毛渡沢西俣

2011年8月14日(日)
天気:のち
メンバー:M,T
行程:仙ノ倉山荘 5:35 …遡行開始 7:10 …シッケイ沢出合 8:15 …西俣出合 8:55 …15m滝 10:00〜10:20 …デトイノマチ沢出合 13:45 …仙ノ倉山荘 14:40
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、緑:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

Mさんから谷川連峰の沢登りのお誘いを頂いた。前夜は群大仙ノ倉山荘に泊まり、毛渡沢西俣から仙ノ倉山に登って、イイ沢を下るという計画だ。

古いアルパインガイド「谷川岳・越後三山」(昭和50年版)には、毛渡沢西俣は沢登りコース中級向、イイ沢は一般コース健脚向として紹介されている。しかし、最近では毛渡沢西俣を遡行する人は少ないのか、ネットで検索しても山スキーで滑った記録しか見当たらない。ガイドでは、毛渡沢中流まで林道を辿ることになっているが、現在この道は通れるのだろうか。また、仙ノ倉山に突き上げる西俣の詰めは、地形図で見るとかなり急峻だ。登れるかなあ。最近の情報がない点が気がかりだが、仙ノ倉山荘に泊まるのは初めてなので面白そう、ということで、出かけて来ました。

前日の13日は仙ノ倉山荘までの行程なので、桐生をお昼頃ノンビリと車で発つ。湯沢ICで関越道を降り、土樽の集落の先で上越線のガードを潜って、仙ノ倉谷沿いの車道を上がる。途中に施錠されたゲートがあり、その先には車で入れない(ゲートの鍵を借りて山荘まで車で入る方法は、後で知った)。付近に数台の駐車があるのは釣り師かな。ここから山荘まで20分程歩く。Mさんは山荘が万一閉まっている場合も想定してテントも持って来ているので、ザック2つの大荷物だ。ゲートは誤算だったとボヤキが出る。

仙ノ倉山荘に泊まったことはないが、十数年前に西ゼンを遡行した際に、山荘の前に立ち寄ったことはある。ちなみに、西ゼンは沢登りとして素晴らしかったが、途中で単独行者の滑落遭難死体に遭遇した、という良くない記憶もある。

現在の山荘は直下まで車道が通じ、すぐ近くの仙ノ倉谷では砂防堰堤が建設中だ。往時と較べると開発の手が入って山奥の感は薄れたが、三角屋根の建家はブナ林に囲まれて、山小屋らしい雰囲気を保っている。

山荘のドアは開いていて、中には群大WVの学生さん男女4人がいた。お盆の期間だけ、特別に山荘を開けているそうだ。これはラッキー。学生さんの一人とは、奇遇なことに知り合いだった。Mさんも群大OBなので、さっそく始めた宴会では話が盛り上がったが、学生さんからすれば先輩風を吹かせるおじさん二人の乱入で迷惑したかも(^^;)。その後、一組のご夫婦が山荘に到着して、この晩の山荘の宿泊は8人となった。

翌朝、沢登りに不要な荷物を山荘に置いて出発する。薄日が差す、まあまあの天気。仙ノ倉谷の吊り橋を渡ると、橋は川幅の半ばまでしかなく、あとは飛び石伝いに右岸に渡る。平標新道の道標から左に分かれる踏み跡に入る。入り口は朝露に濡れた草藪が被さって、これは前途多難、と思わせたが、すぐに樹林の中の歩き易い山道となる。

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仙ノ倉谷を吊り橋で渡る

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左の踏み跡に入る

工事中の林道に出てしばらく辿り、再び山道に入って、毛渡沢に沿って左岸を歩く。やがて毛渡沢を渡渉する地点に着いたので、ここで山靴(私はトレラン用シューズ)から渓流足袋に履き替えて、右岸へじゃぶじゃぶと渡る。水量は多いが、問題ない。

右岸にも山道が続く。木の階段やテープの目印があり、どうも林業関係で整備された作業道のようだ。山道をどんどん登っていくと、毛渡沢の水流からかなり高い地点で道が途切れてしまった。しばらく引き返してから、急な斜面を強引に下ってようやく沢身に下る。

毛渡沢はごろごろと岩が多い沢で、二股までは何の難所もない。しばらく幽邃な樹林の中の流れを遡るが、やがて明るく開けた谷となり、眼前に谷川連峰の仙ノ倉山からエビス大黒ノ頭にかけての展望が展開する。木立のない広大な笹原の急斜面を巡らせた主稜線の眺めは、なかなか素晴らしい。これは来た甲斐があったというものだ。

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毛渡沢を渡渉する

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仙ノ倉山の稜線を望む

相変わらず岩ごろごろの沢を歩いて、シッケイ沢の出合に着く。出合からシッケイノ頭付近の稜線が高く見上げられる。シッケイ沢も沢登りの対象になるそうだが、最後はやはり急そう。この先の毛渡沢は川幅も少し狭くなり、傾斜が強まると二股に着く。左が東俣で、右の西俣に入る。明るい谷のところどころには小さな滝がかかり、小気味良い。

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シッケイ沢出合

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毛渡沢二俣

やがて三段のナメ滝が現れる。これは階段状で簡単に越えられる。次に現れた二段の滝は、一見、右から登れそう。Mさんが取り付くが、落ち口直下のあと一歩が登れない。直登は無理なので、ここは手前から左を低く高巻く。踏み跡や古いロープがある。

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三段のナメ滝

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二段の滝
手前から左を高巻く

明るく開けた沢は仙ノ倉山に一直線に突き上げ、頂上は遥かに高い。やがて谷が狭まり、荒れた側壁が迫る。左にルンゼ状の急峻な枝沢を分けると、本流には落差10mの直瀑が現れた。黒光りする岩壁はハングしていて、直登は無理。また、どちらの側壁も手掛かりとなる立木のない草付きの急斜面で、Mさんが右斜面から越えようチャレンジしたが、敗退。登れそうにない。大高巻きも難しい。いろいろ考えたが、これを越えるのは無理だ、という結論となり、残念ながらここで引き返すことになった。

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明るく開けた沢を遡る

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10m直瀑

本来、沢は登るよりも下る方が難しく、避けるべきであるが、ここまで難しい滝がなかったのは幸いだった。小滝を下って、意外と早く二股に着く。あとはごろごろの岩に注意して、緩い流れをジャブジャブと歩く。

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毛渡沢本流を下る

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主稜線を振り返る

とはいえ、毛渡沢本流をずっと下るのは疲れるので、デトイノマチ沢出合からデトイノマチ沢に入り、行きに通った作業道に上がる。沢と行ってもちょろちょろの流れなので、GPSで確認しても半信半疑。出合の赤テープがなければ、ここが沢とは思えない。

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デトイノマチ沢出合

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群大仙ノ倉山荘

あとは作業道を下る。左岸に渡渉したところで、渓流足袋から山靴に履き替える。足が楽だ〜。上空には黒い雲が広がり始めたが、ここまでくれば安全圏内だ。

仙ノ倉山荘に戻ると、群大WVのメンバーは入れ替わっていた。荷物をまとめ、お世話になった山荘をあとにして、ぽつぽつ降り始めた車道を車へ急ぐ。なんとか雨に遭わずに、車に乗り込む。

帰りは岩原の岩の湯に立ち寄り、汗をさっぱりと流す。夏休みなので、なかなか賑わっていた。その後、越後湯沢の地酒の店で酒を仕入れたのち、桐生への帰途についた。


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