尾瀬沼

天気:
メンバー:T
行程:大清水 5:20 …一ノ瀬 5:55 …三平峠 6:55 …三平下 7:05 …長蔵小屋 7:30 …小渕沢田代分岐 8:00 …長英新道分岐 8:35 …沼尻 9:10〜9:50 …南岸分岐 10:20 …三平下 10:40〜10:55 …三平峠 11:10 …一ノ瀬 11:55〜12:05 …大清水 12:45
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先週の佐武流山は長丁場のハードな山行となったので、今週は涼しい所で手軽なハイキングにしよう、ということで、大清水から三平峠を越えて尾瀬沼を一周して来ました。

桐生から尾瀬は近い。午前3時過ぎに車で出発し、県道沼田大間々線を経由して、午前5時頃には大清水に着く。前夜から駐車場内にテント泊の人も居て既に多くの車があるが、広い駐車スペースの1/4が埋まったくらいだ。今日は昼食も簡略化し、途中のコンビニで買い込んだパンとペットボトル飲料をデイパックに押し込んで、一ノ瀬までの林道を歩き始める。

朝早くからハイカーさんが三々五々、三平峠に向かって林道を歩いている。単調な道なので、トレーニングのつもりで少しピッチを上げ、先行する女性2人組に、おはよっす!と挨拶をして先に行かせて貰う。

一ノ瀬に着くと、休憩所のシャッターは上がっているが、本日の営業はまだ始まっていないようだ。WC(有料)を借りて、先に進む。「汽車が三台並んで通れるほど」無駄に幅が広い三平橋を渡って、橋の袂から山道に入る。


一ノ瀬まで林道を歩く


一ノ瀬休憩所

三平峠を越えて尾瀬沼に入るルートは、残雪期に皿伏山を登った際に歩いたことがあるが、夏期は今回が初めてだ。木道が敷設された良い道で、ブナやミズナラなどの樹林と渓流が美しい。当たり前のことだが、同じルートでも季節が違うと全く違った景色に見えるのが面白い。冬路沢沿いに山腹を登ると、途中に「岩清水」と呼ばれる冷たい泉があり、ハイカーさんが休んでいる。私も備え付けのマグカップで冷たい水を頂く。生き返る〜。


木道を歩く


岩清水

約40年前に建設が中止されて、今ではすっかり緑に覆われた車道の跡を横切ると、十二曲に差し掛かって、急な山腹をジグザグに登る。少々汗をかいて尾根の上に出る。振り返ると、4月にスキーで登った白尾山と登り損ねた荷鞍山が見える。白尾山の東尾根は鬱蒼と樹林に覆われて、今見てもあそこがスキーで登降できるとは想像し難いだろう。樹林の中を緩く登ると三平峠に着く。誰もいないし展望も全くないので、三平下まで行って休むことにする。


荷鞍山(左)と白尾山


三平峠

モミジカラマツの白い花を見ながら林間を下ると、尾瀬沼山荘の建つ三平下に到着する。山荘は宿泊客が出立した後なのか、静かだ。休憩所が営業していて、そちらにはハイカーさんがポツポツ訪れている。休憩所前のベンチに腰掛けて一休み。木立に阻まれて、尾瀬沼と燧ヶ岳の眺めはあまり良くない。三平下から、尾瀬沼を左回りで一周する。木道を歩くと草原に出て、そこからは尾瀬沼と燧ヶ岳が青空の下に一望できる。


尾瀬沼山荘


三平下付近から燧ヶ岳

湖畔を辿って20分程で長蔵小屋に着く。長蔵小屋の建物は、昔の学校の校舎かと思うほど立派だ。これは一度、泊まってみたいかも。隣りには尾瀬沼ビジターセンターや売店もあり、急にハイカーさんが増えた感じで賑わっている。長蔵小屋の裏手(沼の側)行くと休憩所や元長蔵小屋(閉鎖中)があり、尾瀬沼のほとりから燧ヶ岳を見渡す絶好の展望ポイントになっている。ここもハイカーさんで大賑わい。


長蔵小屋


長蔵小屋付近から燧ヶ岳

長蔵小屋から沼山峠に向かって、大江湿原が広がっている。沼尻方面との分岐の周辺にニッコウキスゲの群落があり、大勢のハイカーさんがカメラを構えている。気持ち良い草原に誘われて、寄り道して沼山峠の方へ少し行ってみる。


ニッコウキスゲ


コオニユリ

大江湿原の半ばから左手に分かれる小径があり、その先の丘の上に平野家の墓所がある。長蔵小屋を開いた平野長蔵氏、長英氏、長靖氏の父子三代とその家族が、大江湿原と長蔵小屋を見守る地に眠っている。最近、長靖氏の遺稿集「尾瀬に死す」をたまたま古書店で入手して読んだ。早世した氏の生涯を思い起こし、しんみりして墓前に手を合わせる。


