浅間石尊山

2010年8月27日(金)
天気:
メンバー:K,T
行程:登山口 8:05 …血の滝 9:40〜10:00 …血の池 10:20 …濁川源泉 10:25 …石尊平 11:10 …石尊山(1667m) 11:25〜12:10 …石尊平 12:20 …血の池 12:35 …座禅窟 13:15〜13:40 …登山口 15:10
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

休日出勤の代休が取れたので、Kさんに「どこか登りませんか」とメールしたところ、幸い都合が合って、浅間山南面の石尊山を提案頂いた。石尊山は登山口の標高が既に1,000mと高いので、この夏の猛暑も避けて登れそう。また、ガイドブックやネットの情報によると、途中に血の滝や血の池と呼ぶ火山活動の一端が見られるスポットがあり、頂上からの浅間山の展望も素晴らしいとのこと。これは面白そうということで、出かけて来ました。

桐生を車で出発し、太田藪塚IC〜碓氷軽井沢IC間は高速を利用して、軽井沢町大字追分にある石尊山登山口に向かう。登山口は別荘地の裏通りにあり、周囲には一部伐採されたカラマツ林が広がる。平地で、石尊山も浅間山も見えないので、あまり登山口という感じがしない。「石尊山へ約5.4km」という道標、登山の注意に関する新しい看板と登山者カードのポストがあるが、何か場違いな雰囲気を醸し出している。

2台分と聞いていた駐車スペースは既に車で埋まっていた。反対側のスペースに車を入れたら、草に隠れていた切り株にバンパーをぶつけた。危ない、危ない。駐車していた車から、明らかにその筋と思しき男性が一人出て来て、皇族の方が軽井沢で静養しているので警邏中とのこと、住所と氏名を尋ねられる。

何やら物々しいスタートとなったが、山道に入れば、霧がまとわりつく樹林の中を直線的に進む僅かな登り勾配の道で、高原散策という感じで気持ち良い。道端の草むらが、夜露か雨かに濡れて瑞々しい。

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石尊山登山口

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緩い登りが真っ直ぐ続く

途中、駒飼いの土手という標識を見るが、周囲には疎らな樹林が広がっているだけだ。未舗装の林道を横断して、なおもゆるゆると登る。道端にラン科の小さな白い花が咲いていて、写真を撮ったが残念ながらボケボケ。後日調べると、ミヤマウズラという花らしい。

2本目の林道を横切る所で休憩していると、林道の下から高級そうなSUVが6、7台、列を成して目の前を通って行った。これはもしかして皇族ご一行?

徐々に傾斜が増した山道を辿るうちに霧が晴れて、青空が広がり始めていた。三たび林道に出て、暫く林道を辿る。林道の左にはいつの間にか谷が迫り、谷底は見えないが、水音が勢い良く聞こえて来る。再び山道に入る所には、石尊山へ約2.3kmの道標があった。

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駒飼いの土手

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石尊山へあと約2.3km

山道を登ると、程なく血の滝(赤滝)の分岐に着く。ここにはスニーカーにショルダーバッグというカジュアルな服装の若いお巡りさんが待機していて、血の滝の上の広場で皇族ご一行が車を降りて歩く準備をしているので、ここでしばらく待って欲しいとのこと。ええっ、さっきの車は、やっぱりそうだったんだ。これからどこに行くのだろう。もしかして石尊山?

道脇のベンチに腰掛けて待つうちに、後続のハイカーさん一組が上がって来て、同じく足止めとなる。約10分後、無線で連絡をとっていたお巡りさんからOKが出たので、まず血の滝を見に行く。谷に降りると、血の色というよりは黄土色の濁った水がドウドウと流れている。鉄分が豊富に溶け込んでいるため、流れる途中で酸化してこんな色になるらしい。

少し先に血の滝がある。濁流が黄土色の泥の崖を落ちる様は、まるで工事現場のよう。滝の手前には洞窟があり、その中に二体の不動明王が祀られている。光背には激しく燃え盛る迦楼羅(かるら)炎が刻まれている。

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血の滝

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血の滝の洞窟の不動明王

分岐に戻り、滝の上流を橋で渡る。すぐに林道に出ると広場があり、先程のSUVが停まっている。ご一行の姿は既になく、警備の人が一部待機しているだけだった。座禅窟への林道を左に見送り、石尊山への山道に入って、緑が深い林間を登る。

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座禅窟分岐

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オタカラコウ

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タムラソウ

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石尊山を仰ぐ

浅間山の観測施設?の塔を過ぎると、背の高い草むらに囲まれて「血の池」という道標が立っているが、池の水面は見あたらない。すぐ先で、勢い良く水が流れる小さな溝を渡る。水は血の池に流れ込まずに、バイパスしているようだ。溝の内側は赤味がかった黄土色に染まっているが、流れる水は透明だ。試しに口に含んでみたら、思いっきり鉄錆の味だった。ペッペッ。

ここで山道は左右に分かれ、両方ともに「石尊山山頂」を指し示す道標がある。右の道には加えて「源泉経由」とあるので、興味を惹かれて右に進む(しかし、実は左が正しいルートであった)。

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血の池

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左:石尊山山頂、右:濁川源泉

黄土色の水が流れる谷に沿って登ると、右岸に屋根が差し掛けられていて、その下から水が勢い良く湧き出している。ここが濁川源泉だ。湧き立ては透き通った新鮮そうな感じの水だが、口に含むとやっぱり強烈な鉄錆の味で、飲むのは無理そう。それにしても、こんな穴から鉄錆味の水がバンバン湧いているとは、実に興味深い。

