奈良部山〜丸岩岳
やまの町桐生のKさんより、丸岩岳に登りたい、とのリクエストを頂いた。桐生近辺の低山歩きにも、そろそろ良い季節かな。丸岩岳の登路には、野峰、熊鷹山、奈良部山の三方からの縦走路、石鴨からの山彦尾根、小戸川からのいちろう新道、彦間川からの根本山参道(廃道)といろいろあって、私は一通り歩いているのだが、ネットでいろいろ調べているうちに、奈良部山の北東尾根を小戸川へ降りたブログの記事(リンク切れ)を見つけた。それによると、この尾根には道標があり、藪はないとのこと。私にとっては未踏のルートなので、興味を惹かれる。この尾根から奈良部山へ直登し、丸岩岳を経ていちろう新道を下る周回コースを計画した。桐生みどりさん、ハイトスさんご夫妻、げきさかさんにも参加頂いて、総勢6名の賑やかな山行となった。参加者が作成した記事はコチラ→ハイトスさん、Kさん、げきさかさん。
朝8時にKさん宅に集合して出発。小戸川入口でげきさかさんと合流し、車2台に乗り合わせて小戸川の奥に向かう。未舗装の林道は最近の大雨もあってますます荒れた感じで、Freed Spike 号の底を擦らないか、ハンドルを握る手のひらに汗をかいてしまう。なんとか無傷で熊鷹山の小戸川登山口に到着。登山口の広場には他の車はない。
登山口から振り返ってすぐそこに見える小戸川右岸の枝尾根が、今日の登りのルートだ。尾根の下部は伐採された斜面で、登れるのか少し心配になるくらい急に見える。しかし、そちらに分岐する林道の入り口には、「←奈良部山」という道標が立っている。まずは道標通りに歩いてみましょ。すると数分と歩かないうちに、林道脇に「奈良部山登山口」という二つ目の道標がある。
道標の指す先はただのけもの道にしか見えないが、これに従って沢に下りると、三つ目の妙に立派な道標があり、沢の対岸の藪を指し示している。道標がなければ、ここが道?というシチュエーションだ。沢を渡って藪を抜け、伐採された斜面に取り付く。昨夜の雨でややぬかっているが、そこはかとない踏み跡を辿ってジグザグに登れば、見た目よりかは登りやすい。振り返ると、車を置いた広場が眼下に見える。
伐採地上端にひらひらと翻る赤テープを目指して登り、そこから疎らな樹林に入ってジグザグに登る。ところどころの道標と赤テープに導かれて急斜面を登り詰めると、広くて緩やかな尾根の上に出る。紅葉がきれいだ。歩き出しからのいきなりの急登で汗をかいたので、一休みする。
ここからは、尾根上の紅葉を楽しみながらゆるゆると登る。木立を透かして見える小戸川上流の山肌も、赤や黄色がぽわーっと混じり合うように色付いてきれいだ。やがて細く急な尾根になり、紅葉の中を登り詰めて奈良部山の南の主稜線に出る。逆コースの場合はこの分岐が一番キモの場所と思うが、道標はない。奈良部山の頂上へは、主稜線を右へひと登りだ。
頂上で果物で喉を潤してゆっくり休んだのち、丸岩岳に向かう。鮮やかな紅葉を愛でながら稜線を下ると、黒木に覆われたミニ岩稜となる。踏み跡は岩稜の左を巻いて行くが、途中から怪しくなったので岩稜の上を辿る。石祠でも祀られていそうな神さびた雰囲気のある場所で、周囲に注意を払って進むが、残念ながら宗教モニュメントは何も見当たらない。
岩稜を通過すると、疎林に笹原が広がる緩い尾根となる。すぐ左には林道が現れる。十数年前に初めて丸岩岳に登ったときは、この林道が山腹を切り裂く様が目立って痛々しい印象を持ったが、使われなくなって久しい林道には茫々と草が生えて、自然に還りつつあった。そのうち、丸岩岳も本来の姿を取り戻すだろう。
笹原の中の微かな踏み跡を辿ると、丸岩岳の東の肩の石祠に着く。3.11の大震災のために大きく傾いて、倒壊寸前だ。石祠の前の笹原には、幅広い道の痕跡がある。これは、彦間川から丸岩岳の東を巻いて根本山へ至るかつての参道だそうだ。
ここからわずかの登りで丸岩岳の頂上に到着。背丈の低い笹原に覆われた静かな山頂だ。シートを広げて腰を降ろし、缶ビールを分けて飲んだ後、昼食にする。いろいろ食べ物の差し入れがあり、お腹いっぱい。ご馳走様でした。
丸岩岳からは、足を延ばして熊鷹山を経て小戸川に下ることもできるが、日の短い季節だし、最短コースのいちろう新道を下ることにする。東の肩の石祠まで戻り、さらにわずかに進んだところから左に尾根を下る。こちらの尾根の紅葉もちょうど見頃だ。皆しばしば足を止めて、紅葉を見上げては写真を撮っている。下るにつれてヤマアジサイ?の黄葉も増えて、これもなかなかいい色だ。尾根末端の手前で右折して山腹を下り、小戸川に降り着いた。
あとは、小戸川に沿って登山道を下る。安蘇山塊の中でも、この小戸川から熊鷹山に登るコース(山行記録)は、大戸川〜氷室山、根本沢〜根本山とともに、プチ渓谷美が楽しめるお勧めのコースと思う。
車を置いた登山口の広場に14時半頃に到着。未踏のコースを解明して、紅葉も堪能。大人数で楽しく歩けて大満足の山行でした。帰りの林道も注意して運転し、小戸川入口で解散してそれぞれの帰途についた。