赤岳(八ヶ岳)

天気:のち
メンバー:M,T
行程:県界尾根登山口 6:45 …真教寺尾根分岐 7:05 …登山道入口 7:25 …小天狗 8:05〜8:15 …大天狗 9:15〜9:30 …鎖場 10:00 …赤岳展望荘分岐 10:25 …赤岳(2899m) 10:50〜11:20 …扇山 13:45 …牛首山(2280m) 14:05 …賽の河原 14:50 …真教寺尾根分岐 15:10 …県界尾根登山口 15:25
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

海の日3連休の初日と2日目は天気が良くなかったため、山歩きは断念。最終日は梅雨前線が北上し、関東甲信地方は晴れるとの予報が出た。もう下界は蒸し暑いので、登るなら涼しい高山がいい、という訳で、高峰の中では近場の赤岳に日帰りで登ることにする。赤岳に登るのは、学生時分に真教寺尾根から登った時以来で、ウン十年振りだ。今回はMさんに同行頂き、県界尾根を登って真教寺尾根を下る周回コースで登ってきました。

桐生を未明の4時に車で出発。佐久ICで高速を降りてR141を南下する。最初は八ヶ岳の稜線に少しかかる程度の雲が出ていたが、野辺山あたりまで来ると雲が下がってきて、八ヶ岳連峰全体が覆い隠されてしまった。前線に向かって、南から湿った空気が流れ込んでいる影響のようだ。

清里の手前でR141を右折して、美し森へ上がる車道に入る。車道に沿って、早朝から森林浴を楽しんで散歩したり、ジョギングする家族連れ、児童、若者のグループを多く見かける。林間学校とかで来ているのかな?さすが高原のリゾート地だ。

サンメドウズ清里スキー場の東側の車道を上がると舗装終点となり、道端には登山者の車が既に5台、一列に停まっている。我々もここに車を置き、「県界尾根 赤岳→」という道標に従って、樹林の中の未舗装の林道に入る。辺り一面霧に覆われて、Tシャツ1枚では涼しいを通り越して肌寒い。昨日の下界の蒸し暑さに較べると別天地だ。


県界尾根登山口


登山口の道標

ところどころコンクリ舗装された林道を辿り、大門沢を左岸に渡る。途中、真教寺尾根への山道を左に分ける分岐点がある(道標あり)。復路は真教寺尾根からここへ下って来ることになる。分岐点まで1台の4WD車が入り込んでいたが、悪路なので普通車は止めておいた方が無難だ。やがて樹林が切れ、大門沢の上流が眺められる。雲が上がり始めて谷の奥まで見通せるが、赤岳の稜線はまだ雲の中だ。


大門沢に沿って登る
赤岳稜線は雲の中


道端に咲く
キバナノヤマオダマキ

笹原の中の林道を辿ると、登山道入口という道標があり、小天狗まで1時間と記されている。ここで右折して、ダケカンバと笹原の中の登山道を登る。途中、降りて来た数人のグループに出会う。話を伺うと、早朝に出発して登ったが、上部は風が強くて引き返して来たそうだ。我々が登るときには天気が回復してくれれば良いのだが。


登山道入口


シラビソやダケカンバの樹林を登る

シラビソやダケカンバに覆われた枝尾根を登ると、防火帯ノ頭を経由して右から登ってくる登山道と合流する。その少し先が小天狗の頂上で、樹林に囲まれた小さな広場があるので、ここで一休みする。雲が徐々に上がり、木の間から大門沢を隔てた対岸の真教寺尾根が眺められ、雲海の向こうには筋状に雪を残した富士山も遠望できる。広場から数分先には露岩があり、その上に「東方薬師如来」の小さな石碑が建つ。


小天狗頂上


東方薬師如来の石碑

小天狗からはシラビソに覆われた緩やかな尾根を辿る。足元にはゴゼンタチバナやマイズルソウの花があちこちに咲いている。小さな砂礫地に出て樹林が切れると、行く手に赤岳が眺められる。大門沢の源頭には雪渓が残っていて、夏山らしい眺めだ。頂上はまだ雲に覆われているが、雲の流れは速く、そのうち晴れそうだ。


県界尾根と雲に覆われた赤岳を望む


緩やかな尾根を進む

大天狗への登りに取り付くと少し傾斜が増す。登り着いた大天狗は、シラビソの深い林に覆われた露岩のピークで、下山途中のハイカーさんのグループが休憩していた。露岩の上には頭の欠けた石像が祀られている。葉団扇を携えており、山名通りの大天狗の像らしい。我々もここで一休み。風を避けて露岩の陰でお菓子を齧る。


大天狗(右奥のピーク)に向かう


大天狗への登り


大天狗頂上


頭部の欠けた大天狗の石像

大天狗から少し進むとヘリポート跡と言われる小平地があり、そこから傾斜が急になる。樹林の間から見上げると、急角度で岩峰が聳えている。赤岳の頂上はまだ雲の中だが、雲は着実に上がっているようだ。

やがて、登山者への警告看板が現れる。曰く「この先大変危険です。積雪期・残雪期の間、単独行者及び雪山装備(アイゼン、ピッケル、ザイル)が不十分な登山パーティの通行を禁止します。毎春死亡事故が発生しています。引き返しましょう。赤岳頂上山荘」。今の時期の通行は問題ないはずだが、なかなか恐ろしげな文面だ。注意して登ろう。

頭上に岩峰を仰ぎ見ながら登ると、草付きの岩場に着く。鉄製の桟道で岩場を右にトラバースすると、鎖が架けられた岩壁の下に出る。ここは警告看板通りの難所だ。Mさんはここを雪のある12月に登ったことがあるそうだが、トンデモナク怖そう。岩場の岩角が丸っこくて滑りやすく、鎖を握る手に思わず力が入る。鉄梯子を登ると岩場のテラスに着いてホッと一息。振り返ると登って来た県界尾根が足元で、彼方に奥秩父を遠望する。


