八風山

2006年12月16日(土)
天気:のち
メンバー:T
行程:砂防堰堤 10:30 …登山道に入る 10:50 …矢川峠 11:50 …八風山(1315m) 12:20〜13:00 …矢川峠 13:30 …砂防堰堤 14:15

道標

今年の1月に御場山に登ったとき、登山口の高立の集落で「←ハイキングコース、矢川峠・神津牧場」という古びた道標を見た。かつて、八風山から神津牧場に至るコースはハイカーのメッカ的存在だったそうなので、その頃にサブコースとして歩かれていたのだろうか。

地形図では、高立と矢川峠の間には今でも破線が引かれているものの、ガイドブックやウェブで探しても、ここを歩いたという話は見たことがない。なので既に廃道の可能性が高いが、現在、このコースがどうなっているか興味を引かれるし、ちょっと変わった所から八風山を目指すのもまた一興、ということで、出かけて来ました。

高立へは下仁田ICから車で入る。今日は暖かく穏やかな天候で、御場山の北壁にも雪や氷はない。前回は探すのに苦労した御場山登山口は、真新しい道標が二か所に立てられていて、迷いようがなくなっていた。

まだ健在の矢川峠への道標を見て、さらに奥へと未舗装の林道を走る。一本岩の前の広場には、上に石祠が祀られた高さ4m程の巨岩がある。ここでは、岩に上がって祠にお参りできるように新しい鎖が付けられていた。西上州最奥のこの地は時間が止まっているような印象があったのだが、御場山登山口の道標といい、この鎖といい、前に来たときから間がないうちに状況がいろいろ変化しているようだ。

一本岩の基部を通って裏側にまわると、ここにも古びた「ハイキングコース、高立←→矢川峠」「神津牧場←」という道標があり、左の杉林の中へはっきりした道が分岐していた。林道をさらに進むと、砂防堰堤を過ぎた少し先でY字路になり、右の道は工事中立ち入り禁止の柵が置かれ、その先で矢川川を渡っている。矢川峠へはそちらの方向のはずなので、少し戻って路側の空きスペースに車を置く。

柵を過ぎて、砂防堰堤の上流の土管橋で川を渡る。この橋の上から見る一本岩と御場山は、ちょっと他にはない風景だ。さて、橋を渡った向こう側にハイキングコースの入口があるはずだが、果たしてあるかな?

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矢川川上流の林道
この先は工事通行止め

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矢川川を渡る土管橋の上から
一本岩と御場山の眺め

林道右側の山腹を注意して見ながら歩くが、ハイキングコースの入口は見つからない。林道はもう一度、川を渡って上流へ延びて行く。さらに歩いて行くと、砂防堰堤の工事現場(この日は休工)を過ぎ、そこから崩壊した道となって山腹を上がり、尾根に出たところで林道終点になった。ここは1032mピークから北東に延びる尾根の上で、ハイキングコースとは谷を隔てて一つ南だ。結局、ハイキングコースは道標だけを残して、痕跡もなく消えてしまったのだろうか?

ちょっとがっかりして、林道をとぼとぼ戻る。地形図通りならば、土管橋を渡ってすぐのところにハイキングコースの入口があるはずである。ということで、もう一度気をつけて見てみると…。発見!高さ2mくらいの山側のり面の上の杉林に入口が!退色した赤テープが枝にぶら下がっているが、うーむ、これは見逃すわ(^^;)。

ハイキングコースに入ると、杉林の中に道が続いている。最近、人が歩いた形跡は全くないが、道型ははっきりしている。杉林を抜けると雑木林の明るい道になり、気分が良い。再び、杉林に入るとジグザグに山腹を登る。このあたりからちょっと怪しい感じになるが、まだ道型は残っている。

尾根に近づいて杉林を出ると、雑木林と笹原の道となり、途端に道がはっきりしなくなる。途中に、土に半分埋まりかけた馬頭観音?の石像を見なければ、ここがかつての峠道だったと確信して進めなかっただろう。

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かつてのハイキングコースに入る
暫くは道型が残っている

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路傍の石像(馬頭観音菩薩?)

道が怪しくなったら、稜線を辿る。幸い、疎らな雑木林とあまり密ではない笹藪で、微かな踏み跡も断続しているので、そう苦労なく進める。展望は木の間から日暮山が見えるくらいだが、天気が良く、明るい尾根の登高となる。

やがて、笹が低い平坦な場所に出て、右に壊れかけた造林小屋を見る。ここから尾根を逸れて、ほとんど平らな山腹を歩く。

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尾根上は踏み跡を辿る笹藪漕ぎ

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尾根を逸れて右に向かう

杉やカラマツ林の中の緩い起伏に道が付いている。ちょっと不思議な地形だ。木の間から国境稜線の岩山が見えると、矢川峠は近い。

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平坦な植林地の中の道型を辿る

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右上に岩山を見ると峠は近い

最後は短い距離だがイバラの藪を抜けると、矢川峠に到着した。峠を越える道はどちらも笹に覆われて、道標は単に「矢川峠」と記したものがあるだけだった。国境稜線上の道は往年のハイキングのメッカということから想像していたよりも、ずっとか細い道だ。しかし、もちろん歩くのに支障はない。

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矢川峠から群馬県側を見る

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八風山への縦走路

雑木林と笹原の緩い尾根を登って行くと、少し見晴しの効く場所があり、長野県側を見ると、緩やかな高原風景の向こうに蓼科山から霧ヶ峰あたりに続く山並が見えた。昔はこういう高原情緒が人気だったのかも知れない。

一方、群馬県側には尾根の直ぐ脇に幅5mくらいの大きな亀裂がある。地滑りが起きているのだろうか。亀裂の中には木が生えているので、数十年前からのもののようだ。そういえば、矢川峠の下の平坦地は地滑り地形のように思える。

それにしても、ひと気のない縦走路だ。稜線上のピークは長野県側を巻くように道が付けられていて歩き易い。途中から、先週降って消え残った雪をところどころで踏むようになった。

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蓼科山〜霧ヶ峰あたりを遠望

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八風山へ0.8km地点

国境稜線上の顕著なピークの獅子岩は長野県側を巻き、雪の付いた軽井沢からの道を合わせる。木の間から白くなった浅間山を垣間見て尾根道を緩く上がると、八風山の頂上に到着した。

頂上からの展望はカラマツ林と雑木林に囲まれて限られる。軽井沢方面が伐採されていて良く見える他、日暮山、高岩、谷急山、裏妙義方面、あとは経塚山(荒船山)がわずかに見えるだけである。しかし、頂上は芝の生えた広い平地になっており、休憩には良い。ちょうど、ご夫婦のハイカーさんが1組いて、展望を楽しんでいらっしゃるところだった。他のハイカーには会わなかったそうで、人が少ないですね、という話をした。

展望を一通り楽しんだ後、缶ビールを飲んで、昼食にする。今日はシンプルにラーメン+ゆでたまご、叉焼。

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一等三角点のある八風山頂上
背景は軽井沢方面

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今日の昼食

下山は往路を戻る。休憩を入れて4時間弱の短い山行だったが、たまの軽い藪漕ぎはなかなか楽しかった。帰りは荒船の湯に立ち寄る。この時期は人も少なく、ゆったり湯船に浸かる。よく温まって帰桐した。


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