不動岳〜雷電山

天気:
メンバー:T
行程:尾出山神社 11:10 …塩沢峠 12:20 …不動岳(664m) 13:10 …雷電山(613m) 14:05 …尾出山神社 15:00
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

冬型の気圧配置が続き、関東の平野部では連日よく晴れているが、風が強く寒気が厳しい。土曜日はのんびり起きてから、おもむろに山歩きの行き先を考える。とにかく寒いので、低山で日溜まりハイクにしよ。先日、岳ノ山〜大鳥屋山に登った際、秋山川左岸の山々を眺めて興味が湧いた。調べると不動岳という山があり、栃木百名山の一座で結構登られているらしい。たそがれオヤジさんオッサンの山旅の山行記録を参考にさせて頂いて、東麓の尾出山神社から塩沢峠〜不動岳〜雷電山を周回するルートを歩いて来ました。

目的地が決まり、急ぎ荷造りして車で9時過ぎに出発。太田桐生ICから高速に乗って、栃木ICで降りる。片側2車線の県道栃木粕尾線を北に向かうと、正面に鍋を伏せた様な三峰山(別名、鍋山)の山容が大きい。三峰山の東麓を過ぎて県道から分れると細い道となる。永野川沿いに山間の屈曲した道を走ると、登山口の尾出山神社に着く。ここまで来ると安蘇山塊の山懐深くに入った感が強い。神社のすぐ手前の与洲公民館に車を置かせて貰う。

まず、尾出山神社に参拝する。鳥居を潜って石段を登ると覆屋(おおいや)があり、正面の戸がちょうど開いていて、中の朱塗りの社殿が見えた。由緒ありそうな神社だが、由来を説明するような類の物は何もない。地形図を見ると尾出山神社の裏山の頂上にも神社マークがあり、ちょっと興味を惹かれる。しかし、ここから登る道はなさそうだ。


尾出山神社


尾出山神社の社殿

石段を降り、尾出山神社前のT字路を左に辿って塩沢峠に向かうと、すぐ先で車道の脇に鳥居と天照皇太神宮と刻まれた石柱が建っている。ここが裏山の神社への参道入口だ。鳥居と石柱は新しいが、鳥居の根元には「寛政…」と刻まれた石碑がある。鳥居を潜ると、急傾斜の石段が一直線に登っていて、大畑山の二百段を思い出す。こちらはしっかりした石段なので、登るのに不安はない。頂上には大きな杉の木に囲まれて社殿が建つ。尾出山の山岳修験道と関係があるかどうかは不明。


天照皇太神宮の長い石段の入口


天照皇太神宮の社殿

道草で時間を食ったが、今日の行程は短いので問題ないだろう。鳥居の脇には三界萬霊の石塔や「奉納西國秩父坂東百番供養塔」と刻まれた石碑があり、興味深く眺めてしまう。

車道を進むとすぐ先で未舗装の林道が左に分岐し、掠れて「不動岳 塩沢峠 高原山」と辛うじて読める道標がある。左の林道に入ると日陰の路面は薄らと雪に覆われ、低温の日が続いたためか融けた様子がない。今日は日溜まりハイクを期待して来たけれど、山の中はやはり寒いなあ。


三界萬霊の石塔


左の林道に入る

林道を辿り、次のY字路は右へ。小さな沢に沿って登ると暗い杉林に入り、また林道の分岐がある。「←不動岳 塩沢峠」という古い道標が左の道を指し示す。そちらには道端に大岩があり、目印になる。この先で太い流木が谷を塞ぎ、道型が不明瞭となる。気をつけて辺りを見回すと、右手の谷に細い踏み跡が続いているのを見つける。


途中の大岩


杉林の中の細い踏み跡

踏み跡を辿ると、道端に倒れかけて半ば埋もれた石柱があり、「右秋山ニ至る、左山道」と刻まれている。杉林の中の狭い谷を遡り、左に折れて山腹を登ると、明るい雑木林の枝尾根の上に出る。幅の広い道型があり、日溜まりの落ち葉をカサコソと踏んで登る。


