396m三角点峰

天気:
メンバー:T
行程:駐車地点 12:10 …396m三角点峰 12:50 …水圧鉄管上 12:55 …採石場頂上 13:55 …500m峰 14:10 …木之宮神社 14:50 …駐車地点 15:45
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

渡良瀬川東岸の大畑山から南進する山稜は、中間に623m三角点(点名:瀬見)、南端に396m三角点(点名:月下沢)のピークを緩やかに起こし、大間々町浅原付近で急峻に落ちる。どちらのピークも山名は無いか不明で、山歩きの対象になっていない。しかし、この山稜は、大間々町の山域では赤柴山稜荒神山稜に次いで顕著な山稜なので、ちょっと興味をもって、623m三角点峰に登ったことがある(山行記録)。623m三角点峰から南へはハイトスさんが歩いておられるが、山稜の途中までで、396m三角点峰は登っていない。

この土曜日は好天だが、朝をのんびり過ごして出遅れた。近場の山を軽く歩くことにして、課題の396m三角点峰に登って来ました。

桐生を車で出発。小平方面に向かって県道を北上し、396m三角点峰南面の巨大な水圧鉄管(落差約100m)の下を通って、キンケン石産の看板で左折。枝道に入って、採石場入口脇のスペースに車を置く。この採石場では、輝緑凝灰岩を採取しているらしい。大型ダンプの往来が多く、とても埃っぽい。鍾乳洞公園の無料駐車場からでも大した距離はないので、あっちに駐車した方が良かった。


採石場入口に駐車


目指す稜線

採石場入口から左へ車道を登る。数軒の民家を過ぎると、山の端の斜面の奥に赤い鳥居と高い杉木立が見える。立ち寄ってみると、小さな石垣の上に稲荷神社が祀られている。この神社から稜線へ通じる山道があるかもと期待したが、そんなものはなく、密な竹藪で入り込めそうにない。

山の端を左へ向かう小道をしばらく辿って、取り付けそうな所を探す。竹藪の切り開きがあり、これを登ると細い作業道に出た。この作業道は分岐が多く、枝道が錯綜しているが、上に向かう道を適当に辿って行くと、幸運にも稜線上まで登り着いた。稜線の北面は伐採されていて、展望が得られる。


稲荷神社


この切り開きを登る


作業道に出る


稜線に登り着く

396m三角点峰に向かって、稜線上の作業道を辿る。次の小ピークを巻くと、作業道は終点となる。巻いた小ピークに登ってみると、なかなかの山容をもつ623m三角点峰が、山麓の月下沢(つきげさわ)の集落とともに眺められる。あの山が無名なのは何とも惜しい。

作業道終点から雑木林の尾根を少し登ると、396m三角点標石のある頂上に着く。北面を杉林、南面を雑木林に覆われて、展望は皆無。渋〜い山頂である。山名標識の類や、この辺りの三角点峰では必ずといって良い程見かけるR.K氏の標高プレートもない。


赤城山を遠望


行く手に396m三角点峰


途中、立ち寄ったピークから
623m三角点峰と月下沢の集落


396m三角点峰頂上

三角点標石の先の平坦な稜線を進むと、左斜面のすぐ下に導水路が見える。導水路の先は、麓に向かって真っ逆さまに落ちる水圧鉄管に続いている。これは、草木ダムから小平発電所へ送水する設備だ。静かに深く渦巻く流れを見ていると、引き込まれそうでクラクラする。導水路付近は急な法面なので、近寄らないのが吉である。


小平発電所の導水路


水圧鉄管を見おろす

さて、このあとはどうしようか。396m三角点峰の登頂という今日の山歩きの目的は果たしたので、ここから浅原に下っても、往路の作業道を戻るでも良いのだが、それでは少々歩き足りない。もう少し稜線を623m三角点峰の方へ辿ってみますか。適当なところで東側の県道に降りれば、車の回収も楽だろう。

三角点標石に戻って、稜線を北東に進む。作業道から離れ、杉林と雑木林の境界の稜線を登ると、短い急登があって小ピークの頂上に着く。出発が遅くて、もう13時を回っているので、ここで昼食。パンとペットボトルのお茶で手軽に済ませる。


