はちょうど紅葉が見頃で、赤黄緑が混じり合った樹林が綺麗だ。


刈田岳(左)と熊野岳


熊野岳と地蔵岳(右)

余裕があれば熊野岳まで足を延ばすつもりもあったが、結構遠いし、足も痛めているし、今日のところは名号峰からのこの大展望を見ることができて充分に満足だ。パンとペットボトル飲料を腹に入れて休憩したのち、往路を峩々温泉へ戻った。

峩々温泉→白布温泉

9月21日
天気:

今日は峩々温泉から白布温泉へ移動する。峩々温泉をのんびりチェックアウトして、車で出発。エコーラインを上がる。SWの中日とあって、さすがに車が多い。駒草平に立ち寄って、不帰の滝を見物する。溶岩台地が深く侵食された谷に向かい、御釜を源とする流れが断崖絶壁を一気に流れ落ちる様は、何度見ても鬼気迫る様相がある。


峩々温泉全景


不帰の滝

エコーラインをさらに上がって、大黒天にも立ち寄る。不帰の滝上流の火砕物に覆われて荒涼とした谷や、濁川の谷を隔ててなだらかな名号峰を眺めることができる。大黒天というからには、大黒天の石像もちゃんと祀られている。ここは蔵王古道が通じ、刈田岳まで歩道で登ることができる。刈田岳への道路(蔵王ハイライン)と頂上直下の駐車場は、観光シーズンは大渋滞するので、ここの駐車場(広くて比較的空いている)に車を置いて刈田岳に登るのは良い手と思う。


大黒天から名号峰を望む


大黒天の石像

ハイラインの入口は案の定、大渋滞なので、刈田岳は通過して山形県側に入る。蔵王刈田リフトの駐車場は余裕があるので、こちらからリフトで刈田岳に上がるのも良い手だ。


蔵王刈田リフト


周辺の紅葉

エコーラインを上山(かみのやま)に下り、R18で米沢に向かう。途中の蕎麦屋で昼食をとったのち、米沢で観光ということで、上杉神社に行ってみる。こちらも観光客で大賑わい。神社の隣にある上杉記念館(旧上杉伯爵邸)にも行ってみる。この立派な和風建屋は、現在は米沢牛などが食べられる料亭として使われている。米沢牛、食いてー。しかし、今日の夕食で出てくるはずだから、ここはぐっと我慢である。


上杉神社


上杉記念館

観光を終えて、白布温泉に向かう。白布温泉には、かつて、東屋、中屋、西屋の3軒の茅葺き屋根の温泉旅館が軒を並べていたが、2000年に中屋から失火し、東屋まで焼失。東屋は翌年、現代の山宿風の旅館として再建している。


白布温泉東屋旅館


米沢牛のしゃぶしゃぶ

早速、温泉へゴー。石造りの内湯は狭いが、それがまた昔風で良い。3本の打たせ湯から熱い湯がバンバン流れ込む。露天風呂もあり。夕食は待望の米沢牛しゃぶしゃぶだ。厚くて柔らかく、非常に美味。おかわりしてしまった。他の料理も美味。大満足して就寝。

西吾妻山

9月22日
天気:
メンバー:S,T
行程:北望台 10:10 …梵天岩 11:30 …西吾妻山(2035m) 11:55 …西吾妻小屋 12:05 …吾妻神社 12:20 …北望台 13:50
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

今日は天元台のロープウェイと3本のリフトを乗り継いで、最短ルートで西吾妻山に登る。

白布温泉から天元台ロープウェイの山麓駅までは車ですぐだ。駅の駐車場はあまり広くなく、観光客と西吾妻山を目指すハイカーさんの車で、八割方埋まっている。西吾妻山は吾妻連峰の最高峰で日本百名山だし、連休中の好天の日だから、これは想定内だ。宿で貰った割引券を使い、ロープウェイとリフトの往復券を買って、ロープウェイに乗車。通常は20分間隔の運行だが、今日は折り返し運転を行っている。


天元台ロープウェイ


天元台高原

ロープウェイ山頂駅に到着。S母は周辺を散歩した後に宿に帰るとのことなので、ここで別れ、S父と共にリフトに乗って上に向かう。リフトの脇の草木には、植物名を記した標識が付けられており、これを見ると勉強になる。ゲレンデの草原にはエゾオヤマリンドウの花が多い。コメツガとオオシラビソの区別を(今更だが)マスターした。3本目のリフトの終点がスキー場トップで、北望台と呼ばれている。標高は既に1800mを超えている。


