女神岳

2013年8月31日(土)
天気:
メンバー:T
行程:桂荘 9:25 …八角三重塔 9:50 …桂荘 10:05 …夫婦道祖神 10:40 …女神岳登山口 11:00 …石祠 11:20〜11:30 …女神岳(927m) 11:35 …湯峠 12:05 …桂荘 12:25
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8月は仕事が重なって忙しく、夏休みどころか週末の休みもおちおち取れなかったが、月末の長野県への出張でようやく一区切りつく。出先の仕事が終わる30日(金)の夜は信州上田の別所温泉に宿を取り、のんびり骨を休めることにする。翌31日(土)は、天気が良ければ別所温泉の裏手にある女神岳に登るつもりだ。

上田駅から上田電鉄別所線に乗車し、田園風景の広がる塩田平(しおだだいら)をトコトコ走るローカル線の旅を楽しんで、終点の別所温泉駅で下車。温泉街を周回する無料送迎バスに乗って、今晩の宿の旅館桂荘に着く。

ちゃきちゃきの若女将に案内された3階の客室は眺めが良く、広縁から上田市街や浅間連峰の山影が遠望できる。荷を解いたら速攻で温泉へゴー。小さいが貸切風呂が三つある。源泉掛け流しで硫化水素臭のする温泉らしい温泉だ。風呂から上がって次は夕食、まずは生ビールを飲む。もう最高。料理は地元の野菜と信州紅豚のしゃぶしゃぶで、味も量も大満足。最後はトロトロ煮込みまで出て来て、ちょっと食べ過ぎになった。

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旅館桂荘(31日朝撮影)

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夕食の食卓

翌朝、天気は晴れだ。朝食もビーフシチューが出て豪勢。ご飯を3杯頂く。運動不足の上にご馳走続きで、体重増えただろうなあ。山歩きに不要な荷物は宿に預け、ナップザックに雨具、タオル、下着の替えを入れ、足元はトレラン用シューズという軽装で出発する。

女神岳に向かう前に、折角の機会なので別所温泉の見所も観光しよう。まず、宿の隣りにある北向観音に参拝する。本堂が北を向いていることから北向の名があるそうだが、普通はどっちを向いているんでしょ?境内の御手水が温泉なのは、如何にも温泉地らしい。

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北向観音

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御手水は温泉

門前の土産物店の間を通り抜け、次の見所の安楽寺・八角三重塔に向かう。少し山間に入り、ハス池から石段を上がると安楽寺の本堂がある。拝観料300円を払って裏手の山腹に登ると、墓地の中に国宝八角三重塔が建つ。四重にも見えるが、最下層は裳階(もこし)といい、屋根には数えないそうな。鎌倉時代末期(1290年代)の建立で、禅宗様の形式の貴重な建造物とのこと。荘厳かつ瀟洒なフォルムが素晴らしい。

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北向観音の門前街

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安楽寺前のハス池

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安楽寺本堂

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国宝八角三重塔

これにて今回の別所温泉観光は終了。桂荘まで戻り、女神岳の西麓を通って野倉(のぐら)集落に至る車道を辿る。緩い坂を登っていると容赦なく太陽が照りつけ、山歩きのブランクがある上に食べ過ぎのためか、妙に足が重い。少し進むと車道をショートカットする遊歩道があり、これに入ると木陰があって涼しくなったのは助かった。「里山を一周する道」との看板があり、近年、歩道が整備されたようだ。

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野倉へ車道を歩く

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遊歩道入口

遊歩道を進むと再び車道に出るが、あとは平坦になって木陰も多いので、気持ちよく歩く。西に展望が開け、穂が出始めたススキの原の向こうに夫神岳がこんもりと盛り上がって眺められる。まだまだ暑いけれど、秋の気配を感じさせる風景だ。

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遊歩道を歩く

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夫神岳を望む

車道が下り始めると、南向きの開けた斜面に民家が点在する野倉の集落に入る。四方を低山に囲まれ、美ヶ原の高峰を遠望する長閑な山村だ。分岐に道標があり、女神岳へ行く道は左だが、道祖神を訪ねるために直進。民族資料館(別所学校野倉派出所跡)の前を通り、次の枝道を左に入る。

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野倉民俗資料館

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ケヤキの大木と女神岳

途中に延命水との案内板があり、道路から一段下がった場所に水場がある。柄杓で湧水を掬って飲む。隣りには茶房パニという民家風の喫茶店もあって、スイーツでも頂こうかと心惹かれたが、このところ食べ過ぎなので、ここはぐっと我慢。

