大峯〜雨ん坊主〜中垣岩

天気:
メンバー:M,T
行程:駐車地 8:35 …大峯(983m) 9:20〜9:30 …送電鉄塔 10:45 …雨ん坊主(1295m) 11:25〜12:30 …小石祠 13:05 …中垣岩(1098m) 13:40〜14:00 …三沢林道 14:25 …駐車地 15:15
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先月の烏川流域での2度の山歩き(竜ヶ岳浅間隠山)以来、この地域の山がちょっと気に入っている。この辺の山々は雑木林が美しく、今の季節は冬枯れで雰囲気が明るい。ところどころに岩壁や険しい岩場がある点が西上州に似ていて、変化があって面白い。山麓には幾つか鄙びた温泉があり、山行後にのんびり一浴出来るのも魅力だ。今回は烏川の南側にぽっこり聳える大峯、雨ん坊主、中垣岩を、群馬300山を参考にして歩いて来ました。

桐生を朝7時に車で出発。権田でR406から左に分れて烏川沿いに進み、すぐに三沢川沿いの道に入る。三沢川の入口には、百庚申の石像群がある。

集落が点在する開けた谷を上がり、暗い杉林に入って未舗装の三沢林道を進むと左に大日蔭支線が分岐する。この分岐点の2台分程のスペースに車を置く。車外に出ると空気がキーンと冷たい。周囲の山林はすっかり茶色くなって、初冬の物寂しい雰囲気が漂う。


林道分岐の駐車地


初冬の林道を行く

しばらく林道を歩き、左に分岐する大峯線に入る。最初の尾根の鼻を廻る辺りから林間に通じる荒れ気味の作業道に入り、行く手に大峯を小高く仰ぎながら登り始める。ヤマアジサイが多いが、この季節はもちろん枯れていてドライフラワーになっている。


大峯線入口


藪っぽい作業道を登る

尾根は登るにつれて傾斜を増し、最後は後方に転げ落ちそうな急坂を登って大峯の頂上に着く。頂上には宝形造(ほうぎょうづくり)の立派な石祠があり、「延享二丑(1745)歳十月吉日立」と刻まれている。


大峯へ尾根を急登する


大峯頂上の石祠

小さいながらも独立した峰(200万年以上前の溶岩円頂丘の残骸とのこと)なので、頂上からの展望は素晴らしい。まず、浅間隠山(矢筈山)、竜ヶ岳(岩岳)、笹塒山の三山が、ごつごつと峰を連ねているのが目を惹く。その右には、うっすらと白い上信越国境の山々、至仏山、武尊山、日光白根山を遠望する。榛名山の方向は少し樹林に遮られるが、妙義山や奥秩父の山々も眺められる。次に登る雨ん坊主も、ゆったりとした山容を見せている。


大峯より雨ん坊主と浅間隠山(右奥)


大峯より浅間隠山、竜ヶ岳、笹塒山


大峯より上信越国境の山々を遠望


大峯より西上州と奥秩父を遠望

展望を堪能したのち、雨ん坊主に向かう。大峯から南へ尾根を下ると、地形図に破線で記載されている道型に出る。コナラの大木があり、その根元には石祠が祀られている。どことどこを結ぶ道かは知らないが、かつては往来があった峠道の雰囲気がある。


コナラの大木


根元に祀られた石祠

この道型を西へ辿り、イバラの原を抜けて、明るい雑木林の尾根上を緩く登る。雑木林の区間は気分良く歩けるが、ところどころに笹藪の区間がある。

977m標高点の手前に、右の谷に下る破線道の分岐点がある。群馬300山のガイド通り歩くならここから下るのが近道だが、下降道はあるかなしかの踏み跡で、かなり怪しい。Mさんと協議して、尾根道を辿る方が面白そうということになり、直進する。しかし、こちらも笹藪が深くて怪しい。977標高点のピークには石祠があり、かつては人の行き来があったことが窺える。