3本目のリフト


北望台

ハイカーさんに続いて歩き始め、樹林の中の転石の多い登山道を緩く登る。黄色に色付いた草や木の葉が日差しに映えて、綺麗だ。


人形石分岐


青空に黄葉を透かす

やがて、かもしか展望台と呼ばれる岩石原の斜面に出て、白布峠や米沢盆地の展望が開ける。さらに草原の木道を登ると、広く緩やかな主稜線に上がって、吾妻連峰の東部の山々が視界に入ってくる。


かもしか展望台


草原の木道を辿る

これから向かう南方向には、中華鍋を伏せたような穏やかなピークが横たわる。ピークの左肩を良く見るとギザギザの岩場があり、あれが梵天岩のようだ。また、左斜面には大凹(おおくぼ)と呼ばれる草原の斜面が広がって、実に良い眺めである。夏にはお花畑になるそうだが、今は見事な草紅葉となっている。


梵天岩を望む


大凹の草原

人形石への道を左に分け、少し下って大凹の草原を横断する。草原が尽きたところに冷たい水が流れる水場がある。ここから、本日のコースで唯一の急坂を上がると、池塘が点在する草原に出て、再び緩やかな登りとなる。


大凹から一切経山(奥)を遠望


大凹の水場


急坂を上がる


梵天岩への登り

巨岩の堆積するピークに登り着く。ここが梵天岩で、行く手にもう一つ見えてきた中華鍋ピークが目指す西吾妻山だ。梵天岩の少し先には天狗岩と称する岩石原が広がる。岩石原の向こう端に吾妻神社の社が見えるが、先に西吾妻山に向かおう。


梵天岩


天狗岩

岩石原に入って左側に注意すると道標があり、ここが西吾妻山への直通ルートの分岐点になっている。この分岐は、視界が悪い時は判り難いと思う。


西吾妻山への分岐


西吾妻山を望む

少し下って、平坦な鞍部の樹林中の道を進む。泥濘が少々酷い。やがて登りに転じると、程なく西吾妻山の頂上に着く。

頂上は樹林に密に囲まれ、狭い平地の一角に山名標柱が建つだけで、展望は全くない。それでも百名山のピークなので、大勢のハイカーさんが居て、記念撮影をしている。外人さんの家族も居て、なぜかバテて休憩中。我々は写真を一通り撮ったのち、頂上を辞して、この先の西吾妻小屋に下る。


頂上直下の登り


西吾妻山頂上

樹林帯を下り、草原を横断すると西吾妻小屋に着く。ここから西吾妻山の西緩斜面をトラバースすると、吾妻神社に至る。


西吾妻小屋に下る


天狗岩西端の吾妻神社への道

吾妻神社は、天狗岩西端の米沢盆地を一望する崖の縁に建つ。社殿は石垣に囲まれ、屋根には紅白の幟が翩翻とはためき、なんか神さびた雰囲気がある。

天狗岩の広い岩石原の一角で風を避けて腰を下ろし、ペットボトル飲料とパンで簡単に昼食とする。その後、梵天岩から往路を北望台に戻り、下りのリフトとロープウェイを乗り継いで下山する。


吾妻神社


梵天岩


大凹


下りリフトから米沢盆地を俯瞰

最短ルートから百名山の1座をゲットするお気楽ハイキングだったが、天気に恵まれ、緩やかな主稜線上に広がる草原と、そこから見渡す吾妻連峰の展望は素晴らしかった。手軽にこのような山岳景観を楽しめるのも良いな、と思いつつ、宿舎に戻った。

白布温泉→福島駅

9月23日
天気:

SWの東北温泉旅行も最終日。今日も晴れで、5日間ずっとマークが続いたのは有難い。

東屋旅館をチェックアウトし、紅葉を愛でつつ白布峠を越え、桧原湖畔まで曲がりくねった山岳道路のドライブを楽しむ。桧原湖西岸からひと山越えて、ラーメンを食べに喜多方に向かう。喜多方駅の観光案内所で尋ねて、老舗のラーメン店の情報をゲット。喜多方ラーメンの元祖と言われる源来軒に行く。SWだからか、ラーメンファンには有名なのか、とても繁盛している。ラーメン、美味かった。


磐梯山と桧原湖の展望


喜多方ラーメン元祖源来軒

喜多方から桧原湖に戻り、R115、土湯バイパス経由で福島へ。福島駅でレンタカーを返却して、新幹線に乗車。宇都宮でS&Sと別れて、桐生に帰った。