本谷山

天気:
メンバー:T
行程:十字峡 4:40 …内膳落合 5:40 …三十倉 7:25 …小穂口ノ頭 8:40 …本谷山(1860m) 9:20〜10:20 …小穂口ノ頭 10:45 …三十倉 11:40 …内膳落合 12:45 …十字峡 13:40

一か月前の6月25日に登ろうとした(山行記録)が、出だしの三国川沿いの林道でスノーブリッジに阻まれて登れなかった本谷山に再度挑戦して来ました。

前回と同様に、車で出発点の十字峡に向かう。関越道を六日町ICで降り、途中のコンビニでペットボトル飲料1リットルとエチゴビール350ml、朝食のおいなりさん、昼食のラーメンを買い込む。ポリタンの水2リットルと合わせて、十分な水分を用意する。

十字峡の売店前の広場に車を置いて、ベンチでおいなりさんを食べて腹ごしらえ。夏休みに入ったせいか、車が多い。中ノ岳登山口のポストに登山届を出し、WCを済ませて、落合橋の駐車場に移動。こちらも車が多く、8割方塞がっている。釣り人だろうか。

準備を整えて出発。前回は雪解けで異常に多かった三国川の水量も、今日は穏やかなものだ。スノーブリッジは当然ながら影も形もなし。重機で道路が整備されたようで、キャタピラの跡がずっとついている。路面が整えられていて歩きやすい。

渓谷美と、ときおり見える県境稜線の眺めが楽しめるので、林道歩きも案外飽きずに行程がはかどる。三国川本流を渡る栃ノ木橋で一服している2人組を追い抜く。釣り人のようだった。今回の山行ではこれ以降、全く人に出会わなかった。

丹後山登山口を過ぎ、さらに三国川沿いの林道を辿る。大きな支流の内膳沢を橋で渡ったところが、本谷山登山口の内膳落合だ。道標に導かれて林道から左へ登山道に入る。取り付きは鎖も現れる急登だが、すぐに傾斜も落ち着いて、樹林の中を登ったり、松の廊下状の尾根を登ったりの道となる。今日は曇っていて、炎暑は避けられそうな天気だ。涼しいせいか、蟬の鳴き声も全く聞こえない。

ところどころから、右手の桑ノ木山〜ネコブ山の点々と残雪のある稜線や、背後の中ノ岳の展望が得られる。行く手には三十倉の三角形のピークの奥に本谷山周辺の主稜線が高く遠くに見える。これはなかなか大変そうな登りだ。体力の配分を考えて少しペースを抑える。


内膳落合の本谷山登山口


三十倉のピークの奥に本谷山を望む
(帰りに撮影)

ブナ林の尾根を登ると、少し開けた平地に雨量計測所の建物があった。ここからさらにひと登りで、ようやく三十倉のピークに到達。三角点(1297m)があり、眺めが良いので一休み。

三十倉から、雪渓を残す内膳沢を左手のすぐ下に見ながら、もったいないほど下り、再び登りとなる。松が生えた痩せた展望の良い尾根を歩く。


三十倉から本谷山(中央)を望む


三十倉のピークと中ノ岳(右)、
八海山(左奥)(帰りに撮影)

ササの急斜面に囲まれた内膳沢源頭部とその上の本谷山の稜線を眺めた後、一旦、見通しの利かない中低木帯の中の湿った道の急登となる。ここを頑張ると森林限界を抜け、低いササ原の広がる尾根に出る。素晴らしい展望が開けて、しばし休憩。

ここから主稜線はすぐそこに見えているのだが、意外と標高差があった。途中で右手に小さな雪田を見る。昭文社の地図に「7月初旬まで残雪」と記されている箇所らしい。この冬は雪が多かったことを再確認。

ササ原の中にはニッコウキスゲが咲いているが、最盛期はちょっと過ぎたところだった。でもこの開けた尾根の雰囲気は気分最高! 道もはっきりしている。

ようやく主稜線上の小穂口ノ頭に到着。小さな草地があり、その先には待望の利根川源流域の眺めが広がっていた。下津川山へも一見気持ち良さそうなササ原の尾根が繫がっているが、道らしいものは皆無である。一休みしたら、主稜線を辿って本谷山を目指そう。


小穂口ノ頭直下のササの尾根
後方はネコブ山


小穂口ノ頭から本谷山

最初は急な草付き斜面の上の痩せた尾根を歩く。ハイマツやシャクナゲ、ツツジに覆われているが、道型ははっきりしている。ここを過ぎるとササの藪漕ぎとなり、道はそこはかとなくあったり、なかったりという状態になる。しかし、ササは膝からせいぜい腰の深さなので、藪漕ぎとしては楽である。

右手に小さな池を見る。お花畑に囲まれた山上の小庭園だ。ここを過ぎるといよいよ最後の登りだ。ササを漕ぎ分け、本谷山の山頂に到着した。


本谷山への途中にある池


本谷山山頂直下から池と
小穂口ノ頭(中央右)を振り返る

山頂は低いササに覆われ、360度の展望である。東側は広い急斜面で利根川支流越後沢に落ち込み、眼下にはスラブに囲まれた膨大な雪渓が見える。その向こうには少し靄がかかっているが、平ヶ岳など利根川左岸の山々が見える。

北へはササの気持ち良さそうな尾根が越後沢山、丹後山の方へと連なっている。ちょっと歩いてみたい気もするが、行くには結構な藪漕ぎの覚悟が必要になりそうだ。双眼鏡では丹後山の避難小屋も確認できたが、誰も見えなかった。

それにしても、人の痕跡がほとんどない頂上だ。山名標識の類いも全くなく、切られた木の枝に結びつけられた何かの目印?の古いビニール紐があるのが、唯一の痕跡。私が腰を下ろした範囲のササが倒れているのも、立ち去ったあとはすぐに元通りになってしまうだろう。


本谷山山頂から越後沢山(右)、
丹後山への県境稜線


本谷山から利根川を隔てて平ヶ岳

ビールを飲み、昼食にラーメンを作って、この静かな山頂でゆっくりした後、往路を戻る。帰りには少し青空も見えて気温も上がり、蟬も鳴き出す。三国川の林道を歩く頃には爽やかな風が渓谷を吹き渡る陽気となった。

下山後の楽しみは十字峡の売店のアイスクリーム(うまー)。そして、今年3回目の畔地で汗を流した後、コンビニでエチゴビールを買い込んで帰桐した。