白髪山〜白髪岩〜赤久縄山

天気:のち
メンバー:M,T
行程:御僧尾根登山口 9:00 …下御僧様 9:50 …上御僧様 10:15 …南小太郎分岐 10:35 …白髪山(1521m) 11:00 …杖植峠 11:25 …白髪岩登山口 11:40 …白髪岩(1512m) 12:10〜12:45 …白髪岩登山口 13:15 …高岩の頭 13:45 …西登山口 14:15 …赤久縄山(1522m) 14:30〜14:40 …西登山口 14:50 …林道大反線終点 15:35 …御僧尾根登山口 16:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先日、神流マウンテンラン&ウォークのコースを辿る山行の第二弾で、万場から赤久縄山に続く神丸(かんまる)尾根を登ってみた(山行記録)。最終目的地として赤久縄山の頂上を目指したのだが、安取(あとり)峠の先で登路が判らなくなって頂上には辿り着けず、持倉から下山の仕儀と相成った。

持倉は山上の急傾斜地に民家が点在する集落で、天空の里とも呼ばれている。ここの山村風景は素晴らしかった!また、持倉から白髪山に登る御僧(おそう)尾根の登山口も偵察した。御僧尾根もマウンテンランのコースに選定されていて、山歩きにも良さそうだ。途中にあるという御僧様の祠にも興味を惹かれる。

そこで今回は持倉を起点にし、白髪山と赤久縄山を周回する山行を計画した。前回不明だった赤久縄山〜持倉間のルートに不安があったが、掲示板に投稿頂いた情報でルートも判った。早速、この週末に計画を実行に移し、Mさんに同行頂いて歩いて来ました。

桐生を朝7時に車で出発し、藤岡IC、鬼石、万場を経由して持倉に向かう。前回、延々と歩いて帰った船子川沿いの車道は、車で走っても結構な距離。よく歩いたもんだと自分に感心。持倉の集落を通り抜けて、御僧尾根登山口のすぐ先のスペースに車を置く。

御僧様まで50分、白髪山まで120分との道標を見て、緑滴る雑木林の中の登山道に入る。急な尾根を登るが、丹念にジグザグを切った道なので、ゆったり歩ける。深く掘り窪んだ道は、かつての往来の多さを偲ばせる。


御僧尾根登山口


新緑の尾根をジグザグに登る

雑木林から新緑が芽吹くカラマツ林に入り、さらにジグザグに登る。足元には小さなチゴユリの花が多い。やがて、下御僧様の祠に着く。積み重なった岩に屋根が掛けられ、鯉のぼり形の道標とお供えのお酒があるだけで、石像等はない。今日は午後に夕立があるとの予報だが、今のところよく晴れたいい天気だ。汗を拭い、水を飲んで一休み。林間を吹き抜ける風が爽やかで気持ち良い。

下御僧様から再び雑木林に入って登ると、ほどなく上御僧様の祠に着く。赤っぽい石がたくさん積み重ねられ、その上に屋根が掛かる。軒先には「御僧様の祠」と題されたプレートがあり、それには次の様な由来が記されていた。

平将門に寺を焼かれ、秩父から妙義山(又は黒滝山)に向かった75名の僧侶の一団が、12月28日の雪の中、当時二軒しかなかった持倉集落に宿泊できず杖植峠を目指したが途中で遭難。翌春に僧侶達は赤い石となって発見された、と言い伝えられている。その石は地元有志により大切に祀られている。

伝説なのでどこまで真実かは判らないが、今に語り継がれる大事件があったことは確かだろう。当時の僧侶達の苦労を思い、一寸の間手を合わせる。


下御僧様


上御僧様の祠に着く

ミヤコザサとブナ林の尾根を緩く登ると南小太郎分岐に着き、南小太郎山・萱の平・持倉越への道を左に分ける。南小太郎山はここから約500mの短い距離にあるが、この辺りにはまた来る心積もりなので、今回は割愛して白髪山に向かう。

杖植峠への巻き道を左へ分け、ササ原を切り開いた道を辿ると白髪山の頂上に登り着く。白髪山は2回目の登頂だ。前回は神流マウンテンランが始まる前年だったから道は整備されておらず、ササに覆われた頂上には古くて文字が掠れた山名標があるだけだった。現在はササが綺麗に苅り払われ、鯉のぼり形の山名標が新たに付けられている。


ササとカラマツの緩い尾根


白髪山頂上

当初の計画では次は赤久縄山に向かうが、ちょっと寄り道して、Mさんが未見の白髪岩の原三角測点と、杖植峠の記念標識にも立ち寄ることにする。少し休んだのち、頂上から稜線を北に辿ると、右にマウンテンランのコースを分ける。直進して鮎川源流の水流のない浅い窪を下り、御荷鉾スーパー林道に出る。

林道を西の杖植峠に向かって辿る。ツーリングのバイク3台が我々を追い越して行ったが、交通量はほとんどない。白髪岩登山口を過ぎ、先に杖植峠に向かう。掘り窪んだ旧峠道を上がり、群馬の峠の記念標識に再会した。標識には設置者の所属と氏名が「三共電器、岩佐」と刻まれているが、Mさん曰く、三共電器は現在のサンデンとのこと。確かに言われてみれば「三電」だ、気がつかなかった(^^;)。無縁の会社ではないので、びっくり。


白髪岩登山口


群馬の峠最終峠記念標識

林道を戻り、白髪岩登山口から稜線上の踏み跡を辿って白髪岩を往復する。踏み跡と言っても歩く人が増えたため、一般登山道並みに明確な道になっている。道標も多い。

いくつかピークを越え、見晴しの良い岩場を登ると白髪岩の頂上に着く。原三角測点の標石も相変わらずどっしりと鎮座している。新しく設置された説明板によると、標石には南牧村産椚石(石英質安山岩)が使用され、地元の林業関係者は「稲含山の三角点」と呼んでいたとのこと。