雲巻く赤岳を仰ぐ


難所を鎖で登る

テラスを右にトラバースすると、今度はルンゼ状の岩場に架かる鎖場となる。これを登りきると、右手に主稜線上に建つ赤岳展望荘が見える。主稜線にかかる雲も取れつつあるようだ。頭上には岩峰がのしかかるように聳え、赤岳頂上へはまだまだ登りがありそう。


岩場のテラスを右へ


ルンゼ状の岩場を鎖で登る

赤岳展望荘への巻き道を右に分け、ハイマツの中に鎖と鉄梯子が連続する岩稜を急登する。すっかり青空が広がって、頭上に見えてきた赤岳頂上小屋の屋根を目指して一直線に登って行く。岩場の急登に最後は息を切らせて、赤岳頂上小屋に登り着いた。


赤岳展望荘への巻き道


赤岳頂上小屋に向かって急登

頂上小屋の横手に回ると赤岳北峰の頂上で、大勢のハイカーさんが休憩している。主稜線上は強風が吹き抜けてさすがに寒い。風を避けて腰を降ろし、まずは缶ビールで乾杯。つまみを腹に入れて少し休んだのち、岩稜を歩いてすぐ隣の赤岳南峰に移動する。


赤岳頂上小屋


赤岳頂上小屋より赤岳頂上(南峰)を望む

赤嶽神社の石祠が祀られた南峰頂上から、360度の大展望をゆっくり楽しむ。南側にはギザギザの稜線を連ねる権現岳を望み、その向こうには雲間に南ア北部の連山を遠望する。西側には、私はまだ登ったことがない阿弥陀岳へ険阻な稜線が延びる。その右の山麓を俯瞰すると、ゆったりと広がる樹林の中に行者小屋や赤岳鉱泉の屋根が光る。


赤岳頂上の石祠


赤岳より権現岳と南アを遠望


赤岳より阿弥陀岳を望む


赤岳より行者小屋と赤岳鉱泉を俯瞰

北側には横岳や大同心、小同心辺りの岩稜が見えるが、その向こうはまだ雲の中だ。東側の山頂直下は岩壁となり、眼下には県界尾根と真教寺尾根の良く似た二つの尾根が平行に横たわる。登るに連れて天気が良くなり、頂上で展望が得られたのは運が良かった。眺めを堪能したのち、下山にかかる。


赤岳より横岳を望む


赤岳より県界尾根(左)と
真教寺尾根を俯瞰

頂上から南へ岩稜を下り、中岳・文三郎尾根への道を右に分ける。竜頭峰の小岩峰を越えると真教寺尾根と権現岳への縦走路の分岐となる。


竜頭峰(左)と権現岳


真教寺尾根分岐

左の真教寺尾根に入り、ザレた岩場を斜めに下る。傾斜が強く、鎖が張られている。行く手に真教寺尾根下部の緩やかな尾根を俯瞰し、爽快な高度感がある。急斜面を注意して下り、尾根の弛みに着いて一安心。振り返ると赤岳の頂上稜線が既に高い。


ミヤマシオガマ


真教寺尾根上部の
岩場を振り返る

さらに尾根上の急な下りが続き、ところどころには鎖場もある。やがてダケカンバやシラビソの樹林に入り、傾斜も緩んでのんびり下る。日差しが強くて暑い。適当な平地と木陰のある所で昼食とし、私はお湯を沸かしてカップ麺のてんぷらそばを作る。

昼食後、少し下ると平坦な尾根となる。樹林の間から振り返ると赤岳頂上には再び雲がかかり、日差しも陰り始めた。足元に咲くゴゼンタチバナやマイズルソウの花を眺めながら歩く。ゆるゆると登り返した樹林中の平坦なピークには扇山の山名標があり、そこから一足で三角点標石のある牛首山に着く。ここには「黒府摩利支尊天」の小さな石碑が建つ。


真教寺尾根を下る


樹林の切れ間から
赤岳を振り返る


針葉樹林に覆われた
平坦な尾根を行く


牛首山頂上

牛首山からは少し痩せた尾根の下りとなる。尾根の右側がガレ場に面した区間があり、眺めが良さそうだが雲が下がって来て遠くは見えない。カラマツ林と笹原の斜面を下ると、砂礫地が広がる賽ノ河原に着く。最初に赤岳を登ったときはここを通っているはずだが、この風景は全く記憶にない。大昔とはいえ、自分の記憶力は当てにならないなあ(^^;)


牛首山からの下り


賽ノ河原

賽ノ河原の入口に「大門沢→」という道標があり、左に下る登山道がある。これを下ると、笹原を切り開いたばかりで、笹の切り口も新しい山道がカラマツ林の中に続く。大門沢を渡って往路に合流、林道を15分程歩いて、車を置いた県界尾根登山口に帰着した。今日は肉刺もできなかったし、新しい登山靴もだいぶ馴染んできたようだ。


大門沢へササの切り開き道を下る


県界尾根登山口に帰着

帰りは松原湖の八峰(ヤッホー)の湯に立ち寄る(500円)。松原湖奥の高台にあり、露天風呂から北八ヶ岳連峰の眺めが良い。三連休最終日でお客さんは多かったが、お風呂はゆったりと浸かれた。お勧め。

松原湖入口の酒屋で佐久の地酒をお土産に買い、帰途につく。上信越道が渋滞したが、30分程のロスで済み、20時頃に桐生に帰り着いた(この日は関東平野部で35℃の猛暑、翌日に関東甲信は梅雨明けした)。