大坊山〜大小山

天気:
メンバー:T
行程:JR足利駅 =(バス)= 上宮先バス停 8:10 …長林寺 8:25 …浅間山 8:50 …見晴台 9:20 …大坊山分岐 10:10 …大坊山(285m) 10:20〜10:30 …大坊山分岐 10:40 …越床峠 11:25 …大小山(妙義山)(314m) 12:20〜12:40 …見晴台 12:50〜13:25 …阿夫利神社 13:40 …JR富田駅 14:15

登山靴を新調したので、その試運転を兼ねて足利近郊の里山を歩いて来ました。小春日和の一日で霞のために遠望はありませんでしたが、露岩の多い尾根歩きは変化と山麓の展望に富んでいて、手軽な山にしてはなかなか楽しめました。

自宅から自転車でJR桐生駅に出て、7:37発の列車に乗車。わずか15分の鉄道の旅でJR足利駅へ。8:00発の足利市生活路線バスせせらぎ号に乗車して、上宮先バス停で下車。バス停の少し先に「毛野大坊山ハイキングコース←入口」という大きな看板があるので、ここを左折して、閑静な住宅街の中を道なりに進む。ちなみに大坊山は「だいぼうさん」と読むそうな。

カエデの紅葉がきれいな通りを抜けると、突き当たりが長林寺。境内のカエデや周囲の山の紅葉もなかなか。周辺は公園になっていて、駐車場、WC、ハイキングコースの新しい案内板があり、よく整備されている。ハイキング大会のお知らせ(毛野大坊山観光協会)も掲示されていて、それによると毎年4月と10月の第4日曜日の午前9時に長林寺出発とのこと。

ハイキングコースは寺の右手の池を回り込んで山に取り付く。まっすぐ石段の参道を登っても道了尊に出るようだが、ハイキングコースはジグザグを切って登って行く。道了尊は岩場に架けられたお堂で、長林寺周辺を俯瞰できる。

道了尊から赤松と雑木林の尾根を登り、巻き道(初心者コースとの案内あり)を分けると、石祠のある浅間山のピークに出る。

一息ついた後、自衛隊道路の通る鞍部へ降りる。行く手には大坊山への稜線が小さなピークを連ねている。途中、真新しい鎖がかかった岩場がある。全然大したことはないのだが、ちょっとした変化があるのは楽しい(子供向きかも)。

自衛隊道路(自衛隊が作ったのかな?)を渡って、山腹を巻く林道に入る。林道入口には2台分の駐車スペースがあり、2台の車で塞がっていた。誰か登っているようだ。地元の小学生が付けた木の名称札を見ながら林道を歩く。林道終点には案内板とベンチがあり、ここから山道となる。

案内板によると、大坊山周辺はかつてはアカマツ林で、落ち葉や枯れ枝は家庭用燃料として使われていた。しかし、ガスの普及で落ち葉が使われなくなり、人の手が入らなくなると、昭和50年頃からマツノザイセンチュウの被害で多くのマツが枯れ、現在では広葉樹林に変わりつつあるとのこと。人の手によって保たれる自然環境もあるんですね。


曹洞宗山川長林寺


山腹を巻いて見晴台を目指す

山道に入ると、すぐに健脚者コース(左)と初心者コース(右)に分かれる。このハイキングコースはよく整備されていて、少しでも険しそうな所には迂回する初心者コースが用意されている。いちいちどっちを行くか、考えるのも面倒になってきたので(^^;)、以下、この種の分岐はすべて健脚の方を通ることに決定。

少しの登りで露岩のある見晴台に出る。その名のとおり、展望の良い所だ。富士山、赤城山、日光を指した道標があるが、今日は霞でそこまで遠望がなかったのは残念。しかし、ここから続く露岩の多い稜線は開放的で、低山には珍しい雰囲気の所だ。

やがて樹林の中の尾根道になるが、ところどころから行く手の大坊山と山麓の足利鹿島園が眺められる。道の両脇のスズタケが刈り払われて、灌木も間引かれているので、公園の遊歩道のような明るい感じの道だ。途中、道標やベンチも多い。鹿島園に下る道を右に分けると、大小山と大坊山の分岐に到着。ここも眺めが良く、山麓の足利病院を隔てて、大小山へ連なる尾根が望まれる。北面の展望も良い(眼下がゴルフ場なのは…ですが)。


見晴台
赤城山、富士山は今日は見えず


大坊山分岐から北面の展望

分岐から大坊山を往復する。大坊山山頂にはかつては大山祇(おおやまづみ)神社があったが1965年に落雷で焼失とのこと。今は狛犬や石碑の残る見晴らしの良い広場になっている。

大坊山から分岐に戻り、大小山への稜線を辿る。こちらの方は少し細くなるが、良い山道だ。左手(北側)が採石場で削られたピークは右に巻き道があるが、登ってみると採石場と越床峠をトンネルで抜けるR293が見下ろせる。ここから少し急な下りになって、越床峠に到着。十字路になっていて、右は足利病院へ0.5km。左はすぐ下に旧R293の路面が見える。


大坊山山頂


越床峠

このあたりから、大小山から歩いて来たハイカーさんと頻繁に行き会う。小さなピークを3つほど越えて行くので、結構歩き甲斐がある。おまけに、正午近くになって、腹が減って来た。山百合学園への道を右に分け、一旦下って登り返すと大小山(妙義山)の山頂に到着。ようやく着いたー。

山頂は360°の展望で、数組のハイカーさん(単独、グループいろいろ)が、眺めを楽しみながらのんびりしている。中には、網で肉を焼いて日本酒で宴会中という大変うらやましい事に及んでいるおじさんグループもいた。あまりに美味そうな匂いが漂ってくるので、ここでは昼食は止めて、取り敢えずチーズをツマミに缶ビールを飲む。

妙義山から隣りの鷹巣山を経て、"大小"の文字板のある岩壁の下にある見晴台に移動し、東屋で昼食にする。半年ぶりにガソリンコンロを使ってお湯を湧かし、餅入りスープを作った。ちなみに"大小"の文字はステンレス製で高さが7.6m、幅が7.2mで、平成7年11月に掲揚されたそうな。


大小山(妙義山)山頂


見晴台の東屋から"大小"の文字板を仰ぐ

遅い昼食を済ませて下山する。家族連れが数組登って来て、小さな子供が岩場をはしゃいで越えていた。うんうん、その気持ち、よくわかるよ。阿夫利神社までは短い距離だった。神社の駐車場から振り返ると、杉木立の間に"大小"の文字が見えた。

神社からJR富田駅まで、田園風景の中の車道をさらに歩く。途中、「養老碑」と彫り込まれた高さ1.5mほどの立派な石碑がある。江戸時代の1756年に領主が父の長寿を祝って刻んだ物とのこと。また、富田駅のすぐ近くの東陽院には、1597年に寺を創建した領主が記念に植えたという、樹齢約400年の枝ぶりが見事なクロマツがある。こういうものを見ると、この辺が昔から(昔は?)栄えたところなんだなぁ、ということが偲ばれる。


養老碑(足利市重要文化財)


東陽院のクロマツ(足利市天然記念物)
後方は大小山

今日の山行は、標高は低いがアップダウンの多い尾根道を6時間歩いたので歩き応え十分。新しい登山靴も、足首が深いので脛に少し当たったが、問題はなさそう。富田駅14:30発の列車に乗車し、桐生に帰った。

参考文献:野山歩きのヒント、桐生タイムス社