会津駒ヶ岳
会津駒ヶ岳は以前からとても登りたかった山の一つですが、気合いを要する山でもある。というのも、登山口の檜枝岐までが遠〜い。桐生から車で行くと、足尾、日光を経由して会津西街道・山王峠を越え、R352で檜枝岐まで約180km、4時間。しかも全行程下道で山道の連続。これは雁坂トンネルを抜けて、山梨県早川町の七面山や笊ヶ岳に行くのと同じくらいのロングドライブとなる。
という訳で未登だった会津駒ですが、盆休み週間の前にすべき仕事も片付いて一安心、会津方面の天気は晴の予報(←これ重要)ということで気合いに点火、登って来ました。
アプローチについては上述のとおり。大人気の山だけに登山口の駐車場も満杯になるのを恐れて早めの夜1時に桐生を出発し、5時前に檜枝岐に到着する。R352から駒ヶ岳登山道への林道に入ると、檜枝岐前泊のハイカーさんが既に登っている。入口の看板によると、林道の奥に路側を含めて100台分の駐車スペースがあるらしい。それだけあれば、まあ十分か。
滝沢登山口(木の階段のある所)の駐車場は、最寄りのスペースは既に一杯で、一つ手前の駐車余地に車を置くことが出来た。ここにも5台程の車があって、ハイカーさんが出発前に体操したり、準備をしていた。私が出発準備をしている間にも、続々と車が到着する。檜枝岐の宿からの送迎の車もあるようだ。
木の階段の下で登山届を記入して提出し、10数人のハイカーさんと前後して登り始める。最初はブナ林の中の急な登りだが、ジグザグが丁寧に切られた道で歩きやすい。やがて、林の中にも朝日が差し込んで来て、ブナの幹がまだらに輝いている。
ブナ林をゆっくり登って、水場の標識のある小平地に着く。ベンチがあり、ハイカーさんが休んでいる。私もここでザックを下ろして一休み。水場は数分下った沢にあり、岩からしみ出た冷たい水がパイプを伝ってちょろちょろと流れ出ていた。
水場を過ぎると、オオシラビソなどの針葉樹が多くなり、広い尾根をゆるゆると登る。樹林の切れ間から、行く手に駒ヶ岳の頂上稜線が見えて来る。振り返ると、日光連山が見える。天気は最高、今日は展望も良さそうだ。針葉樹林を抜けた所にテラスとベンチがあり、駒ノ小屋から駒ヶ岳にかけて草原に覆われた稜線の眺めが開ける。これは絶景だなぁ。
一面の草原の中、駒ノ小屋の三角屋根を目指して木道を辿る。池塘のほとりにはワタスゲの白い穂が風に揺れ、モウセンゴケがその名のとおり赤い毛氈のように繁茂している。高山の花はピークを過ぎたのか多くはないが、イワイチョウやキンコウカ、タテヤマリンドウなどが咲いている。気持ちの良い草原の向こうには尾瀬や日光の山々が連なっていて、しばしば足を止めて景観を楽しむ。
駒ノ大池に登り着いて、ベンチで小休止。水面に影を映す駒ヶ岳の眺めが素晴らしい。遠路ドライブして来た甲斐があったというものだ。一段上がったところにある駒ノ小屋のWCを借りる(チップ100円)。小屋は小ぢんまりとした二階屋で、玄関を覗いたら大きな熊の毛皮が壁にかかっていた。因みに缶ビールは450円。持参しているので、買いませんでしたが(^^;)
駒ノ大池のほとりを通って、駒ヶ岳に向かう。振り返ると、駒ノ小屋の向こうに燧ヶ岳から日光連山にかけて山並が連なる。駒ヶ岳から燧ヶ岳へ向かう稜線も草原に覆われていて気持ち良さそう。中門岳への巻き道を分けてわずかに登ると、駒ヶ岳の山頂に着いた。
山頂は樹林に囲まれて、360度の展望とまでは行かないが、女峰山、男体山、白根山、燧ヶ岳、武尊山、至仏山、景鶴山、苗場山、平ヶ岳とずずずらーっと眺められる。頂上には木製のパノラマ説明板が設置されていて、山岳同定の助けになる(ただし、谷川岳が至仏山と景鶴山の間に見えるように書かれているのは誤りではないかと思う)。
駒ヶ岳頂上から中門岳(ちゅうもんだけ)に向かう。頂上から少し下ると、中門岳への広い草原の稜線が一望出来る。これは素晴らしい。思わず、ウッヒョーと歓声が上がる(^^;)。周囲の山岳風景を楽しみながら、稜線を散歩する。
途中、雪渓が完全に消えた草地にはハクサンコザクラの群落があった。もう少し雪が残っている時期がピークなのか、全体的に花は終盤の感があるけれど、今年初めてハクサンコザクラが見られたので良しとしよう。
草原に点在する池塘を縫って、緩やかな稜線をのんびり歩く。やがて、ひと際大きな中門大池に着く。テラスとベンチ、中門岳の標識があり、ザックを下ろす。木道はまだ先に続いているので、デジカメだけを持って進んでみる。
木道はわずかに高くなった丘の上の池塘を一周して終わっている。この辺りが中門岳の標高点(2060m)らしい。ここから駒ヶ岳に穏やかに続く草原の稜線を振り返る。うーむ、最高の眺めだね。中門大池のベンチに戻って小休止していると、続々とハイカーさんがやって来たので、名残惜しいけど席を譲って駒ヶ岳に戻る。
駒ヶ岳の頂上は巻いて、駒ノ大池のベンチで再び小休止。まだ10時で昼食には早いので、ウィンナーを炒めてつまみにし、持参の缶ビールを飲む。この景色の中でのビール、美味さもまた格別やね。
下山は往路を滝沢登山口に戻る。駐車場の車はかなり増えていて下のスペースまで埋まっていたが、まだ余裕はあるようだった。燧の湯の♨で汗を流したあと、まる屋で天もり定食(はっとう付)を食べて、桐生への長い帰途についた。