鳥甲山

2006年8月16日(水)
天気:
メンバー:T
行程:和山登山口 5:35 …白嵓 8:05 …鳥甲山(2038m) 9:30〜10:10 …屋敷下降点 11:45 …屋敷登山口 12:45 …和山登山口 14:05

鳥甲山(とりかぶとやま)を知ったのは、谷川岳に初めて登ったときに買った山溪アルパインガイドの一節に記載されていた鳥甲山のガイドがきっかけでした。ガイドに添えられていた小さなモノクロ写真の中の鳥甲山東面は、急峻なスラブとルンゼを巡らせていて、この山に登ってみたい、と思わせるのに十分な迫力でした(この本は今も手元にある)。

しかし、登りたい山は数多く、一方、鳥甲山は秘境秋山郷にあってアプローチが遠い。登りたいと願いながらも何となく機を逸していましたが、マイカーを利用すれば秋山郷も桐生から日帰り圏内の便利な世の中に。ようやく夏期休暇が取れて天気も良さそう、ということで、ついに登って来ました。

深夜、桐生を車で出発。関越道塩沢石打ICからR353、R117を経て津南へ。そこからR405で中津川沿いに秋山郷を目指す。まだ暗い中、途中の道は細く曲がりくねって、崖の上でガードレールがない区間もあり、運転には注意を要する。秋山郷の中に入ると道は広くなり、夜が明けて薄茜色に染まる鳥甲山が覆い被さるように屹立する。写真から想像していたよりもずっと壮大な眺めで、眠気も吹っ飛ぶ。

切明で中津川を渡り、対岸の和山登山口に到着。広い駐車場があり、1台のミニバンから年配の男性ハイカーさんが一人出発しようとしているところだった。こちらも朝食でサンドイッチを食べた後、少し遅れて出発。行く手には、白い岩壁の上にギザギザに高度を上げて行く稜線が見えていて、登高意欲がそそられる。

*
秋山郷から仰ぐ鳥甲山東面

*
和山登山口

最初は植林のスギとブナが混生した林を登る。登山道はササがきれいに刈り払われていて、歩き易い。10分程登ると「←30m 大山清水」と書かれたプレートがあり、2リットルポリタンを満タンにするために水場に立ち寄る。今日は快晴で暑くなるのは確実なので、水の他にペットボトルのスポーツ飲料1リットルと缶ビール500mlを携行している。

ブナ林の山腹を登り詰めて尾根に上がると、反対側に広大な森林に覆われた奥志賀の山々が眺められる。一番奥にちょこんと見えるピークは裏岩菅山(うらいわすげやま)だろうか。いつかあそこからこちらの秋山郷へ縦走してみたいなあ。

ブナ林が終わると灌木と露岩を交えた稜線となり、右側は白いスラブを交えた急峻な斜面が中津川まで落ちている。振り返ると佐武流山(さぶりゅうやま)の鈍角三角形のスカイラインが逆光の中に大きい。

展望の良い痩せ尾根をグングン登って行く。途中の岩場はぶらぶらする鉄梯子を頼りに越える。木陰のない稜線の登りは急で、暑さとの戦いになってくる。道ばたのツリガネソウの花やアカモノの実を見るのがアクセントだ。途中で先行していたハイカーさんに追いつき、挨拶して先に行かせて貰う。

*
鎖と鉄梯子のかかる岩場

*
ツリガネソウ

展望の良い小ピークをいくつか越えると、上部が森林に覆われた白嵓のピークが現われる。灌木帯の稜線を登り切るとササとオオシラビソの林に入り、木陰があって少し涼しくなる。白嵓の山頂は展望がなく、道標と小さなプレートがあるだけだ。木陰の木の根に腰を下ろして、ナシを1個食べる。果物は重くて嵩張るけど、今日のような酷暑では疲労回復・気分転換の貴重な源だ。

*
白嵓への稜線

*
白嵓山頂

白嵓を越えて少し下ると、木の間越しに鳥甲山の山頂が見え、その前にはささくれ立った切り株のようなカミソリ刃のピークがある。一旦、深い樹林の鞍部に下ってカミソリ刃に登ると、右側は崩壊した絶壁で、遥か下には中津川が蛇行している。太い鎖が手摺として設置されているので、これを握りしめて歩く。左側も木が付いているが岩壁で、名前そのままの痩せ尾根だ。次の岩峰は右側の基部をトラバースして通過。その先にも両側が崩壊した痩せ尾根があり、慎重にバランスをとって通過する。

