小川山・金峰山

〜24日(土)
メンバー:M,T

秋分の日から始まる3連休。最終日は所用があるので、1泊2日で山歩きの計画を考える。Mさんからは、沢登りに行きたい、というリクエストがあったが、関東を直撃して大雨を降らせた台風15号の直後では、沢登りはちょっと難しい。廻り目平キャンプ場でテント泊にして、一般コースから小川山と金峰山に登って来ました。

9月23日
天気:のち
行程:廻り目平 9:15 …カモシカコース分岐 10:10 …小川山(2418m) 12:15〜12:45 …カモシカコース分岐 14:50 …廻り目平 15:30
ルート地図 GPSのログ(往復なので往路のみ)を地理院地図に重ねて表示します。

朝5時に桐生を車で発ち、北関東道〜上信越道を走って佐久ICで高速を降りる。天気予報では晴れだったのに、長野県に入ると雲が厚く、八ヶ岳や奥秩父の頂きは灰色の雲の中だ。

高原野菜で有名な川上村に入り、金峰山川沿いに走ってキャベツ畑を抜けると、廻り目平キャンプ場に着く。入口のゲートでカードを貰い(清算すると出られる仕組み)、キャンプ場の大駐車場に入ってみたらビックリ。まだ朝早いのに既に車が多く、しかもどんどん新手が来る。周囲には多数のテントが張られている。3連休なので、ある程度の人出は想定していたが、こんなに大人気のキャンプ場とは知らなかった。とりあえず場所を確保するため、キャンプの受付を済ませ(700円/人)、車から近い適地にテントを設営する。

場所を確保したのち、準備を整えて出発。今日は、行程が短い金峰山に登るつもりだ。先日の台風で水嵩が多い金峰山川西股沢に沿って、荒れた林道を歩き出す。しかし、途中でまさかの大間違い。林道が沢を渡る所で橋がない!⇒橋は流出?⇒徒渉は無理⇒じゃ、今日は小川山にしよう、ということで、あまり深く考えずにあっさり引き返す(本当は沢を渡らず直進)。まあ、金峰山は翌日に登って結果的には良かったのだが、これは大反省…


廻り目平キャンプ場の大駐車場
(最終的には満車になった)


小川山登山道

キャンプ場の端にある小川山登山口まで戻って、仕切り直し。登山口には、上級者向けコースで岩場・急坂等が連続するので注意、という剣吞な看板が立つ。最初はダケカンバ林の中を緩く登る。相変わらず曇りで、陰鬱な雰囲気。やがて尾根上に出て、花崗岩の砂礫を踏んで登る。晴れていれば眺めが開けそうな場所も、ガスに巻かれて何も見えない。

稜線上に岩場が現われ、アルミの梯子で登降する。足場の木の根が雨で濡れて滑る。先行した年配ハイカーさんは、滑って危ないから、と引き返して来た。それくらい気の抜けない道が続く。

やがて、廻り目平の岩峰群を一周する「かもしか登山道」が右に分岐する。分岐の直ぐ先には岩峰があり、掠れた文字で「展望台」と書かれている。しかし、今はガスで何も見えない。ここから岩稜の右を巻いて行く。ガスで下は見えないが、足元は断崖絶壁のような気がする。大きな滝があるらしく、高い水音も聞こえて来る。


岩場の通過


カモシカコース分岐

岩稜を巻き終わって稜線上に戻ると、密なシャクナゲと針葉樹林の尾根道となる。あまり刈り払いがされてなく、露にしっとり濡れた枝葉が両側から被さって鬱陶しい。とうとう雨具を着て、先頭で露払いをして進む。奥秩父らしい苔と針葉樹林の区間も断続的にあり、そういうところは濡れずに気分良く歩けるのだが…。それにしても、天気が悪いときの山歩きは、かなり久し振りだなあ。


シャクナゲと針葉樹林の尾根


奥秩父らしい苔と針葉樹林

広い尾根を緩く登り、八丁平から登って来る道を合わせて、小川山の頂上に到着した。頂上はシャクナゲ等の樹林に囲まれて、展望は全くない。三角点標石と山梨百名山の山名標識があるだけだ。ハイカーさんが一人休憩していて、話を伺うと瑞牆山荘の側から登って来たとのこと。天気が曇りで肌寒いが、まずは缶ビールを飲んで、パンで昼食とする。


小川山頂上


下山途中で金峰山を垣間見る

頂上で休憩しているうちに天気が好転し、頭上には青空が広がり始めた。下山は往路を戻る。下るに連れてガスが薄れ、八丁平に繫がる稜線や、金峰山が雲の間から見えて来た。

下りは快調だ。ガスがすっかり消え、廻り目平周辺の岩峰と大滝が全貌を現わした。こんな絶景があったとは。往路では全く見えなかった。これを見ないと、来た甲斐がないところだった。展望台の岩場の上に登ると、唐沢の滝を中心に屋根岩や廻り目平の岩場が一望できる。概ね緩やかな針葉樹林が続く奥秩父に於いて、この一帯の景観は異色だ。


