谷倉山(鹿沼市)

2015年1月25日(日)
天気:
メンバー:T
行程:駐車地点(上ノ内橋) 8:30 …石祠 9:25 …駐車地点 10:00 =(車)= 駐車地点(新谷倉橋)10:15 …石祠 10:40 …断崖上端 11:35 …谷倉山(747m) 11:55〜12:30 …細尾橋 13:40 …駐車地点 14:10
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

安蘇山塊には二つの谷倉山(やぐらさん)がある。先日、その内の一つで栃木百名山に数えられる栃木市星野町の谷倉山(標高599m)に登った。そうすると、次はもう一つの鹿沼市中粕尾にある谷倉山(標高747m)に登ってみよう、という遊び心が湧いてくる。

こちらの谷倉山は栃百ではなく、ガイド本でも紹介されていないマイナーな山だ。ネットで調べると、道のない低山歩きを志向するその筋の方々の山行記録がいくつか見つかる。

ネット情報によると、谷倉山の南東に延びる主稜線は鞍部に向かって切れ落ちた難所(キレット)があり、こちらからの登頂は非常に困難とされている。しかし、近年、南東の高谷山からキレットを通過して谷倉山へ縦走した山行記録が現れ始めている。

一方、北西に延びる主稜線は緩やかで、こちらから登頂するのは(一般登山道はないが)特に問題なく、易しそうである。山行記録の多くはこちらからのルートをとっている。

地形図を見てみると、東麓の思川側から谷倉山の東尾根を登り、頂上を経由して西麓の永野川側に降りる破線路が記載されている。等高線から読み取れるように、東尾根は頂上から東へしばらく水平に延びているが、途中ですっぱりと切れ落ちて、高度差約100mの急崖を成している。破線路はこの急崖を直登することになっており、本当に道があるか疑わしい。新ハイキングNo.628(2008年2月)の谷倉山の記事では、思川側からこの破線路に取り付いたが、「凡天の石祠の先で想定外の岩峰に阻まれ失敗した」と記述されている。一体どんなところなのか、興味を惹かれるので、実地で見てみたい。

という訳で、駄目元で東尾根の破線路から谷倉山にチャレンジしてみました。

行程に余裕を持たせるため、桐生を少し早めに車で出発。栃木ICで高速を降りて、思川の上流に向かうと、行く手に右側が切れ落ちた谷倉山東尾根が見えてくる。思った以上に凄い切れ具合で、早くもこれは駄目な予感。破線路起点の上ノ内(うえのうち)橋の袂のスペースに車を置く。橋から見上げる東尾根は恐ろしいくらい峻険だ。念の為、ロープは携行するが、危険ならば撤退することが前提である。

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上ノ内橋の袂に駐車

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上ノ内橋から仰ぐ谷倉山東尾根
右の尾根から最高点を目指す

破線路入口の民家で、家の方がいらしたので道の様子を尋ねる。年に一度、梵天を上げに石祠までは登るが、その先は行ったことがないとのこと。以前、某M大WVが遭難したらしい(詳細な場所は不明)。石祠まででも、はっきりした道はないそうで、行き方をアドバイス頂き、お礼を述べて辞去する。

民家の間を通り、裏手の畑を抜けて、赤鳥居のある小さな社の右手から獣除けの柵を開けて畑地跡に入る。早くも道の痕跡すらなく、破線路は疾うに消滅している模様。霜柱を踏んで篠竹の間を適当に登って行くと、反対側から上がって来た林道に出る。

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畑地跡を突っ切ると…

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…林道に出る

しばらく林道を辿ると沢に入り、林道終点となる。沢の中は例によって倒木が酷いので、右側の小尾根に這い上がる。尾根上は杉林で藪はなく、踏み跡もあって歩き易い。尾根を登ると段々傾斜が増し、露岩混じりの急登となる。

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尾根を辿る

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露岩混じりの急登

左から小尾根を合わせると傾斜は緩まり、露岩が多く檜に覆われた痩せ尾根となる。やがて石垣の上に鎮座する石祠に着く。銘は読み難いが「昭和二十七年」と刻まれ、古くはない。尾根の両側は切れ落ちて、神さびた雰囲気がある。これは訪れて良かったと思う。

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痩せ尾根を辿る

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石祠

石祠の背後には、木立の間から東尾根の鋭鋒がのしかかるように聳えているのが仰がれる。石祠の先は露岩に木の根が這う急坂となり、奥には大きな岩場も見える。地形図から勘定して平均斜度が45度はありそうな激坂で、登れなくもないかも知れないが、これが高度差100mも続くのは厳しいし、単独行では危険過ぎる。断念して引き返すことにする。

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石祠から東尾根を仰ぐ

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石祠の先は岩場混じりの急坂
断念して引き返す

復路は尾根を辿り、すっかり霜柱が溶けてぬかるむ畑地跡を下って、駐車地点に戻る。

代替ルートとして、新谷倉橋から尾根に取り付いて東尾根に上がるルートに転進する。このルートは下った山行記録(前掲)があるので、登れないということはまずないだろう。車で移動し、新谷倉橋の少し先の路側スペースに駐車。仕切り直して出発する。

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新谷倉橋の近くに駐車
正面の林道に入る

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林道に入って
直ぐに尾根に取り付く

林道に入り、直ぐに左の尾根に取り付く。踏み跡はないが、杉林の中で藪もなく歩き易い。急坂を上ると緩やかな尾根となり、石祠が鎮座する。開いていない缶入り甘酒がお供えされており、賞味期限を確認したら2015年9月。もちろん飲んだりはしていない(^^;)

