御坂黒岳

天気:時々
メンバー:T
行程:三ツ峠入口BS 7:25 …御坂峠 8:25〜8:35 …黒岳(1793m) 9:35〜9:50 …板取沢下降点 10:45 …三ツ峠入口BS 11:30
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末は所用で富士北麓に出掛けることになったので、ついでに周辺の山歩きを企てる。初日の午前中に空き時間があるので、御坂山地の最高峰ながら短時間で登れる黒岳の登山を計画。富士山の展望が売りの山だが、この時期のクリアな眺めは望み薄だろう。それでも日本300名山の一座でもあるので、機会があれば登頂しておきたい。という訳で、ピークハントを目的に登って来ました。

桐生を未明の4時に車で出発。北関東道、関越道、圏央道、中央道、富士吉田線と高速を乗り継いで河口湖ICに向かう。圏央道の開通で、桐生から富士山はずいぶん近くなった。ただし、夏休み最後の週末とあって、早朝に関わらず中央道は車が多い。もう少し遅い時刻だったら、確実に渋滞に巻き込まれていただろう。

河口湖ICからR137を走り、新御坂トンネルの直前で右折、天下茶屋に向かう御坂みちに入ってすぐ左に御坂峠の登山口がある。登山口の向かいに5台分程の駐車スペースがあり、ここに車を置く。すぐそばを通るR137は交通量が非常に多く、トンネルの奥から車の走行音が絶え間なく響く。山歩きのスタートにしては興趣を少々欠くが、こういう場所から登り始める山も珍しい。


登山口の駐車スペース


登山口の道標

御坂峠への登山道に入ると、草叢の中に「森林文化の森・河口の森」の説明板がある。この説明板の前を左に分岐する道が、復路に用いる予定の板取沢沿いのコースのようだ。御坂峠へは幅広いを直進する。

作業道らしき道にひっぱられて沢沿いに進むが、どうも峠道らしくないので、左方向に軌道修正すると、それらしい山道に出る。これを辿ると、杉林の尾根を絡んでジグザグに登る道となる。「峠道文化の森入口」という道標を過ぎると自然林の中に入り、いにしえの峠道らしい風情が出て来る。途中、道端に一体の石像があった。青面金剛のように思うが、どうだろう。


「河口の森」説明板を左に見る


峠道を登る


路傍の石像


樹林をジグザグに登る

ジグザグ続きの山道が右へ山腹をトラバースし始めると、峠は近い。馬頭観音像を過ぎ、テンニンソウの群落の中を通って峠に着く。


馬頭観音像


峠手前のテンニンソウの群落

御坂峠は樹林に覆われて展望はなく、草地がぽっかりと開けていて、ひっそりと静まり返っている。片隅には御坂茶屋の小屋があるが閉鎖されており、最近は営業されていない感じ。かつては峠越えの往来で賑わったのだろうか。

水を飲んで休憩後、黒岳への縦走路に入る。すぐに御坂天神の石像を祀る小社があり、しばらく平坦な稜線を辿る。峠にあった説明板(文字が掠れて良く読めない)によると、この辺りは御坂城跡だそうで、確かに空堀跡らしき窪地を見る。


御坂峠


御坂天神

やがて傾斜が増して、ブナやミズナラなどの樹林に覆われた稜線を登る。展望はないが、足元には意外と秋の花が多くて楽しめる。特にハナイカリは(この時期普通に見られる花だそうだが)私にとっては初めて見る花で、花の形も緑という色も物珍しい。


黒岳への尾根道


レイジンソウ


オクモミジハグルマ


ママコナ


タテヤマギク?


ハナイカリ

一部に露岩もある樹林の尾根を登る。やがて傾斜が緩くなり、テンニンソウの群落(御坂峠にもあったな)を抜けると、樹林に囲まれてポッカリと小平地が開けた黒岳の頂上に到着した。


樹林の尾根を登る


頂上付近のテンニンソウの群落

頂上では一組のご夫婦が休憩していて、挨拶を交わす。狭い頂上にはタムラソウとカントウヨメナ?が群れ咲いていて、なかなか見事。腰を下ろしてしばし休憩。空はどんよりとした灰色の雲に覆われ、天気を心配していたら、ポツポツと雨粒が落ちて来た。


この花は何でしょう?
(タカクマヒキオコシとご教示頂きました)


黒岳頂上


タムラソウ


カントウヨメナ?

幸い本降りにはならず、雨具を出す必要もなかった。予定通り、板取沢のルートを下ることにして、南の稜線に続く細い山道に入る。頂上の案内板に書かれていた通り、200m程進むと「展望台」に着く。樹林が切れて南面の眺めが開け、晴れていれば富士山がドーンと眺められる撮影ポイントだ。しかし、今日はあいにくの曇り空で、富士山は厚い雲に隠れて全く見えない。わずかに、河口湖の湖面と周辺の町並が霞んで見えるだけだ。


展望台


展望台から河口湖を俯瞰

展望台からさらに稜線を南に下る。御坂峠〜黒岳のしっとりとした樹林の中の登山道に較べると、少々藪っぽく踏み跡に近い山道だが、急坂にはロープが張られ、「至広瀬」という道標も随所に設置されて整備の手が入っている。ところどころから展望があり、標高が下がるに連れて靄が晴れ、下界が良く眺められるようになる。


ロープもある急坂の下り


河口湖を見おろす

細い稜線をひとしきり下ると、板取沢への下降点に着く。小さな道標があるから、注意していれば分岐を見落とすことはないだろう。左に折れて、枝尾根を下る。急坂には意外なことに木の階段が設置されていて、良い山道だ。「河口の森」関連で整備されたのかな?


板取沢下降点


階段が整備された道を下る

やがて枝尾根から左へ折れて山腹を下る。ここも丹念にジグザグが切られた歩き易い道だ。ほどなく谷に降りて、水の涸れた板取沢の右岸を下る。ここも階段が整備されているが、谷筋では崩壊で少々荒れた個所もある。ようやく水流が現われ、左岸に渡るところで冷たい水で顔を洗って一息入れる。そこから僅かな距離で新御坂トンネル入口の上を通り、往路で通った「河口の森」の看板の前に出た。


板取沢に沿って下る


駐車地点に戻る

駐車地点に戻ると車が3台に増えている。うち1台は山梨県警の車両で、中には人影がある。何事かと一瞬ギクッとしたが、車から出て来たお巡りさんが「どこに登ったの?」と話しかけて来た。単にパトロール中に休憩していたようだ。私の車が群馬ナンバーなのを見て、遠いところからわざわざ、と感心された。しかし、黒岳は県外から来るハイカーさんも多いとの由。

このあと、山中湖平野石割の湯に立ち寄る。さっぱりと汗を流し、昼食にビビンバカルビ丼を食べた後、所用の地に向かった。