唐沢の滝と岩峰群
奥に小川山


手前の岩峰を越える
奥の岩峰は屋根岩

素晴らしい展望を堪能して、キャンプ場に戻る。広い駐車場は車で満杯となり、沢山のテントが張られていた。まずは缶ビールで乾杯。夕食はMさん推奨の麻婆春雨で腹を満たす。キャンプ場に人は多いが、日が暮れると意外と静か。この晩はかなり冷え込み(北アでは降雪があったようだ)、ありったけの衣類を着込んでシュラフに潜り込む。夜半からは冷え込みも弱まり、良く眠れた。

9月24日
天気:
行程:廻り目平 7:20 …八丁平分岐 8:20 …金峰山小屋 10:10〜10:20 …金峰山 10:50〜11:55 …金峰山小屋 12:15 …廻り目平 14:25
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、緑:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

翌日は打って変わって快晴だ。Mさんが大弛峠から主稜線を歩いた方が面白いというので、金峰山荘で大弛峠までの道路状況を尋ねたところ、台風のため山梨側の道路"も"通行止とのこと。こちら(長野県)側は元から通行止らしい。

ということで、当初の予定通り、西股沢沿いのルートで金峰山に向かう。Mさんは昔、車で西股沢の奥まで入って、金峰山に簡単に登ったそうだが、現在はキャンプ場の端にゲートがあり、進入できない。また入れたとしても、雨裂が深い超悪路だ。前日、道を間違えた所は沢を渡らずに直進するのが正解。ずっと左岸を歩く。


廻り目平キャンプ場にて
(前日に撮影)


西股沢沿いの林道を歩く

林道終点からさらに左岸を歩くと、八丁平分岐に着く。ここで砂洗川をアルミ梯子の簡易な橋で渡ると、登山道は傾斜を増し、支流の沢に沿って登って行く。沢には大量の土砂が押し出されており、先日の台風の影響らしい。最終水場という標識のある地点で、2ℓポリタンの水を入れ替えて、ついでに飲む。冷たくて美味しい。


砂洗川を渡る


金峰山小屋への登り

ここから沢を離れて、トウヒやコメツガ、チョウセンゴヨウなどの針葉樹林の中を緩く登って行く。苔むした林床にベニテングタケがぽつぽつ出ている。小ピークを越えると行く手に金峰山の稜線が現われ、そこから少しの登りで金峰山小屋に到着する。

金峰山小屋は森林限界を抜けたすぐの場所にあり、小川山や八ヶ岳方面の展望が一気に開ける。頂上まであと20分だが、眺めが良いので小休止。小屋は新しく小綺麗で、一度泊まってみたくなる。


金峰山の稜線を仰ぐ


金峰山小屋

ここからは高山帯の緩斜面を登る。付近の樹林は既に黄葉している。展望を楽しみながらゆっくり登って、岩が積み上がった金峰山の頂上に到着。さすがに100名山だけあって、頂上はハイカーさんで賑わっている。


金峰山小屋と小川山


八丁平への稜線と
甲斐駒、白嶺三山(奥)

まずは360度開けた展望を楽しむ。昨日登った小川山は、鈍角三角形の山容をゆったり広げている。その向こうに見えるのは、御座山、遠景は浅間山か。小川山の左には岩瘤のような瑞牆山、そして遠くに八ヶ岳、中央アルプス、甲斐駒、仙丈、白嶺三山と続く。南には冠雪した富士山がうっすらと見えている。ぐるっと回って、東には樹林に覆われたゆったりとした稜線が国師ヶ岳まで続いている。こちらの稜線の縦走も気持ち良さそうだ。


金峰山頂上より五丈石


金峰山頂上より八ヶ岳を望む


金峰山頂上より国師ヶ岳


金峰山頂上より富士山を遠望

頂上付近の岩場の間で風を避けて腰を下ろし、ビールで乾杯。お湯を沸かし、麺類で昼食とする。今日は天気が良いので、ビールが美味い。五丈石の登攀に挑戦している人が何人もいるが、結構難しそう。靴が少し違う人(フリークライマー?)がササッと登って、ササッと下って来たのには感嘆した。もちろん、私は登る気はサラサラなし。Mさんは例によって挑戦したが、やはり難しいらしく断念。


御室小屋方面を俯瞰


八丁平への稜線

下山は往路を戻る。キャンプ場はまだまだ大賑わいだった。帰りは、海ノ口に日帰り入浴で立ち寄る。以前、横岳に登った時に入った宿は残念ながら廃業していたので、もう一軒の和泉館に入った。