石祠の先で作業道に合流するが、直ぐに分かれて尾根の上を辿る。やがて地形図でも等高線が詰んでいる急坂に差し掛かる。ちょっとした岩場を越えて登り上がると、図根点見出標の標石がある。看板があり、前橋営林局が設置したものらしい。

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石祠

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作業道を横切る

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岩場混じりの急坂を登ると…

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…図根点の標石がある

ここから急な痩せ尾根が続く。杉林を透かして、東尾根の切れ落ちた急崖が眺められる。やはり、凄い急傾斜である。

やがて、こちらの尾根も急な斜面に突き当たる。その手前には、蟻の戸渡り状の岩稜がある。十分な幅があり、距離も短いが、両側は結構高度のある岩壁なので慎重に通過する。

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尾根は痩せて急になる

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蟻の戸渡り

急斜面に取り付くと、直ぐに大きな岩場に突き当たる。これは左へ迂回して、疎らな杉林中のザレた急斜面を四輪駆動で強引に這い上がる。

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岩場に突き当たり…

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…左側の杉林を急登

頭上に見える稜線を目指して、頑張って登る。登り着いた稜線は小鞍部となり、反対側はルンゼ状の崖となっている。東尾根へは更に左へ、雑木林の急坂を登り、ようやく平坦な東尾根の上に出る。いやー、急で大変だった。ここを下る逆ルートは道迷い→転落の危険性が高く、あまりお勧め出来ない。

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小鞍部に登り着く
反対側はルンゼ状の崖

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小尾根上を急登

東尾根の切れ落ちた末端に行ってみる。杉林に覆われて、期待していた石造物の類は何もない。杉木立ちの間から崖を見下ろしても途中は見えず、遥か下の樹林が見えるだけである。とても降りれる気がしないし、ましてや道があるとも思えない。

ここから谷倉山頂上までは、全く対照的に平坦で広い尾根が続き、お気楽な行程だ。尾根に沿う作業道が現れるが、真っ直ぐに尾根を辿ると、登りらしい登りもなく谷倉山の頂上に到着する。

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東尾根末端に登り着く

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緩やかな東尾根を辿る

頂上は平らで広く、杉植林に覆われて展望なし。三角点標石と二つの山名標識、謎の朽ちたベンチがあるだけ。山中にあんな難所を秘めているとは窺い知れない地味〜な山頂である。あまり休憩適地ではないが、正午近くで腹も減ったので昼食にしよう。陽だまりを探して腰を下ろし、まずは鯖味噌煮缶詰を肴にDRY ZEROを飲む。今日は急登で汗を絞られたので、ビールテイストが美味い。飲みながら定番の鍋焼きうどんを煮て、食べる。

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谷倉山頂上

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頂上の朽ちたベンチ

下山は北西に稜線を辿り、最初の長い枝尾根を思川側の細尾に下ることにする。幅広い稜線をゆるゆる下り、右折して枝尾根に入る。やがて未舗装の林道に出て、「関係者以外立ち入り禁止 地主」との看板に行き当たるが、そう言われましても、ここまで来てしまったものは仕方ない。尾根上に続く林道を辿る。

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稜線を北へ

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枝尾根上の林道を辿る

三角屋根の小さな東屋?を過ぎると、「←赤丸 細尾沢→」との道標がある。来た方向には「←大沼方面」の表示があるが、直進方向には表示がない。しかし、ここは尾根上の林道を辿って直進。すると伐採された斜面に出て、山麓の眺めが開ける。どうも一本左の尾根に入り込んでしまったようである。さっきの分岐は右だったかも。林道を離れ、緩い山腹をトラバースして隣の尾根に乗り換える。

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赤丸・細尾沢分岐

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伐採地に出る

杉植林に覆われた広く緩い尾根を下ると、やがて深く抉れた古い作業道が現れる。これに沿って下って行くと、山腹をジグザグに降りて砂防堰堤の工事現場の上に出てしまった。工事現場に下り、作業道を経て山麓の車道に出る。今日は日曜日で工事が休みだったから良かったものの、工事中ならば怒られたかも。今回は山勘がちょっと外れたようである。

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古い作業道に沿って下ると…

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…砂防堰堤の工事現場に下り着く

細尾橋で思川沿いの県道に出、あとは東尾根の切れ落ち具合を改めて見上げて感心しながら、車道を歩いて新谷倉橋に戻る。

駐車地点に戻った時、ちょうど反対から車道を歩いて来た、私より一回りご年配?の単独行ハイカーさんに会う。挨拶して話を伺うと、なんと私と同じコースで谷倉山に登り、それから高谷山に縦走して戻って来たとのこと。うーむ、凄い。キレットの通過ではロープは必要なかったそうだが、登りにとった方が良いとの話で、貴重な情報を頂いた。

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馬置の集落から東尾根を仰ぐ

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駐車地点に戻る

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帰路から谷倉山(左)と
東尾根を振り返る

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四季の森星野のロウバイ

帰りは途中の四季の森星野に立ち寄って、見頃のロウバイを鑑賞する。節分草はまだ時期が早く、影も形もない。それから、栃木湯楽(ゆら)の里に立ち寄る。入湯税込みで840円はちと高級だが、栃木ICに近く、帰りに高速が使える点は便利。急登で少々凝った足の筋肉をほぐしたのち、帰途についた。


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