先刻から上空に灰色の雲が広がり始めていたが、とうとうポツポツと雨が降り出した。雨具を着て腰を下ろし、ここで昼食とする。まずは缶ビールで乾杯し、ラーメンを作って食べる。幸い、雨具を着ると雨が止むの法則が発動、食べ終わる頃には止んだので、雨具を脱いで往路をスーパー林道に戻る。


原三角測点標石のある白髪岩頂上


白髪岩付近より白髪山を望む

林道を辿って赤久縄山に向かう。途中、稜線上にかつての縦走路が残っている区間があるので、歩いてみる。ササが刈り払われ、起伏も緩くて快適だ。ミツバツツジや今年初見のシロヤシオの花も咲いている。しばらく歩いて林道に合流したところには綺麗な休憩舎がある。雨に遭った場合は雨宿りできそうだ。


オオカメノキ(白髪岩付近にて)


稜線上の縦走路


シロヤシオ


高岩の頭の登山口

林道をしばらく歩くと、高岩の頭に登る山道が分岐する。気になる山名なので、寄り道してみる。すぐに休憩舎があり、その先には「この先危険立入禁止」との柵がある。こちらの道は刈り払いがされていない。しかし、それだけで特に危険箇所がある訳ではなさそうなので、中に入る(もちろん自己責任で)。

背の低いササに覆われた山道を登ると、高岩の頭の頂上に着く。樹林に囲まれて展望はなく、山名に相応しそうな岩も見当たらない。立ち木に打ち付けられた金属プレートの道標は古くて、木の肌に深くくわえ込まれている。「赤久縄山」の他に、谷を隔てた向かいの稜線のずっと先の「稲含山」を指し示す標識があるのは何故だろう。指し示す先には、北面を下る明瞭な道型が続いている。この道は気になる。今度、探索してみよう。


ササに覆われた遊歩道


木にくわえ込まれた古い道標


高岩の頭頂上


かつての遊歩道を下る

高岩の頭からさらに稜線を辿ると、樹林に覆われた細い尾根となり、ササ深い山道を下ってスーパー林道に合流する。再び休憩舎があり、次の1471m標高点を越える山道もあるようだが、今度は林道を辿って巻くと、赤久縄山の西登山口に着く。だいぶ歩き疲れたが、ここまで来たら赤久縄山に登らない訳にはいかないでしょう。既に刈り払いがされた山道を緩く登ると、赤久縄山の頂上に着いた。ベンチがあるので、腰掛けて一休みする。

ここに来るのは4回目だ。盛夏には草茫々になる頂上だが、刈り払い直後なので広々としている。展望は御荷鉾山と雨降山の方向が望めるだけで、地味な山頂だが、いつ来ても静かなところが気に入っている。頂上から南尾根を下る道もあるが、安取峠の東側に降りて遠回りになるので、西登山口に戻って持倉に下ることにする。


赤久縄山頂上


御荷鉾山と雨降山を望む

雲行きが再び怪しくなり、遠くから雷鳴が聞こえる。降らなければ良いが…。西登山口に戻り、南に降りる作業道に入る。入口には「←50分 2.4K 安取峠」という道標の他に、半分に折られて「…峠 標高1420m」としか読めない道標がある。「…峠」は現在地の地名を示しているらしい。なんで壊れているのか不安を覚えるが、作業道ははっきりとしていて問題ない。新緑が美しい樹林の中、赤久縄山の南西斜面を横切る様に緩く下る。


頂上付近より持倉を俯瞰


西登山口より作業道を下る

やがて「←杖植峠 安取峠→」という道標が現われる。この杖植峠は西登山口のことを指し示しているようだが、全くの間違いだ。西登山口の道標も間違っていたので、誰かが折ったのだろう、と判明してすっきりする。

地形図には赤久縄山頂上から持倉へダイレクトに下る破線路が記載されているが、実際にはそのような道はなさそう。まあ良くあることだ。新緑のカラマツ林を進んだ作業道は、やがて尾根を絡んでジグザグに下り始める。道は細くなり、少し荒れ気味。この辺は夏には藪道になりそうだ。今はヤマブキソウの鮮やかな黄色の花が楽しめる。


途中の間違い道標


ヤマブキソウ


順調に作業道を下る


ウツギが満開

やがて尾根から右に折れて山腹をトラバースすると、安取峠から登って来るマウンテンランのコースと合流する。ここが林道大反線の終点で、前回、赤久縄山の登り口を探しながら通った地点だ。これで不明だったルートが解明でき、しかも(この時期ならば藪もなくて)良い道であることが判り、大満足だ。あとは林道を辿って持倉に向かう。

前回、途中の水たまりで大量のカエルの卵を見た。件の水たまりを再訪すると卵は全て孵っていて、夥しい数のオタマジャクシが泳いでいた。干上がりそうな水たまりの底にもいて、行く末が心配になるが、今晩は雨が降るだろうから当面は保つだろう。

やがて、持倉の集落に出て、山村風景を楽しみながら駐車地点まで歩く。周囲の山々は、鮮やかな新緑と少し濃くなった緑が混ざり合って綺麗だ。なんとか雨に降られる前に車に帰り着いた。いやー、良く歩いた。


持倉より赤久縄山を仰ぐ


持倉より二子山を遠望


持倉の集落


白髪山方面を仰ぐ

杖植峠や白髪岩に寄り道して、予定よりだいぶ時間が遅くなったので、恒例のは今回はなし。鬼石の長井屋製菓に立ち寄り、名物のまんじゅうをお土産に買って桐生に帰った。