雑木林の尾根道


977m標高点の石祠

笹藪の中の道型を辿ると、巨大な送電鉄塔に着く。周囲の樹林が切り払われて雨ん坊主が良く眺められるので、ここで一休み。ミカンなどを腹に入れる。幅の広い未舗装林道が、谷からここまで上がって来ている。群馬300山のコースは、この林道をしばらく下ったのち、谷向こうの雨ん坊主・東尾根を登って頂上を目指しているが、我々はこちらの尾根の破線道をさらに辿ってみることにする。


笹原の踏み跡を辿る


送電鉄塔より雨ん坊主の稜線

しばらく広く緩い道が雑木林の中に続くが、雨ん坊主に近づくとカラマツ林に入って道が怪しくなるので、適当な地点から稜線に向かって直登する。


再び雑木林の良い道


道型が消えたところから
カラマツ林を登る

最後は急坂となって稜線に登り着き、西に僅かに稜線を進んだ所が雨ん坊主の頂上だ。なお、『倉渕村誌』ではこの山の名前を「ぞろめき」と記述しており、雨ん坊主は南東側からの名前としている。

雨ん坊主の頂上は、木立が疎らで明るい。三角点標石と石祠、いくつかの山名標がある。石祠には「奉寄進石宮烏?村 寛永六(1629)年己巳?月吉日」と刻まれている。木の間から望む浅間隠山の山容は大きく、名山の風格がある。枯れ葉の上にシートを広げて腰を下ろし、軽くビールで乾杯後、お湯を沸かしてランチタイムとする。


雨ん坊主の頂上付近


雨ん坊主頂上の石祠

雨ん坊主の次は中垣岩に向かう。雨ん坊主の北面は非常に急峻で、中垣岩への尾根の繫がりは遥か下になり、雑木林にも遮られて見えない。稜線を少し東に戻ったところから、緩い斜面を選んで北に下る。しかし、すぐにほとんど崖と言って良い急斜面に突き当たり、行き詰まる。これはどうしたものかと迷ったが、辺りを良く見回すと、ジグザグに付けられた山道に気がついた。落ち葉に埋もれて、見落としていたらしい。


雨ん坊主の北斜面の山道


木の階段の痕跡が残る道

急斜面を大きくジグザグに下ると、細い尾根に着く。山道は次の小ピークで左の枝尾根を下って行くが、中垣岩へは右の尾根を辿る。この先も小さな尾根の枝分かれがあって、迷い易い。やがて広く緩やかな尾根になると、雑木林の中に小さな石祠がぽつんと祀られている。


木立を透かして浅間隠山を望む


雑木林の中の小石祠

さらに尾根を緩く上下すると岩稜が現われ、展望の良い岩場がある。西上州の恩賀高岩に似て、すっぱりと切れ落ちた足元を覗き込むと高度感満点。烏川を隔てて浅間隠山が大きく聳える。隣りには岩壁を巡らせた中垣岩の標高点ピークがあり、その向こうには竜ヶ岳と笹塒山が並び立つ。

一旦、小さく下って標高点に着く。雑木林に囲まれた狭い頂上には小型山名標があるだけで、展望には乏しいが、木の間から東側に見える岩峰群はなかなか険しく、見応えがある。


雨ん坊主(左)と角落山


展望岩場より浅間隠山


展望岩場より中垣岩と
竜ヶ岳、笹塒山


中垣岩頂上

中垣岩から往路を石祠まで戻り、そのすぐ先から左へ枝尾根を下る。杉の植林帯に明瞭な踏み跡があり、簡単に三沢林道に降り着いた。あとは林道をてくてく歩いて、駐車地まで戻る。最後まで他のハイカーさんに全く会わない、静かな山歩きでした。


往路の稜線を戻る


三沢林道を下る

帰りは倉渕に立ち寄る(インターネット特典で400円)。R406沿いにあるが、温泉に入れば全く静かだ。今まで入った倉渕の温泉は、どこも良いなあ。露天風呂でゆっくり温まる。その後、牧野酒造にも立ち寄って、折よく限定発売中の大盃純米原酒・桶五十三号を買う。帰宅して飲んだところ、フルーティで濃厚な旨い酒でした。