稜線を戻って北東に進む


途中の小ピーク

稜線を辿ると、右側に採石場を見おろすようになり、稜線直下まで階段状に削られた斜面となる。土曜日でも採石場は操業しているようで、作業の音が風に乗って聞こえて来る。やがて、稜線まで削り取られた区間となり、急なエッジを雑木の小枝を摑んで半ば強引に登って行く。多少スリルがあるが、足元がボロボロな上に藪っぽいので、好事家向き。


採石場を見おろす


稜線まで削られている

小ピークを越え、採石場から離れて雑木林に覆われた稜線となる。小さな鞍部があり、石祠を見つけた。「山主 藤生弥三兵 世話 赤石芳右ェ門 同 鹿沼文蔵」の銘があり、年号はないが、そこそこ古い感じ。採石場ができるまでは、ここに峠道が通じていたのかも。

石祠から緩く登ると、採石場の縁で最高点のピークに着く。頂上から少し東に行くと、採石場の真上に出る。足元はすっぱりと切れ落ち、眼下の広大な採石場では、でかいショベルカーが何台も作業中。小平川を隔てて高倉山と赤地山がこんもりと並び立ち、殺風景だが展望が開ける。


石祠


採石場頂上


赤地山(左)と駒見山


採石場を俯瞰

採石場の縁歩きはここで終わり。稜線をさらに北に進んで杉の植林を抜けると、陽当たりの良い小さなカヤト原があり、西側の眺めが開ける。急坂を登ると、等高線で500mを数える小ピークに着く。ハイトスさんは623m三角点峰からここまで歩かれているので、これでこの山稜の様子が大体判ったことになる。


開けた稜線


500m峰

500m峰から稜線を下って行くとしばらく岩場が続き、そこかしこにアカヤシオが咲いている。予期せず今シーズン初のアカヤシオを見て、思わずにまにまする。花付きが良く、つぼみも多い。今日は平地では桜が満開で見事だったが、アカヤシオもなかなか。この春は桜もアカヤシオの当たり年の気がする。


岩尾根にアカヤシオが咲く


アカヤシオをアップ

このまま稜線を北に辿れば623m三角点峰に至るが、花も見られたし、この辺で満足して下山することにする。次に東側に降りる比較的緩そうな枝尾根を下る。この尾根は藪も全くなくて歩き易い。やがて椿の林に入ると、尾根筋が不明瞭となる。暗い椿林の斜面を適当に下ると、墓地の脇から山麓の車道に出た。「小平椿園」の看板があり、先程の椿林は観光地になっている(いた)らしい。車道を下るとすぐに県道に出る。県道の手前には「小平鉱泉」の看板が掛かる廃屋と、木之宮神社がある。


枝尾根を下る


椿の林


山麓に下り着く


小平鉱泉の廃屋

木之宮神社の覆屋の中には木の社があり、御神体の鏡が祀られている。御神灯には「文久三(1863)年九月吉日」の銘があり、なかなか古い神社である。あとは県道を歩いて、駐車地点に戻る。途中、山側にある墓地の入口で、立派な笠塔婆付きの青面金剛を見つけた。桐生地域では久々に新しく見つけた像だ。


木之宮神社


青面金剛

車道を歩いていると山側に石段があり、急斜面を長く一直線に登っているのを見つける。興味を惹かれて上がってみると尾根上の大岩に登り着き、愛宕神社の石祠が祀られている。「明治百年記念 小平一同建立」の銘がある新しい祠だが、石段は古いので、昔から地元で信仰されていることが伺える。石祠の先の尾根を辿れば、439m標高点のピークを経て十二山に至る。この尾根歩きもなかなか面白そうである。


急で長い石段


愛宕神社の石祠

鍾乳洞公園の入口まで戻ると、県道右側に嵯峨宮の鳥居がある。説明板に依ると、弘仁四(823)年に最澄の願が嵯峨天皇によって許されて設立されたとのこと。立ち寄ってみますかな。畑地の奥の山裾に二本の杉の大木と小さな社殿がある。振り返ると、里山に囲まれた小平の集落を見渡すことが出来る。


嵯峨宮参道の鳥居


嵯峨宮

今日の山歩きは初物の花も見たし、山麓の散歩でもいろいろ見所があって、面白かった。大間々の山は桐生に較べると情報がとても少なく、その分、調べてみればまだまだ発見がありそうである。次の計画を考えながら駐車地点に戻り、帰宅の途についた。