荒川岳〜赤石岳〜聖岳

〜21日(日)
メンバー:T

遅い夏休みがとれたので、久しぶりに2泊以上の山行である。9/17、横浜の実家を夜の10時頃、車で出発。東名・清水ICから富士見峠、井川を経て、深夜に畑薙第一ダムに到着する。ダムサイトの駐車場にはかなりの数の車があるが、皆さん登山中のようで、もぬけの殻。草地にテントを張って、バスの発車時刻まで寝る。これは良く眠れた。

9月18日
天気:
行程:畑薙第一ダム 9:10 =千枚岳登山口 10:10 …小石下 11:40 …清水平 12:35(昼食)…駒鳥池 14:40 …千枚小屋 15:30(泊)

定刻の少し前に東海フォレストのマイクロバスが到着。乗客は6名。東海フォレスト経営の山小屋の宿泊費前払いの形で、3,000円のチケットを買って乗車する(バス自体は無料)。大井川沿いの道は未舗装の悪路で、バスが跳ねる跳ねる。河原は広く、見上げる笊ヶ岳側の山腹はとんでもなく急である。牛首ではバスが親切にも停車して、有名な牛首からの赤石岳山頂の景色を見せてくれた。バスは千枚岳登山口で私を含む4人(全員、単独行)を降ろすと、二軒小屋に走り去った。


千枚岳登山口と滝見橋


尾根の取付付近から
千枚岳(中央奥)を仰ぐ

登山口から崖っ縁の細い道を行き、すぐに吊橋を渡って樹林帯を登り、尾根の上へ出る。途中、千枚岳から荒川東岳にかけての稜線が見える所がある(写真右上)。高くて遠〜い。林道を横切ったり、小石下付近は植林帯で、まだ里山という感じ。山腹をトラバースしていき、右手にちらりと林道が見えると清水平は近い。ここは冷たい水がバンバン流れている。嵩張らないので、最近お気に入りのマルタイ棒ラーメンを作る。デザートは梨だ。

この先もゆるゆると登りが続く。周囲の樹林帯は明治の頃に皆伐されたそうだが、今ではほとんど自然の姿に戻っている(ように見える)。駒鳥池を過ぎると左手の山の上に千枚小屋の屋根が見え、わずかで到着。新しくてきれいな小屋だ。


蕨段付近の樹林の登り


千枚小屋から夕暮の富士山

宿泊の手続きを済ませ(素泊3,500円)、小屋の前のベンチで夕暮れの山々眺めつつ、ビール(600円)で一人宴会&夕食。今日の泊り客5名中、私だけが自炊。今回は軽量化のため、朝はもちスープ、昼は棒ラーメン、夜はレトルトご飯+レトルトカレーの手抜きメニューだが、山で作る食事はやはりうまい。かなり酔っぱらっているし。夜は板張り上にシュラフ+シュラフカバー+長袖シャツ+長ズボンのフル装備を着込んで就寝。エアマット無しでは、ちと腰が痛かった。

9月19日
天気:
行程:千枚小屋 6:00 …東岳(3141m) 7:40 …中岳避難小屋 8:35 …荒川小屋 10:10 …小赤石岳 12:00(昼食) …赤石岳(3120m) 12:30 …百間洞山の家 14:40(泊)

東海フォレスト経営の山小屋は朝食5時で統一されているらしい。灯がつくのが4時半。こちらもそれに合わせて朝食を取る。天気は上々。富士山のシルエットが見える。

小屋を発って少し登ると這松帯で高山的。千枚岳の頂上からはものすごい強風。丸山では前に傾かないと進めない。スキーでゴーグルなしで直滑降したときのように涙目になってしまう。巨岩がゴロゴロした中を徐々に登ると東岳(悪沢岳)の頂上。赤石岳、塩見岳から間ノ岳と南アがずーっと見える。隣の中岳もなかなかでかい。


千枚岳から東岳と丸山


東岳から塩見岳と間ノ岳(中央奥)

東岳から吹っさらしの稜線を中岳へ。中岳避難小屋には管理人がまだいて(9/23まで)、風を避けて小屋の中でしばし休憩させてもらう。前岳にも立ち寄って大崩壊をのぞいてみる。荒川小屋へのざれた斜面は(時期的には少なかったが)お花畑。荒川小屋は小屋仕舞いの準備でクレゾールを塗るとかで忙しそう。水場に水はなかった。ガレの広がる大聖寺平から小赤石岳の肩に上がるとちょうど岩陰で風の当たらないところがあり、ここで棒ラーメンタイム。


