相馬山

天気:時々
メンバー:M,T
行程:オンマ谷風穴 9:40 …東尾根入口 10:10 …石仏 10:30〜10:40 …相馬山(1411m) 11:20〜12:00 …相馬山登山口 12:30 …オンマ谷風穴 12:45
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末の三連休の天気は、梅雨明け後にも拘わらず不安定で読み切れない。遠出は止めて、近場の日帰りの山でなるべく涼しそうなコースを考える。榛名山の相馬山は5年前に登ったことがある(山行記録)が、未踏で面白そうなルートがいくつか残っている。Mさんに同行頂いて、今回はそのうちの一つ、東尾根から相馬山に登って来ました。

(なお、相馬山の東尾根コースは、危険個所があることを理由として登山禁止になっています。実際に歩いてみると禁止にする程の危険性はなく、十分に通行可能ですが、一般コースではないので、通行する場合は自己責任で願います。)

桐生を車で発ち、県道高崎東吾妻線から松之沢峠を越えて榛名山に向かう。途中、黒岩の大岩壁にはクライマーが取り付いていて、道端にはクライマーの車が多数停まっている。県道渋川松井田線に出てヤセオネ峠で分岐する枝道に入り、オンマ谷へジグザグに下って車道終点の駐車場に車を置く。標高が既に約1100mと高く、緑陰が豊富なおかげで、外に出るとヒンヤリと涼しい。避暑に持って来いのスポットだ。

オンマ谷の底に向かって下るとすぐに風穴があり、溶岩の隙間に手をかざすと、中から冷気が吹き出しているのが分かる。


オンマ谷入口


オンマ谷風穴

木漏れ日が揺れる谷間の樹林の中を緩く下って行く。木の間越しに谷の右側斜面を見上げると、断崖絶壁の上に相馬山の稜線が垣間見える。途中にマユミの原という標識があるので、秋にはたくさんの赤い実が生って奇麗だろう。


オンマ谷へ緩く下る


マユミの原の標識

苔むした大岩の間を歩くとやがて登り坂となり、登り切った地点で二ッ岳へ登る道を左に分ける。ベンチがあり、ハイカーさんが休憩している。


二ッ岳分岐へ緩く登る


二ッ岳分岐

直進して左に伊香保森林公園管理棟へ下る道を分ける。そのすぐ先で尾根の上に乗ると、右側に「登山禁止」看板がある。ここが東尾根コースの入口で、二重三重にトラロープが張られている。

ネットで調べると東尾根から相馬山に登った山行記録はいくつかあり、いずれも大した危険個所はなかったと記されている。また、Mさんも十数年前に当時4歳の息子さんを伴ってこのコースを歩いたことがあり、途中に鎖場はあるが、子供が喜んで登るくらいで問題なかったそうだ。廃道の進行具合は気になるが、通行可能と判断して進入する。

尾根上にははっきりとした踏み跡が続いている。少々、低木の小枝が煩いが、赤テープのマーキングもあり、結構人が歩いているようだ。樹林に覆われて展望はないが、所々の切れ間から行く手に、どこを登るんだろうと思うくらい急峻なピークの相馬山が望まれる。


東尾根入口の看板


東尾根の廃登山道を辿る


行く手に相馬山を望む


笹と樹林の尾根

小ピークで左に1215m三角点(通称、柏木山)へ続く尾根を分け、右に折れて相馬山との鞍部に向かって下る。鞍部の右側、オンマ谷に向かって突き出た岩の上には不動明王の石像が祀られている。四頭身の可愛い体型だが、目鼻立ちはくっきり凜々しく彫られている。素晴らしい石仏で、東尾根を歩く目的の一つがこれを見ることだったから嬉しい。ここでしばらく休憩をとる。


不動明王像


急傾斜の尾根を登る

不動明王像から頂上までは急登の連続となる。まず、尾根の左側を絡む様に登る。ここは道型が少し不明瞭だが、マーキングがある。途中、台座だけの石祠がある。小さな瘤を越えると、相馬山の尖った頂上が間近に仰がれる。痩せ尾根を渡ると最初の鎖場が現れるが、ここは鎖を使わなくても簡単に越えられる。


相馬山頂上を仰ぐ


最初の鎖場

続いて二つ目の鎖場は、垂直に近い岩壁に二本の鎖が下がっている。見た目は恐ろし気だが、岩に足場が刻まれているので、これも難なく越えられる。この上で右側に展望の得られる個所があり、オンマ谷に切れ落ちる岩壁や、谷の向こうの二ッ岳雄岳が眺められる。

三つ目の短い鎖場を越えると、トラロープの張られた急登となる。この辺りも困難はないが、なにせ傾斜が急なので、万が一、滑落するとただでは済まない。


二つ目の鎖場


相馬山北面を覗く


二ッ岳雄岳を望む


頂上直下の急登

急坂を登り切り、トラロープを潜って「登山禁止」の看板の脇を通ると、相馬山の頂上に着く。東尾根コースを歩いた感想としては、確かに険しい個所はあるが、登山を禁止する程の危険は感じなかった。変化があって面白いコースなので、登り専用にして登山可としても良いのではないかと思う。

頂上には、休日なのに誰もいない。黒髪山神社の社殿が建ち、御嶽三座神の石像を中心に多数の石像、石碑がある。説明板によると、古くから闇龗神(くらおかみのかみ)の信仰があり、これが訛って黒髪山との神社名となったそうだ。大変納得。前回登った時には立派な常夜灯も建っていたのだが、震災のためか、残念ながら倒壊していた。


相馬山頂上


御嶽三座神の石像

社殿の前に腰を下ろしてパンの昼食を摂り、西尾根の登山道からハイカーさんが登って来たのを潮に、ヤセオネ峠に向けて下山にかかる。西尾根を下って長い鉄梯子を降りると、磨墨(するす)峠とヤセオネ峠の分岐に着き、赤鳥居が建つ。樹林の中を緩く下ると相馬山登山口で、県道渋川松井田線に出る。ここから車道を歩いてオンマ谷の駐車場に戻る。


西尾根の鉄梯子を下る


西尾根入口の鳥居


登山道を緩く下る


相馬山登山口の鳥居

時間に余裕があるので、Mさんは行ったことがないという磨墨岩に立ち寄る。車で沼の原に移動。県道沿いの駐車スペースに車を置いて、デジカメだけを持って磨墨岩に向かう。沼の原のユウスゲはまだ時期が早いようで、ポツリポツリと咲いている程度だ。

沼の原を俯瞰する磨墨岩の岩頭には烏天狗の石像が祀られ、相馬山から榛名富士、榛名湖にかけての眺めが良い。榛名でも、最も良い絵が撮れる場所の一つではないかと思う。磨墨岩基部の行人洞にも立ち寄ったのち、桐生への帰途についた。


磨墨岩の烏天狗像


磨墨岩から相馬山を望む


行人洞の線刻仏画


行人洞の不動明王像