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濁川源泉経由の道を進む

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濁川源泉の湧出口

山道は源泉のすぐ先で横木で塞がれており、これはどうも通行止を意味する柵らしい。しかし、この先も道型ははっきりしているし、さっき、石尊山を示す道標を見ているので、石尊山に通じていることは間違いないだろうと思って、柵を跨いで先に進む(実は道誤り)。山道は谷に沿って急な登りとなる。道端にはドクツルタケ(猛毒)と思しき白いキノコがあちこちに生えている。

やがて、山腹を左へとトラバースする緩い道となる。稜線になかなか着かないなあ、と思ってGPSで現在位置を確認してみたら、予定のコースに対してずっと浅間山側に寄った場所を歩いていることが判明する。ありゃー、道を間違えたか。しかし、進行方向は合っているし、道型も明瞭なので問題なし、このまま先に進もう。

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通行止の柵を越えて登る

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山腹を緩く巻く

やがて砂地に松が生えた緩い尾根に出て、「源泉経由追分宿へ」という道標を見る。道標がある訳だから、源泉からここまでの道も、かつては正規ルートだったようだ。尾根を下って石尊山に向かうと、道を塞いでロープが張り渡され、跨いで越えると「この先警戒区域のため立入禁止」という看板があった。つまり、我々は立入禁止区域を通って出て来たらしい(^^;)。そして、出た所が石尊山との鞍部の石尊平だ。待機中の数名の警備の人に向かって、いやー、道を間違えました、と言い訳して石尊山に向かう。

石尊山への登りにかかると、途中にもお巡りさんが待機し、今、頂上にご一行がいらっしゃるという。しばらく無線でやり取りがあったのち、OKが出て、先に進む。

急坂を登って、頂上まであと少しというところで、降りて来る御一行に行き合った。道を譲って通り過ぎるのを待つと、3人目くらいになんと天皇陛下がいらっしゃる。どちらから、とお声を掛け頂いて、二言三言、お話する。その後ろには秋篠宮ご一家が続いていた。いやはや、超びっくり(@_@)。山で出会ったサプライズNo.1は間違いない。

ご一行が立ち去られたあとの静かな頂上に到着し、まずはビールを飲んで昼食とする。頂上を囲む草むらにはススキの穂が出たり、マツムシソウが咲いていて、初秋の雰囲気が漂う。頂上からは浅間山がすぐ近くに雄大に眺められる。上の方は残念ながら雲に隠れているが、火山荒野の急峻な山肌や、弥陀ヶ城岩の岩壁の展望が展開する。

なお、頂上から南に下るルートの入り口には、立ち入り禁止のロープが張られている。休憩中、さらに数組のハイカーさんが山頂に到着した。皆、ご一行との遭遇には(当然のことながら)驚いたようだ。

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石尊平と石尊山(奥)

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石尊山頂上

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マツムシソウ

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ハクサンフウロ

頂上でゆっくり過ごしたのち、下山にかかる。石尊平から今度は正しいルートを下る。結構急な山道で、ここを往復された陛下の健脚振りに感嘆する。少し下ったところで、ご一行の後方を警護するお巡りさんに追い付き、その後を付いて下る。

「亜硫酸ガス発生箇所」の看板のある小さな窪を急いで通り過ぎ、赤茶色の水を貯めたおはぐろ池を見ると、そのすぐ先が登りで道を間違えた分岐点だ。ここからは往路を戻る。ご一行は車に乗って無事帰途についたとの連絡が入ったようで、お巡りさんも(我々の監視という)お役が御免となって、先に下って行った。

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亜硫酸ガス発生箇所

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おはぐろ池

血の滝上の広場には既にご一行の車はなく、残りの車も出発するところだった。時間の余裕があるので、座禅窟を訪ねてみることにする。道標にしたがって林道を辿ると、座禅窟への入り口の階段がある。ここには道標等はなく、木製の階段も朽ちかけている。

樹林に覆われた山腹を少し登ると、下の座禅窟に着く。洞窟の入り口は鉄格子で塞がれて、中には入れない。覗いてみると石仏が立ち並び、その足元の岩の表面には、黄緑色を放つヒカリゴケが生えている。また、洞窟の脇には「禅座霊神」の石碑がある。

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座禅窟への登り口

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下の座禅窟

洞窟の脇にある説明板を読むと、もうひとつ上の洞窟というものがあるらしい。踏み跡を辿って少々急な山腹を登ると岩場が現れ、ロープを手繰って岩場の間の洞窟に着く。広さおよそ5m四方、高さは立てる程あり、泊まれそうな岩室になっている。岩壁の一角に菱形の窓が開いていて、淡い光が差し込んでいた。

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上の座禅窟

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窓が開いた上の座禅窟

座禅窟の探訪を終えて、林道を戻る。青空が広がり、日差しは強いが爽やかな気候となった。行きには気がつかなかった道端の花の写真を撮りながら、のんびり戻る。血の滝上からは往路の山道を下って登山口に戻る。警備の車は既に帰った後だった。

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キツリフネ

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秋の気配漂う林道

帰途、カーナビで適当なを探して、ゆうすげ温泉というところに立ち寄ってみた。軽井沢バイパスを右に分けてR18の旧道に入ると、すぐにゆうすげ温泉の看板を発見。脇道に入ると広大なテニスコートがあり、中高年の大人数のグループがテニスに興じている。テニスコートの奥に民宿風の旅館のゆうすげ温泉がある。湯船は小さいがなかなか良いお湯で、これは当たりのでした。


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