大江湿原


ヤナギラン


平野家の墓所(右の丘)と燧ヶ岳


マルバダケブキ

メインストリートに戻ると、沼山峠の方からハイカーさんが隊列をなしてやって来る。そう言えば、沼山峠の直下までバスが入るんだっけ。道理で人通りが多い訳だ。大江湿原を小渕沢田代分岐まで辿り、そこから引き返す。


オタカラコウ


大江湿原付近から望む皿伏山

大江川を木橋で渡って、沼尻に向かう。橋の上から川の中を見ると、20cmくらいの灰色の魚がたくさん泳いでいた。長英新道を右に分け、浅湖(あざみ)湿原を木道で横断する。燧ヶ岳の山懐に入り、湿原から見上げる頂上が高い。

湿原を抜けると、コメツガやダケカンバなどの大木が生い茂る針葉樹林に入る。ところどころ樹林が切れたところは湿原となり、尾瀬沼の水面が見渡せる。沼の向こうには名の通り浅い皿を伏せた様な皿伏山が横たわり、至仏山も頂上付近だけ樹林の上に覗いている。

尾瀬沼の素晴らしい景観を楽しみながら歩いていると、ばりばりに山ガール風ファッションの若い女の子(しかもかなりカワイイ)二人組から、シャッターを押して欲しいんですが、と声を掛けられた。普段はひと気のない山を好んで歩くから、おっさんに頼まれることはあっても、若い女の子は稀。さすがは尾瀬。もちろん、喜んで押してあげたのは言うまでもない(^^)


コメツガやダケカンバの樹林の道


至仏山がちょっとだけ見える

やがて沼尻平の湿原に入り、燧ヶ岳への登山道との分岐に着く。ナデッ窪の奥にミノブチ岳がぐぐぐっと反り返って聳え、登高意欲をそそるが、今日は軽ハイキングなので次の機会にとっておく。

沼尻の休憩所は湿原の中に建つため、床が高い東屋の様な造りになっており、陽射しを避けたハイカーさんが縁側に腰掛けるようにして大勢鈴なりになって休んでいる。缶ビールを販売していたので、当然購入。350mlで450円也。屋外の丸太を輪切りにしたベンチに腰掛けて、尾瀬沼と燧ヶ岳を眺めながらビールとパンで昼食とする。


沼尻から燧ヶ岳を仰ぐ


沼尻平の池塘と沼尻休憩所

昼食後、沼尻平の池塘を一周する遊歩道を歩く。池塘の水面にはヒツジグサが浮かび、草原にはキンコウカの黄色い花が咲いている。湿った草地には、ナガバノモウセンゴケが赤い絨毯を敷いたように群生し、小さな白い花が咲いているものもある。モウセンゴケは何度見ても面白い植物だ。


キンコウカ


ナガバノモウセンゴケ

沼尻で尾瀬ヶ原への道と分かれて、尾瀬沼南岸の道に入る。沼から流れ出す沼尻川を渡り、小沼湿原に入る。樹林を透かして小沼の水面が見えるが、近づくことはできない。

湿原を抜けると尾瀬沼の湖畔に出て、水際を歩く道となる。岸が入り組んで小さなアップダウンが多く、意外と歩き応えがある。ところどころから眺められる尾瀬沼の深い青の湖面が涼しげだ。


小沼湿原から燧ヶ岳を振り返る


尾瀬沼の南岸を辿る


尾瀬沼を隔てて長蔵小屋付近を望む


尾瀬沼南岸より燧ヶ岳

皿伏山への道を分け、取水口小屋を過ぎれば、三平下は近い。三平下は今朝と較べて格段に増えたハイカーさんで賑わいを見せていた。休憩所の売店でアイスクリームを食べたかったのだが、売り切れだった。残念。

ここから往路を戻る。三平峠への登りでは、遠足の小学生とすれ違う。元気よく挨拶してくれるのは嬉しいが、100人くらい続いた(^^;)。木道から落っこちちゃったちょっと太めの男の子は、その後の行程は大丈夫だったかな?

三平峠も行きとは一変して、大勢のハイカーさんが休憩していた。まだ昼前だし、これから登る人(多分、泊まりがけ)が多いようだ。一ノ瀬の休憩所もハイカーさんで賑わっている。今日は尾瀬の自然と景観を満喫したが、ヒトもたくさん観察した気がする(^^;)。アイスクリームを食べてゆっくり休憩したのち、大清水への少々長い林道を辿った。


三平下の尾瀬沼休憩所


大清水に帰り着く

帰りは鎌田の寄居山に立ち寄る。湯上がりに休憩室で一休みしていると、窓から吹き込む風が自然な涼しさで気持ち良いが、桐生に戻ればまた酷暑か〜。帰るのがちょっと嫌になった。