餅ヶ瀬川リュウゴヤ沢

2013年8月4日(日)
天気:
メンバー:M,T
行程:餅ヶ瀬林道ゲート 6:55 …林道終点 8:50 …リュウゴヤ沢出合 9:40 …8mCS滝 10:20 …左俣左沢終点 10:50 …8mCS滝 11:15 …左俣右沢終点 11:40 …二俣 12:00〜12:20 …右俣終点 12:50 …砥草沢に合流 13:55 …リュウゴヤ沢出合 14:15 …林道終点 14:50 …餅ヶ瀬林道ゲート 16:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、緑:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

袈裟丸山のオーソリティで著書もあるMさんが、餅ヶ瀬川源流域の沢で未踏査のリュウゴヤ沢を調査に行くとのこと。餅ヶ瀬川源流の沢はどれも最後は袈裟丸山東面の岩壁帯に突き当たり、稜線まで遡行することは非常に困難なので、行ける所まで行って引き返すことになるらしい。その点、通常の沢登りとは様子が異なるが、険悪と話に聞く岩壁帯は一度実際に見てみたい。ということで、同行させて頂きました。Mさんの記事はこちら

私が餅ヶ瀬川流域に入るのは、ニョホウチドリを探索して訪れた7月に続いて2回目。前回と同じく、餅ヶ瀬林道奥のゲートまで車で入り、ゲート前のスペースに駐車する。

沢登りの装備を携えて出発。林道を奥へ辿る。最初は四駆なら通行できそうな林道だが、押溜沢出合を過ぎた辺りから落石、崩壊、藪・樹林の繁茂が酷くなる。左は急な崖で、餅ヶ瀬川の流れが遥か下だ。崩壊地のトラバースは転落しないように要注意。

林道の微かな道型には踏み跡があり、人が通った痕跡もあるが、どちらかというと獣道に近い。途中でサルの頭蓋骨やシカの背骨を見かけて、いささか薄気味悪い。周囲の山々は千古不斧の樹林に覆われ、まさに原始境である。

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餅ヶ瀬林道のゲート

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廃道と化した林道

林道の痕跡を残さず激しく崩壊した斜面を張り渡されたトラロープを頼りに通過し、支流に架かる金山橋(きんざんはし)を渡る。欄干には「昭和46年10月竣工」の銘があり、ということは林道が開通してから約40年か。ここまで荒廃しきってしまうことに驚く。

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崩壊地のトラバース

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金山橋

樹林の切れた個所から中袈裟から奥袈裟にかけての主稜線が高く仰がれ、いよいよ山奥深くに踏み込んだ感が強まる。崩壊したコンクリの洗い越しで枝沢を渡ると、一段と深い笹藪に突入。微かな道型も消えて、林道終点となる。

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中袈裟〜奥袈裟の稜線を仰ぐ

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林道終点の笹藪

山腹を下り、餅ヶ瀬川上流の砥草沢に降りる。ここでトレラン用シューズから渓流足袋に履き替えて、遡行開始。すぐに右岸から流れ込むツルサリ沢の出合を過ぎる。深い樹林に覆われたゴーロの沢を進むと広く浅い谷となり、水流が幾筋にも分かれる。目指すリュウゴヤ沢はそのうちの一つの水流で、地形図で見るよりだいぶ手前が出合だったようだ。

出合を過ぎてしまったので、樹林を横切ってリュウゴヤ沢に入る。最初は伏流で水の少ない荒れ沢だが、じきに小さなナメや滝が断続的に現れるようになる。簡単に登れるこういう場所が沢では楽しい。両岸は凝灰岩や礫岩の険しい草付きの岩壁で、沢の中は転石、落石が多い。

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砥草沢に降りて遡行開始

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リュウゴヤ沢のナメ

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ソバナ

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キオン

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小滝(1)

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小滝(2)

やがて、右に落差8m程のCS(チョックストーン)滝が現れる。滝の裏が大きな岩屋になっており、滝行にうってつけである。Mさんの発案で、この滝には「行者滝」という仮称が付く。

行者滝で出合う右の沢(左俣右沢)よりは、左の沢(左俣左沢)の方が沢床が低くて本流のように見える。まず、左沢に入ってみる。

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8mCS滝(行者滝)

