大山(丹沢)
この週末は、土曜の晩に神奈川県秦野市の鶴巻温泉に宿泊し、翌日、丹沢の大山にケーブルカーを利用して登ってきました。
金曜日に仕事を終えて桐生の自宅に帰ったのは24時近く。それからぐっすり寝て、横浜の実家に向かって車で出発したのは土曜の朝10時と、すっかり遅くなってしまった。好天の週末とあって、東名高速は行楽客で用賀ICから大渋滞。実家に到着したのは13時になっていた。R246も渋滞しているので、鶴巻温泉へは電車で行くことにする。
S&Sと共に東急田園都市線、小田急江の島線・小田原線を乗り継いで、1時間程で鶴巻温泉駅に到着する。電車利用ならば近くて早い。駅周辺には高層マンションが建ち並んでベッドタウン化しているが、住宅街の間を分け入ると山裾に大きな森があり、その中に今晩の宿舎の元湯・陣屋がある。静かで鄙びた温泉地の風情があり、なかなか好ましい。陣屋は将棋や囲碁のタイトル戦の会場としても度々利用された宿で、特に「陣屋事件」というエピソードで有名だそうだ(私は将棋はやらないので、全く知りませんでしたが(^^;))。
温泉に入った後、庭園に面した賑わい亭で夕食を頂く。外国人の団体も居て、人種もいろいろ、とても国際的。夕食では、地鶏と茸の土瓶蒸し、平塚漁港で水揚げされた地魚盛り合わせ、やまと豚桜味噌焼き(柔らかい!)が美味かった。
翌朝の朝膳も品数が多くて美味しい。焼き海苔がミニ火鉢に載って出て来たのには一驚。
チェックアウトして、鶴巻温泉駅から小田急線でひと駅戻り、伊勢原駅で下車すると、すごい数のハイカーさん。大山ケーブル行きの神奈中バスには長蛇の待ち行列ができ、大増発された直行バスがハイカーさんを満載して次々に出発する。数十分の待ち時間の後にバスに乗り込む。我々三人は運良く座ることが出来た。
伊勢原の市街を抜けて大山の山懐に入ったバスは、終点の大山ケーブルバス停の遥か手前でなぜか進まなくなる。駐車場に入り切らないマイカーの長い列が登り車線を塞いで、片側交互通行になっているのだった。うへー。
ようやく終点に辿り着いてバスから下車。ハイカーさんの隊列に加わって参道の階段を登り、大山ケーブル駅(山麓駅)に向かう。参道に沿って名物豆腐料理の看板を出した旅館や土産物屋が建ち並び、賑わっている。
駅に近づくと、こちらにも乗車待ちの長蛇の列が出来ている。行列の最後尾では、駅員さんが50分待ちとの看板を掲げている。まあ、待つのも仕方ないか。往復850円の乗車券を買って、行列に並ぶ。
ケーブルカーもフル稼働で、定員100人の車両が約10分間隔で出発して行く。ということは、1時間で600人の客が上がって行く訳だ。すごいなあ。つるべ式のケーブルカーには2台の車両があり、赤色をきつね号、緑色をたぬき号という……のは冗談です。
ほぼ案内通りの待ち時間でようやく乗車。沿線の紅葉を眺めながら急勾配の軌道を登って、約6分で阿夫利(あふり)神社駅に到着する。参道の新しい石段を登ると阿夫利神社下社で、大山の頂上を仰ぐ境内に立派な社殿が建つ。社殿の前にも行列が続いているので、参拝は割愛する。
社殿の左手に大山登山口があり、門と鳥居をくぐると杉林の中を一直線に登る急な石段となる。のっけからの急登で、一気に身体が温まる。石段が終わると粗く石を敷いた参道となり、山肌をジグザグに登る。モミやスギの大木に覆われ、意外と山深い感じがする。
天狗が鼻を突いてあけたと言う穴のある「天狗の鼻突き岩」を過ぎると、稜線に登り着く。「十六丁目追分の碑」と呼ばれる高い石碑が建ち、「右富士浅間道」と刻まれている。ベンチもあり、大勢のハイカーさんが休憩している。
ここから稜線上の登りとなり、少し進むと富士見台と呼ばれる地点がある。今日は比較的暖かくて霞んでいるが、それでも冠雪した富士山を望むことができる。この辺りで、下から登って来た地元消防署の救助隊員に追い越される。何か事故があったのだろうか(この先で病気?で倒れたハイカーさんがあり、最後はヘリが飛んで来て搬送した)。
落葉して明るい雑木林の尾根を登り、ヤビツ峠からの登路と合流すると、ほどなく大山頂上に登り着く。
頂上はハイカーさんで大賑わい。売店も営業していて大繁盛。美味そうな匂いが漂っている。阿夫利神社本社に参拝し、その裏手にある奥の院にも詣でる。奥の院の前に鎮座する狛犬の台座には「石尊大権現 大天狗 小天狗」との銘がある。激坂さんの記事(数ある石尊山と石尊信仰の広まり)によると、大山は関東甲信地方に数多くある石尊山の総本山という話である。
頂上からは相模平野を俯瞰し、相模湾の海岸線まで薄らと見えて展望が良い。ハイカーさんが多くて、のんびり休める場所を見つけるのも一苦労だが、奥の院脇のベンチに席を得て、パンで軽く昼食とする。
下山は周回コースをとって、雷ノ峰尾根を下る。こちらもハイカーさんの隊列が続く。不動尻への道を左に分け、冬枯れの明るい雑木林の尾根を小さくジグザグを切りながら下る。ところどころから山麓の眺めが良い。既に14時を回っているが、登って来るハイカーさんが多いのは人ごとながら少し心配になる。下山する前に日が暮れちゃうよー。
やがて樹林帯に入って、ロープや梯子のあるトラバース道となる。危なくはないが、小さな子供連れは大騒ぎである。やがて緩やかな尾根となり、展望台と称する開けた平地に着く。ベンチや東屋があり、振り返ると大山頂上を仰ぐことが出来る。ここも休憩中のハイカーさんがぎっしりである。
展望台からU字に切り返して、山腹の急斜面をトラバースする道に入る。標高が下がったところは、紅葉がまだまだ奇麗だ。途中、崩壊個所を桟橋で渡る個所がある。
やがて、大山川に架かる橋に差し掛かって、すぐ上流にかかる二重ノ滝を眺める。大山頂上に突き上げる大山川は沢登りの対象になっており、ここが入渓点となる。大山川は1983年6月に遡行したことがあり、二重ノ滝を登るのはかなり怖かった記憶がある。今見ると、どこをどうやって登ったのやら、とても登れる気がしない(^^;)
二重ノ滝から少し登って阿夫利神社下社に戻ってみると、なんと下りのケーブルカーも乗車待ちの列が参道石段の途中まで達している。やはり50分待ちだそうで、それなら歩いて下った方が早いが、往復の乗車券を買っちゃってるから、まあ待ちますか。
夜も紅葉がライトアップされるので、午後の遅い時間になってもケーブルカーで上がって来る観光客は途切れない。ようやくケーブルカーに乗って山麓駅に着き、バス停に向かうとここでも長蛇の列。30分程待ってバスに乗る頃には、とっぷりと日が暮れていた。