この直ぐ先に、お目当ての夫婦(めおと)道祖神がある。自然石を円形に彫り窪めた中に、衣冠束帯の男神と十二単の女神の像が刻まれている。建立の年代や由緒は不詳とのこと。周りをマリーゴールドの花壇に囲まれて、なかなかいい風情だ。

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延命水

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夫婦道祖神

道祖神から少し戻って、ケヤキの大木の下の小道を上がると、女神岳の南麓を回る車道に出る。こちらにも道端に湧き水があり、「飲み水/里山を一周する道」の看板がある。この少し先の路傍には数体の石仏がある。石像の一つには「京○童子 宝暦五天(1755年)七月十五日」と刻まれ、なかなか古い。車道を辿って振り返ると、円頂を擡げた雷山の中腹の緩斜面に野倉の集落が眺められる。

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石仏群

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野倉集落を望む

「女神岳登山道入口→」の道標を見て、車道から樹林の中をトラバースする山道に入り、次の道標で左に折れる。右側の少し開けた草原から浅間連峰が眺められる。この上に2基の石灯籠と石鳥居が建つ。灯籠には「文化三丙寅(1806年)極(12)月吉日」と刻まれている。この石鳥居の柱と笠木は、それぞれが1本ではなく2本の石材を継いだ形になっている。ちょっと不思議な建て方だ。

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女神岳登山口

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石鳥居

石鳥居を潜ると、急斜面を一直線に登る道となる。参道らしくない細い山道だが、途中から崩れた石段が現れる。最後は立派な石段があり、これを登って女神岳頂上に着く。約20分の短い登りだがかなり急だったので、結構疲れて良い腹ごなしになった。

頂上には石祠2基と台座のみの祠がある。樹林に囲まれて、展望は全くない。台座に腰を下ろし、ペットボトルのお茶を飲んで一休み。いつの間にか雲が出て陽が遮られ、吹き抜ける風が涼しい。

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一直線の急登

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女神岳頂上の石祠

頂上から北へ尾根を辿って緩く下ると、数本の空堀を横切って、石垣の跡が残る小ピークに着く。頂きは円形の広場となり、真ん中に三角点標石がある。ここはかつて女神岳城と称する山城だったそうだ。こちらのピークも樹林に囲まれて、展望には恵まれない。

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女神岳城の石垣の跡

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三角点のある平頂部

下山は三角点峰から北北西の尾根を下る。最初はかなりの急降下。藪はないが道型は薄く、足場が悪くてずるずる滑る。ようやく傾斜が緩むと、アカマツ林に覆われた尾根となる。松葉がふかふかと積もり、(松茸が生えているところを実際に見たことはないが)如何にも松茸が出そうな立派な松林だ。9月〜11月は止め山で入山禁止となるそうなので、今日はぎりぎりセーフである。

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北尾根を急降下

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アカマツ林の尾根を下る

鉄条網と枯れ枝のバリケードを越えて砂利道に降り立つと、その先の小山の上に松林に囲まれて松茸小屋がある。まだ営業期間の前で小屋には誰もいないが、ちょっとドキドキしながら小屋の裏手に回って、尾根をさらに辿る。すぐに湯峠に着き、幅広い峠道を左側に下る。夏草が繁茂しかかっているが明瞭な峠道で、今でも峠を越える人があるようだ。民家の前を下り、車道に出たところが別所温泉の大湯地区で、車道を左に行くと大湯の共同浴場がある。

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松茸山城山園

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湯峠

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峠道から女神岳を振り返る

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大湯(共同浴場)

大湯(150円)に入ってさっぱり汗を流し、下着を着替える。大湯から桂荘までは、温泉街を通り抜けて僅かの距離である。桂荘で預けた荷物を受け取る。宿の若旦那から、駅まで車で送りましょうか、と親切な申し出を頂いたが、そう遠くないし、帰りは下り坂なので、歩いて駅に向かう。

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別所温泉駅

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車窓から見た女神岳

昨日、別所温泉駅に着いたときは、すぐに送迎バスに乗って宿に向かったので駅の様子は良く見ていなかったが、レトロな風情が好ましい駅だ。出札口の駅員さんは袴姿の女性で、ハイカラさん風。駅舎の中は冷房が効いて快適。30分程待ち合わせて上田行きの列車に乗り、桐生への帰途についた。


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