雨降山

2007年12月16日(日)
天気:
メンバー:T
行程:南郷 9:30 …尾根に出る 9:55 …鳥居跡 10:30 …東峰 11:15 …雨降山(1013m) 11:30〜12:00 …東峰 12:15 …鳥居跡 12:50 …南郷 13:30
ルート地図 GPSのログ(復路のみ)を地理院地図に重ねて表示します。

晴れた日に桐生から伊勢崎へ向かって車を走らせると、車窓から正面に、東西の御荷鉾山が並んで、こんもりと盛り上がっているのが目を引く。しかし、そのすぐ左にある雨降山(あめふりやま)は、背丈が一段低い上に稜線が緩やかで平凡な山容で、ほとんど目立たない。ガイド本やウェブの記録は、南麓の御荷鉾スーパー林道からのハイキングコースを紹介しているが、登路は大部分が杉林の中で、頂上からの展望も期待できないという。

初めて登る山であれば、その頂上に立つのが第一の目的ではあるけれど、そこに至る経緯やルート、方法にも何かしらこだわりは持ちたい(平たく言えば、ひとひねりが欲しい)と思っている。地味な山ではなおさら。

雨降山についてはそんなことを考えていたところ、佐藤節著「西上州の山と峠」という本の「雨降山 地図読み山行のすすめ」という一節に、北麓の山村・南郷から道なき尾根を登って雨降山に登った35年前の紀行を見つけた。このルートは現在も地形図に破線はなく、ウェブにも情報が全くないのが新鮮で面白そう。これはひとひねりになるんでない?

という訳で、著者からの地図読み山行の誘いにのって、道なき尾根を登って来ました。

桐生を車で発ち、鬼石の市街を抜けた所でR462から右折して、三波川沿いの道を奥へ走る。冬桜で有名な桜山への道でもあり、あちこちに観光案内の幟がはためいている。今は冬桜のシーズンなんだろうか?道の脇にも桜が咲いているのを見た。

南郷入口という案内を見て左折、橋を渡って支流に沿って細い車道を上がる。すぐ前を乗用車が一台走っていたのだが、突然止まって、バックしてきた。狭い道なので、こちらも路側に退避できそうな所まで後退せざるを得ない。ようやく入れ替わって、何事?と思いつつ進むと、坂道で路面が凍結している。私の車は先週末からスタッドレスを履いているのだが、つるんつるんに空転する。一旦バックし、勢いをつけてようやく突破した。

杉林の中を登り、南郷の集落のすぐ手前の道が広くなった場所に車を置く。集落に入った所に道祖神があり、その左の簡易舗装の急坂をジグザグに登る。どこから尾根に取り付くか全く情報がないが、最奥の民家の手前で左の茶畑の中に入って行く山道を見つけたので、山勘でそちらに進む。

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南郷の道祖神

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南郷の山村風景

山道は放擲された畑の脇を緩く登り、杉林の中に入る。道がなくなったら藪を漕いで、尾根に出ればなんとかなるだろうと考えて、とりあえずこの道を辿ってみる。やがて、墓地に突き当たって道が消えたので、少し戻ったところから尾根に向かって登り始める。すると杉の枯れ枝で埋もれているが、掘割状の山道がジグザグについていて、尾根まで続いていた。これはラッキー♪ 山勘、大当たりv(^^)

尾根に出ると左は杉林、右は雑木林になっていて、断続的に道の痕跡もあり、藪漕ぎなく調子良く歩ける。しかし、今までは晴れていたのだが、北から雲が押し寄せて来て、冷たい風が吹き始め、雲行きは怪しくなる。木の間から見える三波川流域の山村も寂しげな風情だ。

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山道を進む

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杉林と雑木林の境界の尾根を登る

杉林に囲まれた尾根の登りになると、灌木の小枝がちょっと煩くなるが、歩行に支障はない。行く手には、木の間越しに目指す雨降山東峰が高く見える。その中腹(906mピークの北斜面)は治山工事現場?でユンボが置かれているのが見える。

「西上州の山と峠」に記載のある一本杉峠はどこだろう。「山」と刻まれた境界標識のある小ピークを越えて、鞍部に緩く降りると、根元から折れて倒れた鳥居があった。「西上州の山と峠」には、この辺りを登ったときの様子が次のように記述されている。

植林の中の急登になって、琴平宮のある肩までは、いっきに高差250メートルもの片登りですが、ジグザグをきって、広くなる視界とともに高度もあがり、大杉の並ぶ参道めいた雰囲気になると、下の鳥居があらわれ、更に急登を重ねて、雑木の痩せ尾根を厚い落葉を踏んでよじるようになって、東南面のひろくひらけた琴平宮の台地にでました。

かつてはこの尾根も雨降山への参道だったようだが、現在ではこの朽ちた鳥居、傍らの倒れた石碑、焼け焦げて根元のみ残った杉の大木だけがその痕跡だ。

ここから杉林の中、枯れ葉と枯れ枝が敷き積もった斜面の急登が始まる。左の方はところどころガレた急斜面になっている。ぐんぐん高度を上げて、振り返ると南郷の集落が遥か下に見える。結構な高度感で怖いくらいだ。斜面には転石が現れて道らしきものは全くない。ときどき、獣の踏み跡らしきものを見るだけだ。

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朽ちて倒れた鳥居

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東峰へ急斜面を登る

杉林の尾根を登り詰めると、疎らな雑木林の肩に出て、ようやく緊張が解ける。岩場のある小さなピークを右から巻いて越えると、水資源開発公団の電波反射版がある。再び晴れてきて、神流湖の湖面が一部見えるほか、桜山や鬼石市街、北秩父方面の眺めが良い。

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電波反射板より
桜山と鬼石方面の展望

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電波反射板より
神流湖と北秩父の山々

反射板のすぐ裏手が琴平宮のある東峰で、祠や石碑、休憩小屋(中には入らなかった)がある。祠の傍らには注連縄が巻かれたケヤキ?の大木があり、白い雲が速く流れる青空に向かって大きく枝を伸ばしていた。

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琴平宮のある東峰

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東峰のケヤキ

東峰からテレビ中継局の横を通り、雨降山に向かって雑木林の意外に明るい雰囲気の尾根を歩く。小さな登り降りを繰り返し、雨降山の頂上に到着した。

頂上は、北は雑木林、南は杉の植林に囲まれて展望はない。僅かに木の間から神流湖の湖面が見えるだけである。道標の下に「雨降山」という山名標が置かれているのと、三等三角点の標石があるのが、頂上らしいものの全てだ。

風を避けて日溜まりの枯れ葉の上に腰を下ろし、缶ビールを飲んで、蔵王で買ったラストの温麺を食べる。食べ物で暖まっていた間は良かったが、その後は風もますます強まって、手先や耳が千切れそうに寒い。下山にかかろう。

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雨降山へ雑木林の尾根を辿る

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雨降山頂上

下山は往路を戻る。東峰からの下りは急峻だ。真っすぐ下ると崖の上に出るので、そこから左寄りに降りなければならない。ここを初めて下りにとると、ルートを見つけるのはかなり難しいだろう。鳥居まで下ると風も弱まり、身体も再び温まって一息つく。あとは尾根を緩く下り、南郷に置いた車まで戻った。朝、凍結していた坂道も、午後には溶けて、すっかり乾いていた。

帰りは鬼石の神流川湯郷白寿に立ち寄る。ここに入るのは2回目。析出物の多い赤褐色の泉質は大好きだ。まあ、ひとひねりしなくても、こういう温泉に入れば実は大満足だったりする(^^;)。冷えた身体をゆっくり温めたのち、桐生に帰った。


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