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左俣左沢を登る

僅かに水が流れるナメを登ると徐々に傾斜が強まり、5m程の滝が現れる。ここからヘルメットを装着。左から簡単に越える。この5m滝の上流は崖崩れによる土砂が大量に押し出して堆積し、不安定極まりない。

水のなくなったゴーロを登ると、大木が倒れ掛かった8m程の滝が現れる。この滝はMさんが直登を試みるが、落口が難しそう。また、登れたとしてもいずれ降りて来なければならないが、懸垂下降の支点もないので、登るのを断念。左沢はここで引き返す。5m滝の下降は、見た目程は難しくない。

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5m滝

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8m滝
左俣左沢の遡行はここまで

行者滝まで戻り、左沢と右沢の間の低い尾根を乗り越して右沢に入る。ここは行者滝を右の斜面から越えた方が楽だった。灰が固まったような岩壁の下を通ると小滝が現れる。小さい滝で、一見ホールドスタンスとも豊富だが、頼った傍から岩が剥がれて登れない。ここは右の壁を高巻く。巻き道も足元が脆くて、気持ちは良くない。

このすぐ上にCS滝がある。Mさんが取り付き、何とか登れそうだが、やはり下降の際の支点がない。右沢の遡行はここまでとし、沢を下って行者滝に戻る。

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左俣右沢を登る

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灰が固まったような岩壁

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右壁を辛うじて高巻く

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左俣右沢の遡行はここまで

行者滝の左岸を下り、さらに沢を下ると左岸から伏流で水のない沢(右俣)が出合う二俣となる。雨がパラパラと落ちて来たが、幸い本降りにはならないようだ。正午になったので、ここで休憩してパンで昼食とする。

右俣に入ると両岸がササに覆われた浅いV字状の沢となり、やがて水流が現れる。左岸の尾根は低く、既に源流の雰囲気があるが、主稜線までは標高差がまだ約300mもある。

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右俣出合は伏流

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右俣を登る

徐々に傾斜が増すと長いナメ床となる。水は少なくてお湿り程度だが、ヒタヒタとナメを登って行くのは気持ちが良い。

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ナメ(1)

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ナメ(2)

さらに傾斜が増すと前方に岩壁が現れ、沢は急峻なルンゼとなって突き上げている。これが袈裟丸山東面の岩壁帯で、写真ではその迫力がうまく伝わらないが、急傾斜の上にボロボロの岩質で、とても登れそうにない。加えてここの標高は1710m、主稜線までは標高差がまだ250mも残っている。当然、遡行はここまで。Mさんによると、餅ヶ瀬川の源流域はどの沢も最後は同じような険悪なルンゼとなり、主稜線に抜けるのはまず無理とのこと。しかし、実際にどんな場所か、その一端を見ることができたのは良かった。

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急傾斜のルンゼとなる

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右俣の遡行はここまで

ここから笹の急斜面を登って、左岸の尾根に這い上がる。尾根の上から望む袈裟丸山の東面は、どこも樹林に覆われた急な崖だ。Mさんによると、樹木を頼りに尾根を登ってもどこかで岩場に突き当たり、稜線まで登ることができるのは中尾根くらいらしい。中尾根はいつか歩いてみたい。

尾根を越えた隣りの沢には大岩屋があるとの言い伝えがあり、次はそれが探索目標だ。少し尾根を下り、傾斜が緩んだところから沢に降りることにする。尾根上は疎らな樹林と背丈の低い笹原で、比較的歩き易い。しばらく尾根を辿り、笹を掴んで急斜面を下り、小さな沢に降り立つ。

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左岸の尾根を下る

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隣りの小沢を下る

この沢は水量も少なく、傾斜も緩くて下降に問題ない。残念ながら大岩屋らしきものは見つからず、本流の砥草沢に合流する。さらに沢を下って、リュウゴヤ沢出合を過ぎて、林道からの下降点の少し先に至る。ここで渓流足袋をトレラン用シューズに履き替え、急な山腹を登って林道終点付近に上がり、往路を戻る。

三つの沢を登り降りしたのはなかなか骨が折れたが、袈裟丸山の一番奥深い所を見ることができたのは大満足。崩壊地を過ぎれば、あとは僅かに下り勾配の林道を気楽に歩いて車に戻った。

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リュウゴヤ沢出合

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林道に上がる

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崩壊地を越える

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林道ゲートに帰着


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