「右秋山ニ至」と刻まれた石の道標


明るい雑木林を登る

再び杉林に入り、山腹をジグザグに登ると塩沢峠に着いた。峠には首の代わりに丸石が載ったお地蔵さんが立つ。銘文は見当たらないが、年代は古そうだ。冬枯れの雑木林に覆われた峠は強風が吹き抜け、正午を回ってそろそろお腹が減っているのだが、寒くてのんびりできない。手早くお菓子だけ食べて、不動岳に向かう。


塩沢峠


塩沢峠の首なし地蔵

稜線上には明瞭な踏み跡が続き、藪はない。断続的にサラサラの積雪があるものの、スパッツが必要な程の深さではない。途中から黒木に覆われた痩せ尾根となる。左側の斜面はなかなか急峻だ。


雪の残る稜線


黒木に覆われた痩せ尾根

樹林に囲まれて展望には乏しく、僅かに木の間から金字形の尾出山とのっそりした山容の横根山が眺められるポイントがあるだけだ。急坂を登り詰めて、不動岳の頂上に着く。低い樹林に囲まれた頂上は狭く、三角点標石といくつかの山名標がある。雪に覆われて腰を下ろせる場所はないし、寒風吹きさらしで長居は出来そうにない。写真だけ撮って山頂を辞し、風を避けて少し下ったところで休むことにする。


尾出山(左)と横根山を遠望


不動岳頂上

雷電山へ続く稜線を鞍部まで下ると、明るい雑木林の下は平坦で枯れ葉が積もっている。風は少々当たるが、休むにはここが一番良さそうだ。腰を下ろして昼食にする。寒いけれど、まずは缶ビール。今日は短い行程なので250ml。それからガソリンコンロでこの季節の定番、鍋焼きうどんを作る。冬は熱々の食べ物が一番美味しい。


雷電山への稜線


崖上より山麓を俯瞰する

温まったところで、歩き始める。ピークを一つ越えると、稜線の左側は崖となって、山麓の集落を俯瞰する。低山ながら、なかなか高度感がある。僅かに登り返して、雷電山の頂上に着く。ここも展望はない。金属パイプの鳥居、屋根が崩れ落ちた石祠と「雷電山」の山名標がある。祠には「安永九庚子年九月吉日」の銘があり、結構古い(1780年)。

雷電山頂上からは、左に折れて稜線を下る。出だしが急斜面で、本当にここを下って良いのかな、と少々不安になるレベル。立ち木を摑んで慎重に下る。途中からTVアンテナのフィーダー線がお助けロープ代わりに張られている。


雷電山頂上


急坂を下る

しばらく下ると傾斜も落ち着いて、はっきりした踏み跡を辿る。小ピークを越えてさらに下ると小平地に出る。樹林が切れて、塩沢峠付近の稜線が眺められる。ここから先はマーキングもなく、尾根の形、踏み跡共に不明瞭だ。日陰の斜面は凍っている可能性があるので避けて、左寄りの陽当たりの良い小尾根を下る。下部は暗い杉林の急斜面となるが、なんとか谷底まで降りて、朽ちた木橋に辿り着く。橋の脇に踏み跡があり、流れを渡って対岸の林道に出た。


明るい小平地に出る


朽ちた木橋に下り着く

雷電山からの下りは道が怪しいところもあったが、それもスパイスで、今日のコースは古い峠道や痩せ尾根もあって、なかなか楽しめた。あとは林道を下って尾出山神社に戻る。気温が上がったのか、路面の雪が少し融け始めていた。車を置いた与洲公民館からは、雷電山の小さいながらも尖ったピークを仰ぎ見ることができた。


四季の森星野


ロウバイが七分咲き

帰り道では、途中で四季の森星野に立ち寄る。セツブンソウで有名な場所だが、まだまだ早くて影も形もない。この時期はロウバイがぽつぽつ咲いていて、辺りに仄かな香りを漂わせていた。