*
カミソリ刃から鳥甲山

*
カミソリ刃を振り返る

危ないところはここまでで、樹林を登ると頂上直下の急傾斜の草原に出る。秋山郷と苗場山が見渡せて、気分の良い所だ。急登わずかで屋敷への分岐に到着。頂上へはあと僅かだが、暑さに参って残りのスポーツ飲料を飲み干してから、頂上を目指す。展望の良い稜線を登ると、ようやく頂上にたどり着いた。

まずは缶ビール500mlをグイーッと空ける。頂上はササの中に露岩が点在した狭い平地で、オオシラビソに囲まれている。展望は木の間から少し得られ、南には焼額山などの志賀高原の山々と遠くに北ア、東には越後三山が見える。少し遅れてハイカーさんも到着。話を伺うと、昨日は佐武流山に登頂。10日程前から、ミニバンに寝泊まりして各地の山々を登頂しているとのこと。うーむ、連荘で登るとはすごい。

*
鳥甲山山頂直下から白嵓を振り返る
中央奥は佐武流山

*
二等三角点のある鳥甲山山頂

昼食でラーメンを食べた後、下山に取りかかる。ハイカーさんは往路を戻るそうだが、私は赤嵓を経由して屋敷登山口に下る予定なので、頂上直下の分岐を左の屋敷方面に進む。ササ原にオオシラビソが点在する明るく開けた尾根がずっと続き、快適な下りだ。右側は急斜面のお花畑で、眼下には秋山郷、その向こうには苗場山の頂上が平らな特徴ある山容が大きい。日陰はないが、涼しい風が吹き上がって来て、実に気持ち良い。

*
赤嵓へのササの稜線

*
秋山郷の向こうに苗場山を望む

ひとしきり下って振り返ると、ササ原に覆われた鳥甲山のピークが青空の中に高い。崩壊壁の縁から下を覗き込めば、遥か下方の谷間に雪渓が見える。やがて傾斜が緩くなり、小さな登り降りを繰り返す。

*
鳥甲山を振り返る

*
赤嵓の崩壊壁に咲くマツムシソウ

赤嵓のピークはどこだか判らず、いつの間にか通過。最後の小ピーク(赤嵓北峰?)を越えるとブナ林の尾根の下りとなり、一旦、傾斜が緩くなると道標のある屋敷下降点だ。ここで尾根歩きは終了。秋山郷に向かって山腹を急降下する。

雪崩対策の防護擁壁を過ぎると、広い範囲で木がなぎ倒されている斜面に出た。これは今冬の豪雪で起きた雪崩の爪痕だろうか。二つめの防護擁壁を過ぎると、長く感じた下りもようやく終わって、屋敷登山口の秋山林道に出た。登山口には湧き水があり、冷たい水を飲んで一息つく。

*
赤嵓から白嵓を望む

*
山麓の秋山林道から白嵓を仰ぐ

あとは全面舗装された秋山林道を鳥甲山東面を仰ぎながら歩き、和山登山口に戻る。特に、白沢を渡る地点から見上げた白嵓のスラブの景観は素晴らしかった。ドライブにも良いコースだと思う。

和山登山口に到着すると、頂上まで一緒だったハイカーさんがいた。少し前に帰着したばかりだそうで、赤嵓と林道経由でもう戻って来たのかと驚かれた。林道歩きには1時間20分かかったが、赤嵓の尾根が歩き易かったので、その分早かったのかも知れない。

帰りは切明雄川閣(300円)に立ち寄る。露天風呂もあるが、日差しはもう浴び過ぎるほど浴びたので、内湯に入る。いいお湯でした。秋山郷は自然環境が素晴らしく、とても気に入ったので、今度はに宿泊したいなあ。おみやげに秋山郷で栃餅大福、越後湯沢でエチゴビール350ml缶を買って、桐生に帰った。


あにねこ登山日誌 © 2006 anineco.org