小赤石岳〜赤石岳の稜線


百間平から赤石岳を振り返る

赤石岳の頂上は岩が積み上がったピークがいくつもあって、複雑な地形。赤石岳避難小屋もきれいな建物である。赤石の下りも岩がゴロゴロの大きな斜面。ここから馬ノ背、百間平あたりは、後ろに赤石の大きな山容、行く手には大沢岳、中盛丸山、兎岳、聖岳と続く鋭角なアップダウンの多い稜線(明日は辛そうだなー)を見てのんびり歩く、今回の山行で一番快適な道であった。

百間平から勿体ないほど下ると、沢に水の流れる百間洞で、山の家はすぐ。ここも冬仕舞準備中で塗り立てだった。受付に若い女性が出てきてびっくり。ご夫婦で管理人をされているそうです。今夜の泊りは2人。夕食がとんかつとはすごく魅力的だが、自炊する。食堂から谷間越しに聖岳が眺められる。素晴らしい。


百間洞への下りから見る
兎岳(奥)と中盛丸山


百間洞から聖岳

9月20日
天気:のち
行程:百間洞山の家 6:00 …兎岳 8:25 …聖岳(3013m) 10:10 …聖平小屋 12:45(泊)

今日から天気は下り坂。コースは厳しく、一番の根性日になりそうだと覚悟して出発。降り出しそうなガスのなか、小屋から斜めに山腹を登って大沢岳と中盛丸山の鞍部に出る。ここから少しの登りで中盛丸山頂上へ。頂上から見た赤石沢は、赤石岳と聖岳という南アのジャイアントに挟まれて深くV字に切れ込んでおり、低い雲に覆われていた。

兎岳への縦走路は狭く急峻で、上越あたりの山にちょっと似ている。兎岳頂上では一時的だが青空も見え、ここまでの縦走路を振り返ることができた。兎岳避難小屋は頂上直下の小平地にあって、ロケーションは良いが使用不可能(ボロボロ)である。


兎岳から中盛丸山、大沢岳を振り返る


兎岳避難小屋(使用不可能)を俯瞰する

聖岳へは鋸状の尾根を絡むようにコルへ下り、右手に赤い露頭(ラジオラリア)を見ながらの急登。一旦、左手に回り込んで稜線に戻ると、あとは這松の中を登って割とあっけなく頂上へ。ここまで天気がもてば、あとはもう大丈夫。眺めはないが棒ラーメンタイムにする。


聖岳への最後の登り


聖岳山頂視界なし

聖から小聖へは、砂礫の大斜面の下り。小聖への細い尾根に下り着く頃、ポツポツ雨が落ちてくる。雨具をつけるが、ここまで天気が持って良かった。このあたりは樹林も緑が濃い感じで、南の方に来たと実感。聖平小屋に早い時間に到着し、宿泊をお願いする。通常、自炊は旧小屋の利用になるそうだ。旧小屋は雰囲気は悪くないのだが、灯がなくて暗いので、寝るのは新しい小屋の方にする(宿泊者が少ないときだけ、使えるようだ)。

やがて、本降りの雨になるなか、西沢渡から百名山グループが続々小屋に到着。お疲れ様でした。食堂でマーボー春雨をつまみに、もう一人の単独のおじさんと飲む(飲むのはほとんど私)。

9月21日
天気:
行程:聖平小屋 6:10 …吊橋 8:30 …椹島 10:00〜12:30 =畑薙第一ダム

朝から大雨。今日は雨具をつけて聖沢を下山するのみである。道は緩く山腹を巻いてなかなか高度を下げないが、吊橋の手前でドーンと下る。ここからは里山の雰囲気。聖沢登山口からは林道を早足で歩いて椹島に着いた。

雨具の中はあまり濡れなかったものの、靴の中はグシャグシャ。ビジターセンターで乾いた服一式に着替えて人心地。バスの発車時刻までレストハウスでソーセージをつまみに生ビールを飲んで一息つく。帰りのバスには20人くらいが乗車。畑薙第一ダムの自分の車までもどる。

帰りは赤石白樺荘(入浴無料)に立ち寄った。古いが由緒を感じる温泉でした。なお、東海フォレストのバスに接続するはずの静岡駅行バスは、台風14号による大雨で途中の道が大型車通行止めになったため、始点の畑薙ロッジに一時留め置きになったようである。